「無欲の快進撃」ティモンディ・高岸は“若手芸人版”松岡修造だ! | FRIDAYデジタル

「無欲の快進撃」ティモンディ・高岸は“若手芸人版”松岡修造だ!

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YouTube『ティモンディベースボールTV』より
YouTube『ティモンディベースボールTV』より

賞レースと無縁で代表的なギャグもなし

コロナ禍に見舞われた2020年上半期は、芸人たちにとって受難の時期となったが、昨年末の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)でファイナリストとなったぺこぱ、かまいたち、ミルクボーイは、さすがの力を見せつけた。

しかし、本当の意味で最大の勝ち組は、ティモンディ・高岸宏之ではないか。ティモンディ・高岸と言えば、賞レースとは無縁の存在で、代表的なネタやギャグもなく、「ただ大きな声でゆっくりしゃべっているだけ」なんて厳しい声も少なくない。

高岸はなぜ短期間でこれほどの売れっ子になったのか? テレビマンたちに話を聞いていくと、はからずも「コロナ禍が高岸のキャラを超えた人柄にピタッとハマったことが大きい」という理由が浮かび上がってきた。

純粋でまっすぐな人柄で笑いを誘う

高岸の口グセは、出身校・済美高校の校訓である「やればできる」であり、さらに「あなたのことを応援しています」「(お礼を言われて)僕のほうこそありがとうございます」などとポジティブな言葉を連発している。このところ、ぺこぱやミルクボーイの“人を傷つけない笑い”が評価されているが、高岸の笑いは傷つけないどころか、応援することで生み出しているのだ。

「面白いネタや話をする」のではなく、「純粋でまっすぐすぎるキャラが笑いを誘う」「ひたすらポジティブに人を応援する」という点は松岡修造に極めて近い。「目の前の人に熱く語りかけて元気を与える」という出演番組での役割も含めて、“若手芸人版・松岡修造”と言ってもいいのではないか。

テレビマンたちにとってそんな高岸は、「コロナ禍で重苦しさが漂う中、明るいムードを醸し出せる」「好青年キャラは視聴率獲得の鍵を握る中高年層の印象もいい」という意味で貴重な存在。加えて、高校野球の名門・済美高で培われた根性と身体能力は、信頼できる上にさまざまな体当たり企画に挑戦してもらいやすい。

また、「高岸が醸し出す“いい人オーラ”を番組のイメージアップにつなげよう」という狙いもあるという。たとえば、2日に放送された『お笑いG7サミット』(日本テレビ系)では、「相方の前田裕太が高岸を泣かせるドッキリを仕掛ける」というコーナーがあった。前田は感謝の言葉をストレートに伝えて泣かせようとしたが、高岸は「いつもありがとう」「前田がいなかったらいろんな仕事なかった」「相方の前に友達」「前田がいなかったら何もなかった。本当に思ってる」「大丈夫。信じてる」とたたみかけて、仕掛け人の前田を逆に泣かせてしまう。

さらにドッキリのネタばらしをされた高岸は、スタッフに「(成功して)おめでとう」と祝福して笑いを誘っていた。自虐やイジリで笑いを取る芸人が多い中、これほどポジティブな笑いを生み出せる高岸は希少価値が高く、その意味でやはり松岡修造に似ている。

お笑い第7世代の流れに乗っていけた

コロナ禍で台頭したのはティモンディ・高岸だけではなく、霜降り明星、四千頭身、EXIT、宮下草薙、ハナコら、「お笑い第7世代全体が活躍の場を広げた」と言っていいだろう。彼らの若さやパワーが番組に活気を与えるとともに、コロナ禍で広告収入減に悩む民放各局にとってはギャラの安さも起用の理由となっていた。

そんな民放各局の「お笑い第7世代を起用しよう」という流れにティモンディも加わっていけたことも大きい。高岸のキャラクターはどの若手芸人ともかぶりにくいだけに、お笑い第7世代というグループに入ってしまえば、おのずと出演番組は増えていく。むしろ第7世代は若いながらもクレバーなトークとネタを武器にするタイプが多いため、人柄を全面に押し出す高岸は目立ち、アクセントになれる。

これは同世代に限った話ではなく、『有吉の壁』(日本テレビ系)、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)など、百戦錬磨の先輩芸人たちが集まる番組でも同様。先輩芸人たちから見ても、人柄がよくキャラがかぶりにくい高岸はイジってあげたくなる存在のようなのだ。

もう1つ見逃せないのは、高岸が事務所の先輩・サンドウィッチマンを慕い、それを公言してきたこと。これも計算したわけではないのだが、高岸はサンドウィッチマンを慕うことで、芸人ナンバーワンの好感度をシェアしてもらっているように見える。

東京五輪で高岸と松岡の共演があるか

最後に再び話を高岸と松岡修造の共通点に戻すと、特筆すべきは2人がトップアスリートであったこと。高岸はプロ野球からのスカウトも受けた実力者であり、松岡はウインブルドンベスト8のテニスプレーヤーだった。「ライバルたちをおとしめようとせず、互いに高め合い、正々堂々と戦う」というトップアスリートならではのスポーツマンシップは、競争の激しい芸能界でも通用するのだろう。

高岸は自身のツイッターに風景などの写真をアップし、ポジティブな言葉をつづっている。このあたりの行動パターンも松岡と似ているが、今後は応援したいテーマがあるときは松岡だけでなく高岸にも声がかかるだろうし、来年東京オリンピックが無事に開催されたら、2人の共演が見られるかもしれない。

高岸はまだ27歳で、ティモンディも結成5年。YouTubeチャンネルも得意の野球を生かしたものであり、芸という意味ではこれから築き上げていくのだろう。現在の活躍ぶりと変わらぬまっすぐさ、そして太陽をイメージさせるオレンジの衣装を見る限り、将来的には松岡修造を超えるポジティブなキャラになれるのではないか。

  • 取材・文木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月20本強のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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