グー鉄、美術館巡り…旅の達人もハマる進化したストビューの魅力

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進化している「Googleストリートビュー」。一般非公開の場所も見られる!

旅行で現地へ行けない、今。旅行好きに向けて「Googleストリートビュー」(以下、ストリートビュー)で日本、そして世界へ“空想旅行”を楽しむのをぜひおすすめしたい。

バラエティ番組『タモリ倶楽部』で紹介された「グー鉄」が話題に。探してみると、こんなストリートビューも (C) Google ストリートビュー

2008年に登場したストリートビューは当初、車道沿いの景色を360度のパノラマ画像で見える、動かせるサービスだった。これが現在はさらに進化を遂げ、建物の内部や世界中の絶景スポットも見られるように。しかも、一般公開されていない場所もあり、現地へまだ行ったことがない人はもちろん、何度も行ったという人も楽める要素が多い。

あの「軍艦島」の建物内部まで見られる! リピーターも満足度高し

まずは、国内旅行から。長崎で人気が高い観光スポットといえば「端島」、通称・軍艦島だ。筆者は一度ツアーに参加して上陸したことがあるが、ツアーでは島の南部にある見学場所と船からでしか、軍艦島の遺構を見ることができない。しかし、ストリートビューでは、島のほぼすべてを見ることが可能だ。

ストリートビューでの軍艦島。集合住宅では建物内部だけでなく、9階の1階ごとに見られる場所もあり、当時そのまま遺された跡をたどれて興味は尽きない (C) Google ストリートビュー

見学場所にあった柵を越え、無数のがれきや雑草を越えた先にある建物の、内部にグングン入っていくと、部屋の中に見える台所、ベランダの柵や障子、襖、電柱などもはっきりとわかる。9階建ての集合住宅では、1階ごとに見ることができ、廊下に転がるミシンやベランダに置かれた壺など、当時の生活感が漂ってくる。

なにより「自分の足で歩き、島の隅々まで見学している気分になれる」ほどのリアルさだと感じた。

軍艦島ツアーで上陸した際、当時の遺構は指定された見学場所から遠目に眺めることができただけだった(2015年12月撮影)

撮影日は「2013年6月」との表記を見かけた。軍艦島に毎年行く人に「行くたびに崩れていっている」と聞いたこともある。実際に参加したツアーに加えてストリートビューも体験すると、軍艦島への興味がさらに高まり、再び現地へ行きたい気分になった。

「ピラミッド」や世界一高いタワー、バーチャルを超えたスリル

Google マップには「ストリートビュー アドベンチャー」というメニューがある。リストにあるのは、ブラジル・アマゾン流域、アメリカ・グランドキャニオン、イタリア・ベネチア、日本・富士山など23か所。いずれも日本語で紹介されている。

ストリートビューではエジプト・ギザのピラミッドも近くまで行ける (C) Google ストリートビュー

エジプト・ギザのピラミッドを見てみた。

約5000年前の歴史やピラミッド建設に使用されたブロック石の数、そして「探索する」をクリックすると、ピラミッドのすぐそばまでストリートビューで行くことができる。クフ王のピラミッドをほぼ真下から眺めたり、3大ピラミッド群を遠目から眺める展望スポットからの光景、ラクダのそばを歩いたり。

筆者は実際、現地に行って同じ光景を体験している。それと比較すると、まるでそのまま“追体験”した気分になった。

エジプト・ギザにあるクフ王のピラミッド。ストリートビュー同様、馬車の姿も(2016年12月撮影)

また、アラブ首長国連邦のドバイにある“世界一高いタワー”「ブルジュ ハリファ」では、窓の清掃用ゴンドラに乗り、タワーの80階から外側の眺めが見られる。眼下に見える高層ビル群すら小さく見え、バーチャルとはいえなかなかスリル満点だ。

UAE・ドバイにある世界一高いタワー「ブルジュ ハリファ」80階、しかも外側からの眺めが見られるのはとても貴重。高所恐怖症だとバーチャルでもけっこう怖く感じるかも (C) Google マップ

『タモリ倶楽部』放映で話題となった「グー鉄」

近年、人気観光スポットを巡る旅だけでなく、なんらか「テーマ」がある旅に興味を持つ人々が増えている。鉄道旅もその1つだろう。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で外出自粛もままならない中、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)で放映された「ストリートビューでオンライン撮り鉄! 偶然鉄道フォトコンテスト」が話題となった。6月26日に前編、7月3日に後編と2週にわたって放映され、これが「グー鉄」に絶賛されたとのことだった。

グー鉄とは、ストリートビューの中に偶然映っている鉄道を見つけるのを趣味とする鉄道ファンのことを指す。鉄道ファンと一括りに言っても、実のところさまざまなジャンルに細分化されている。乗り鉄や撮り鉄をはじめ、音鉄、時刻表鉄やスジ鉄(ダイヤグラム愛好家)、押し鉄(駅スタンプが趣味)、収集鉄、駅弁鉄などとても幅広い。ここに「グー鉄」が『タモリ倶楽部』が紹介されたことで、その存在が一気に知られることとなった。

