瀧川鯉斗「 暴走族総長が落語家になった、不思議なきっかけ」 | FRIDAYデジタル

瀧川鯉斗「 暴走族総長が落語家になった、不思議なきっかけ」

歯に衣着せぬ発言が受けて、バラエティ番組でブレイク中。異色の経歴ながら実力は本物

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松本人志や中居正広ら芸能界のトップとも共演。「バラエティで超一流の話術を学ばせてもらってる」と語った
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黒いTシャツに黒いジーンズ、黒いサンダル。銀のネックレスに薄いサングラスをかけて、瀧川鯉斗(たきがわこいと)(36)は待ち合わせ場所に一人、フラリと現れた。昨年5月に令和初の真打昇進。長身イケメンにして元暴走族総長という異色の経歴が注目を集め、いま、メディアに引っ張りダコの噺(はなし)家である。

「テレビの反響は大きいですね。『元暴走族総長』というキャラクターを求められているのはわかりますが、それで少しでも世間の方が関心を持ってくれるならありがたい。瀧川鯉斗って面白いじゃん。落語聞いてみようと思ってくれれば、凄く嬉しいです」

インタビュー現場のソファに浅く腰掛け、時折、タバコを燻(くゆ)らせる。ギラギラとしたヤンチャなオーラを漂わせながら、鯉斗は自身の半生を語り始めた。

出身地は、名古屋市東部に位置するベッドタウン「天白(てんぱく)地区」。暴走族に入ったのは、16歳の頃だった。

「中学時代から無免でバイクを乗り回して、校庭をグルグル回ったりしていました。母親に泣きつかれて高校には入学しましたが、上級生とケンカして1日で退学。それで、暴走のほうに力を入れるようになりまして(笑)。地元の『天白スペクター』に入りました」

1年後には、「天白スペクター」の12代目総長に就任した。まだ先輩らが現役としてチームに残るなかで、いわば飛び級という形での抜擢(ばってき)だったという。

「ある日の集会で、11代目の総長から任命されたんです。暴走の出席率が良かったのが理由の一つ。それと、僕は『けつまく』っていうポジションが好きでよくやっていたので、それで『気合入ってるな』となったんです」

「けつまく」とは、暴走行為をする際に、最後尾を走る役割のことである。警察に追われた際に真っ先に逮捕される可能性が高いため、チーム内の尊敬を集める。

「ケンカもしょっちゅうです。総長時代には、犬猿だった名古屋市外の暴走族と、深夜の公園で100対100の決闘をしたこともあります。最後は、総長同士のタイマンで決着しました。僕がボコボコにして勝ちましたよ」

そんなイケイケ総長の密かな夢は、役者になることだった。18歳になる頃にチームを13代目に任せ、わずかばかりのカネを握りしめて上京。中野区にアパートを借りた。しかしなぜ、役者志望だった青年が落語の世界に入ったのか。

「新宿の『赤レンガ』というレストランでバイトしていたんですが、ある時、店で師匠(瀧川鯉昇(りしょう))の高座があったんです。そのとき師匠がやった『芝浜』があまりにも衝撃的で。一人で何役も表現する姿に感動し、『これだ』と思いました。高座の後の打ち上げですぐ、師匠に『弟子にしてください!』と頼みました」

鯉昇の返答は、「寄席で落語を見てからもう一度来い」というものだった。鯉斗は素直に従い、約2ヵ月、新宿の寄席に通った。気持ちは揺るがなかった。

「それから4年間、師匠の家に通って稽古をつけてもらいながら前座修行。辞めたいと思ったことは、一度もなかったですね。鯉昇師匠だけでなく、『笑点』でもおなじみの小遊三(こゆうざ)師匠にも可愛がってもらって、良い環境で学ばせてもらいました。

一度、小遊三師匠の鞄持ちとして、地元で寄席に出させてもらったことがあるんですが、そのときは『総長が来る!』と大騒ぎになって、当時の仲間がバイクで押し寄せました。チケットの販売担当の人に、『総長の後輩なんですが、スピード違反で捕まったのでちょっと待ってください!』なんて電話してくるヤツまでいて(笑)。観客席の一番前に陣取って、ポカーンとした顔で聞いていましたよ」

話題性やルックスのためか、鯉斗の高座には女性ファンも多い。古典落語をやるうえで、難しさはないのか。

「ありがたいです。僕はお客さんによってスタイルは変えません。日本人として、人情や風情、風景を伝えていきたい。今後も真剣に落語と向き合い、古典落語の魅力を伝えていくつもりです」

ヤンチャで真面目でイケメン。いかにもモテそうなだけに、テレビ出演をきっかけに有名女優との熱愛もありうるのでは。取材の最後にそう水を向けると、鯉斗はニヤリと笑った。

「そのときはお手柔らかにお願いします」

昨年3月、新真打昇進発表会見に出席(前列左)。9月12日には、「ゆみちゃん寄席」(お江戸日本橋亭)に出演する予定だ
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本誌未掲載カット 瀧川鯉斗インタビュー 暴走族総長が落語家になるまで
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『FRIDAY』2020年8月21・28日号より

  • 撮影濱﨑慎治(1枚目、4~6枚目)

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