「猫に、狂わされて」猫写真家の優しすぎる撮影術と猫の裏切り
「ぶさにゃん先輩。との出会いがなければ、僕はこの仕事はしていないと思います」
猫写真家の沖昌之さんの「人生を狂わせた」のは、婦人服の販売員だった2013年の大晦日、休憩時間にくつろぎに行った公園で出会った、猫だった。
![運命の猫「ぶさにゃん先輩。」その自由な生き方に、どうしようもなく心惹かれた](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/a88032e6bed7a4a0df76a3246b58826f.jpg)
「グレーのアメショ柄で、エキゾチックショートのようなつぶれた顔の猫がいたんです。体型がとてもふくよかで印象的だったこともありますが、雰囲気がすごく気になったんです。生き方が、余裕というか。翌日、休憩時間にカメラを持って公園にでかけました。
そこで、かってに『ぶさにゃん先輩。』って名前をつけて。見れば見るほど、引き込まれた。仕事の合間と休日に猫たちを撮影するようになって、15年に、猫写真家という全く想像もしていなかった道へ進みはじめました」
運命の出会いから6年あまり。沖さんは東京都内を中心に、主に街の外猫の写真を撮り続け、発表した写真集は10冊になった。その作品は、猫写真界隈で圧倒的な人気を集めている。
![#瞑想](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/f932f54151ea148af3094c882aec5549.jpg)
![#青空ストレッチ](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/1bdf3d10495af8016f8f79f3913da6d2.jpg)
![#これがワタシの生きる道](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/791f06c0ecbac7723071bac4b4d8aef3.jpg)
「撮影のこつは、被写体となる猫たちに過度なストレスを与えないこと。だから、僕の存在を可能な限りわからせないようにしています。そうすることで、猫たちの大切な日常が守られ、日頃の生活で出している自然な仕草が撮影できるんです」
![#あーもう暑いって](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/9e21f27fd99e97c769c1fc1897431fef.jpg)
![#かくれ猫](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/630961c74171e17b8b18fca8c9d41862.jpg)
けれども、猫がかわいすぎるあまり我慢できずに、近づいて撫でることもあるという。身長180cmの沖さん。はっきりいって存在感は「ある」ほうだろう。
「撮影のときは、気づくと数時間、同じ場所にいることもあります。だから、猫に対してもそうですが、近隣の住民に不審がられないように積極的に挨拶をしたり『猫ってかわいいですよねー』と、撮影していることをアピールしたりして、コミュニケーションをはかっています(笑)」
猫たちの「自然な仕草」を撮影するように心がけている、といっても。
![#不自然な猫](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/15e07629817a3fd6b25f208b0e3a3a1e.jpg)
「猫って、こちらの想像を越える動きをすることがあるんです。じゃれ合ったり、毛づくろいをしたり、ジャンプしたりと、一見よく見られる光景に思えるのですが、よく見ると、こんなことまでしてたのって思うことが。『必死すぎる』ようす、想定を越える動き、表情が、まだまだある。猫たちの日常を守りながら、そんな外猫たちの姿を撮っています」
![#痴話喧嘩](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/67372f7722b3afed5794812f7bc93601.jpg)
![#身体能力を過信](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/17284945e6c6e7cd95fed4f8cbea3e8c.jpg)
沖さんの猫写真が魅力的なのは、猫たちの日常にある、想像を裏切るほどの「生きる姿」が、そこに写されているからなのだろう。
![#爪先立ち](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/d5834af0273c18414fbc3f368651f5ec.jpg)
![#みかえり美人](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/9357a9905e603f79b70726950add741e.jpg)
![#越境者](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/3129c0366b10dd85d91c97d75ed4cfb7.jpg)
![#本気出してる](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/f7149e8edc6d385d1aa7970a1a732521.jpg)
![#ふわっとジャンプ](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/1d79a1777f68d1ecfd678c9bfd614db0.jpg)
![#縁の下の力持ち](https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_664/wpmedia/2020/08/91700338cf669ddcc680f70305bb4d95.jpg)
撮影:沖昌之
1978年神戸生まれ。猫写真家。2017年刊行の写真集『必死すぎるネコ』は、5万部越えのベストセラーに。新刊『猫から目線』が8月19日発売になる。また、9月6日(土)まで、東京・渋谷のヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)とオンラインで開催中の『ネコがかわいいだけ展 ザ・ディスタンス』(https://nekogakawaii.com/)にも多数の作品を展示している。公式Instagram&Twitter(ユーザー名はいずれも、okirakuoki)で、多くの猫写真を掲載中。
- 撮影:沖昌之
- 取材・文:松野友克