石原さとみ主演『アンサング』 低視聴率でも医師が絶賛の理由

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日本アカデミー賞新人女優賞など数々の賞を獲得した石原。出演ドラマは50本以上にのぼる

『家政夫ナギサさん』(TBS系)、『ハケンの品格』(日本テレビ系)、『MIU404』(TBS系)など、軒並み二ケタ視聴率を獲得し好調な今期ドラマ。その中でなぜか苦戦しているのが、石原さとみ(33)主演の『アンサング・シンデレラ』(フジテレビ系)だ。

ドラマは、「患者に寄り添いたい」という信念を持つ病院薬剤師・葵みどりの奮闘を描いたもの。薬剤師という、これまであまり一般に知られることのなかった仕事を明らかにしていてなかなか新鮮だし、抑えた石原の演技も決して悪くない。が、ドラマの感想コメントはすこぶる不評なだけでなく、視聴率も初回から下落続き。4話目でやっと二ケタに戻した、という低空飛行だ。

では一体何がネックとなっているのか? コメントを確認していると、とにかく多いのが「あんな薬剤師、あり得ない!」「実際にいたら迷惑すぎる!!」というものだ。というのも葵みどりは、「薬剤師は医者が処方した薬を調達するだけ」という価値観が基本の中、ただ一人、患者の話を詳しく聞いたり、処方に疑問を持てば医師にも恐れず意見をするからだ。

しかしタイトルの「アンサング(=讃えられないという意味)」が物語るように、薬剤師は縁の下の存在で、その仕事について詳しく知る人は少ない。多くの人はせいぜい、病院や薬局で薬を受け取るときに接している程度だろう。なのに皆が、「葵みどりのような薬剤師はあり得ない」と言う。

「葵みどり」で医療現場改善!?

そこで本当にあり得ないのか、総合病院の整形外科部長を務めていた医師に取材してみた。

「私もドラマは見ていますが、たしかに葵みどりのように意見を言う薬剤師は実際にはいません。ですが私自身は、彼女の『患者に寄り添いたい』という主張じたいはあり得なくないと思っています。

私は病棟回診のとき、医師だけでなく、担当している看護師、理学療法士、そして薬剤師も皆一緒に回るようにしていました。そして意見があればどんどん言ってもらうようにしていた。リハビリにおいては理学療法士、薬においては薬剤師のほうが専門なわけですから、彼らのほうが気づけることも多いからです」

最近は、そのようなチーム医療を取り入れるところも増えてきているそうだが、この医師が部長を務めていた時代はまずないことだったという。

「その理由は一重に、医者の“自分たちが一番でいたい”という意識によるものだと思います。ですが患者さんのことを考えれば、薬剤師ももっと意見を言えるようにするべき。もちろん、その範囲は薬学部分にとどめて診断部分にまで踏み込まないなど、線引きは難しいと思います。

葵みどりの行動はたしかに薬剤師の範囲を超えているところもありますが、医師以外の意見を排除しようとする今の医療のあり方に問題があるのは確か。このくらい極端な形で彼女を描いたほうが、『アリだ』『ナシだ』と多くの人に注目してもらえ、それが医療現場の改善につながっていって良いんじゃないでしょうか」

何しろ薬剤師が連続ドラマの主人公になるのは初めてのこと。それだけに医師同様、視聴者もその存在を受け止め切れていないのかもしれない。それが多くの拒絶コメントにつながっているのかもしれないが、どうやらもう少し見守る必要がありそうだ。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影堀田 咲

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