おぎやはぎ がん治療という苦境も必ず乗り切る「強いコンビ愛」

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先輩相手でも忖度しない

初期(ステージ1)の腎細胞がんと診断された「おぎやはぎ」の小木博明(48)。7月中旬から持病の偏頭痛を治療するために入院し、空いた時間で精密検査を受けたところ、がんが判明した。

明かしたのは小木本人だ。8月13日放送の『木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)内でのことだった。偏頭痛治療の入院から、この日復帰した。

「帰ってきましたよ。顔色良いでしょ」と、小木は弾んだ声。コンビを組む矢作兼(48)が「ちょっとカッコ良くなったなぁ。シワが減ったよ」と応じると、小木は「(シワは)あるよ」と苦笑い。その後も2人は軽妙なトークを続けた。

だが、2時間の番組が終わる間際、小木が「腎細胞がんって言われたよ。告知されたよ」と告白。それまでと変わらぬ明るい声だった。さらに「(がんは)5センチくらいあるのかな。ステージ1なんだよ。でも、びっくりしちゃってさ」と説明。やはり軽い口調だった。

2006年に始まった『おぎやはぎのメガネびいき』はひたすら陽気な番組。小木が番組終盤までがんを口にせず、明るい口調に終始したのは、小木流の配慮だったのかしもれない。

放送終了後、小木と矢作はネットで公開された番組のアフタートークでこう語った。

「入院してて、暇だから検査受けて見つかって、超ラッキーだった。先生たちもそう言ってくれた」(小木)

「オレも最初聞いたときはドキッとしたあと、ラッキーなんだなぁって思ったもん」(矢作)

矢作の口振りは友人の体を気遣うようだった。いや、実際に2人は仕事上でコンビである前に友人なのだ。

小木は8月17日から治療のために入院する。復帰は9月上旬となる予定だか、あくまで治療の経過を見ての判断になる。

腎細胞がんは、腎臓にできるがんのうち、腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍になったもの。

「ステージ1で5センチなら、治るでしょう。手術をせず、薬で治療することもできます」(山野美容芸術短大客員教授で医学博士の中原英臣氏)

初期は特徴的な症状がない。がんが大きくなると、血尿が出たり、背中や腰の痛み、足のむくみ、食欲不振、吐き気や便秘、腹部の痛みなどが生じたりすることもあるという。

症状のない初期で発見できたということで、小木はもちろん、矢作も安堵しているに違いない。お笑いコンビは不仲なケースも珍しくなく、仕事以外では口も利かないコンビも存在するが、この2人は大の仲良しとして知られるからだ。

2人は東京都立北野高の同級生。矢作は最初、口数の少ない小木を不気味に思ったそうだが、たまたま隣の席になったところ、すぐに意気投合。ともにスポーツマンでお洒落だから、共通の話題に事欠かなかったのだろう。

2人は1989年に同校を卒業すると、ともに就職。矢作はボイラーなどを販売する会社の海外事業部に入り、小木は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドへ。小木は開業予定だった東京ディズニーシーの幹部候補として採用された。

だが、2人とも退社する。『おぎやはぎのメガネびいき』で矢作は「売ってるものに興味がなかったんだ」と振り返り、小木は「全然ディズニーシーができなかったんだ(中略)。待ってられないと思ってやめたんだよ」と明かした。小木は入社したとき、会社側から「ディズニーシーの開園は5年後」と聞いていたが、実際には2001年だった。

その後、矢作は通信関連企業、小木は旅行代理店、タワーレコードに勤めたが、23歳だった1994年のとき、矢作が芸人になることを思い立つ。楽しくて、お金になると思ったからだった。小木を誘うと、「いいねえ」とすぐに乗ってきた。やはりお金になると考えた。仲が良いから話が早かった。

翌1995年にコンビを結成すると、たちまち注目を集める。ここでも気心が知れていることが功を奏した。息が合ったコントを見せた。

例えば、初期の名作コント「同窓会(おなら同窓会)」の場合、同窓会で小木がおならを連発し、矢作の追及を誤魔化すというシンプルなものだが、コンビネーションが抜群なので見る側は爆笑の連続だった。

コントも漫才も基本的には小木がボケで矢作がツッコミ。漫才は冒頭で小木が「オレ〇〇になりたいんだよ」と言うのが定番。これに矢作が「オレ、おまえのやりたいことやらせてやりたいから、いいよ」と応じる。小木が大好きな矢作の本音が反映されている。

ちなみに、おぎやはぎの知名度を上げた『M―1グランプリ2002』決勝は、小木が「結婚詐欺師になりたいんだよ」と口にするところから始まった。

仲良し2人はお笑い界に新風を吹き込み、やがて所属事務所・プロダクション人力舎の空気も一変させる。2人はフリーで活動したあと、人力舎に所属した外様なのだが、遠慮がなく言いたいことを口にした。

8月4日放送の『あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~』(テレビ東京)で東京03の飯塚悟志(47)が明かしたところによると、まず矢作がコンビ同士で張り合うことをやめさせた。

それまでの人力舎の所属芸人は一様に尖っており、コンビを組む相手すらライバル視することが正しいという風潮があったのだが、矢作は「こういうのやめようよ、売れてないのに」と論じ、あらためさせた。おぎやはぎは仕事以外でも親密ながら、日の出の勢いで売れ始めていたから、説得力があった。

さらに、どこの事務所にもある先輩後輩の厳しい上下関係をやめさせた。人間関係や事務所内の空気を悪くしかねないからだ。

だから2人は人力舎の先輩であろうが、ときにはイジる。不倫騒動で渦中の人となったアンジャッシュの渡部建(47)についても『おぎやはぎのメガネびいき』で俎上に乗せた。

6月11日の放送で小木は「(渡部の素行を)知ってたら、(佐々木希は)結婚しないよ」と冷ややかに語った。さらに「女癖の悪さは根っから」「ナンパ術が卓越していた」などと暴露した。

小木がここまで言うと、矢作は庇いそうだが、同じく渡部を酷評。やっぱり2人は息が合っている。

「(渡部の素行の悪さは)人力舎芸人、ほかの仲が良い芸人は知ってたことだからね。ただ(佐々木希)一人だけが知らないんだから」と、クールに語った。

2017年10月、渡部は佐々木と結婚したが、2人は披露宴に招かれなかったという。渡部の女性絡みのヤジを飛ばしそうな芸人は1人も招待されなかったそうだ。

おぎやはぎ自身の結婚はというと、小木は2006年、歌手・森山良子(72)の長女で元ミュージシャンの森山奈歩さん(48)と結ばれた。矢作のほうは2016年、12歳年下の一般女性と結婚している。

その際、矢作はマスコミ各社にこう書いたファックスを送っている。

<この度、私おぎやはぎ矢作兼は、あの小木と同じぐらい いや、小木よりも一緒にいたいと思える女性と出会いましたので結婚することにしました>

まるで冗談のようだが、本音混じりだろう。なにしろ2人は高校時代から一度も喧嘩をしたことがないというのだから。

コンビである前に友人であるおぎやはぎ。小木が元気に戻ってくることを矢作は誰よりも心待ちにしているに違いない。

  • 取材・文高堀冬彦

    ライター、エディター。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部記者、同専門委員、毎日新聞出版社サンデー毎日記者、同編集次長などを経て独立。スポニチ時代は放送記者クラブに所属

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