ストリートビューで見られる、京阪電車の特急「8000系」が走る光景。大阪府枚方市の府道21号沿い (C) Google ストリートビュー

実際に、ストリートビューで鉄道を探してみた。一般道路と線路が平行して走っている場所が見つけやすそうだと、道路をどんどん進んでいくと、意外とすぐに鉄道が見えてきた。大手私鉄のように本数が多いほうが見つけやすい。ただ、1日の数本しかない地方のローカル線のほうがより旅行気分になれるし、なにより探しがいがあるだろうなとも思った。

アート好きにおすすめ!「Google Arts & Culture」

世界の美術館を巡るのが趣味の旅好きにとって、自由に旅行ができない今はつらい時期を過ごしているだろう。そんな人におすすめなのが「Google Arts & Culture」だ。Googleが、世界80か国あまり2000以上の施設と協力して実現したプロジェクトで、10万点を超える作品をオンライン上で無料で見ることができる。

掲載されている施設は、オランダ・アムステルダムのゴッホ美術館、アメリカ・ニューヨークの近代美術館(MoMA)やメトロポリタン美術館、イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館、イギリス・ロンドンの大英博物館やナショナルギャラリー、ロシア・サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館など、そうそうたる場所が名を連ねる。

「Google Arts & Culture」にある、フランス・パリのオルセー美術館。作品の詳細に加え、ストリートビューで館内を見ることもできる (C) Google ストリートビュー

例えば、フランス・パリのオルセー美術館を見てみると、所蔵品も1点1点、詳細とともに見ることができるのに加え、1クリックで美術館内のストリートビューが表示でき、まるでオルセー美術館の館内を歩いて見学しているかのような気分になれる。また、現在公開中のオンライン展示「1900-2013年オルセー美術館」では、かつて鉄道駅とホテルだったこの美術館が、現在に至るまでの経緯が日本語の解説と当時の画像で、とてもわかりやすく紹介されていて、とても見応えあった。一部英語の紹介文もあるものの、日本語翻訳も簡単にできる。

なにより、いまや貴重なコレクションの数々が、自宅のパソコンやスマートフォンなどで見られるが素晴らしい。筆者は過去2度、オルセー美術館を訪れたことがあるものの、膨大な作品をいまだすべて網羅できておらず、次に行く前にこれでじっくり“予習”しようと心の中で決意した。

ストリートビュー以外にも充実するオンライン旅行体験 

ストリートビュー以外にも「オンラインで旅行を楽しもう」という取り組みが、このコロナ禍で増加。大手旅行会社なども参入している。

Airbnbでは自宅にいながらにして世界が旅できる「オンライン体験」を提供中(画像:Airbnb)

世界最大の民泊サイト「Airbnb」では、旅行先ならではの魅力が現地で体験できるアクティビティが、新型コロナの感染拡大を受け、2020年4月に従来の対面型の体験を「オンライン体験プログラム」に切り替えた。

Airbnb事務局によると、日本国内で人気なのは「お坊さんとオンライン瞑想」「東京の酒蔵二十三代目当主から学んだビギナー向け日本酒入門」「バーチャル東京観光に出かけよう」とのこと。一方、海外では「プロシェフと一緒にメキシコの屋台風タコスをつくろう」「ペスト医師と行くプラハ疫病の歴史散歩」「ニューヨークのアーティストと一緒に心で描こう」など、興味をそそられる体験揃う。

例えば「お坊さんとオンライン瞑想」では、さまざまな瞑想を一緒に実践するのに加え、質問なども受け付けている。費用は1人当たり1500円で、「Zoom」をダウンロードしたパソコンまたはスマートフォンがあれば参加可能。参加者のレビューを見ると海外からが多く、「落ち着き、集中して、リラックスできた」「瞑想についての一般知識から具体的なことまで多く学べる」「瞑想を試したい人におすすめ」など、スコア4.9以上で絶賛のコメントが並ぶ。

また、大手旅行会社「H.I.S.」が販売するのは、オンライン体験オプションツアー(表示は通常価格)だ。

サイト上に載っているツアーを見ると、「インドの有名占い師 Saurabh (ラブ氏) によるオンライン占星術&手相占い」(4000円)、「ハワイ ワイキキ街歩き英話チャットレッスン お家からライブでツアーに参加(1100円)、「行った気になる観光セミナー~天空の遺跡マチュピチュ~」(1320円~)など、現地のガイドやスタッフらが案内する企画が多め。海外旅行で定評ある旅行会社ならではのラインナップが並び、1名から予約できるため、気軽に参加しやすい。自分でリサーチするだけでなく、現地の雰囲気を感じながら、旅のプロにオンラインでじっくり学べる良い機会といえる。

コロナ禍の今、旅行で気軽に現地へ行けないのは確かに辛い。一方で、ストリートビューをはじめとする「オンライン旅行」がこれを機にどんどん進化している。将来の旅行への予習に、過去の旅行を振り返るのに、自宅で手軽に楽しめる旅行の利用価値は大きい。

■記事中の情報、データは2020年9月5日現在のものです。

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  • 文・写真Aki Shikama / シカマアキ

    旅行ジャーナリスト&フォトグラファー。飛行機・空港を中心に旅行関連の取材、執筆、撮影などを行う。国内全都道府県、海外約40ヶ国・地域を歴訪。ニコンカレッジ講師。元全国紙記者。

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