『アンサング・シンデレラ』石原さとみを取り巻く“視聴率の呪縛” | FRIDAYデジタル

『アンサング・シンデレラ』石原さとみを取り巻く“視聴率の呪縛”

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『アンサングシンデレラ』の視聴率が気になる石原さとみ(‘19年)
『アンサングシンデレラ』の視聴率が気になる石原さとみ(‘19年)

コロナ禍の影響で軒並みスタートが遅れてしまった春ドラマ。その中でも、石原さとみ主演の『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)は、7月16日の初回放送の直前まで編集作業に追われ、関係者を慌てさせた。

「3月上旬にクランクインしていましたが、4月上旬にコロナ禍で中断。その後、6月に再開されたものの病院を借りてロケができないため、フジテレビの湾岸スタジオに病院のセットを組みロケを再開しました。

ところがその4日後、俳優・清原翔が脳出血で倒れてしまうというアクシデントに見舞われ、”同期の友”でもある成田凌が代役を買って出て、なんとか初回放送に間に合わせることができました」(制作会社プロデューサー)

まさに綱渡りの幕開けとなった『アンサング・シンデレラ』。その甲斐あってフジテレビの木曜劇場の枠では『グッド・ドクター』以来7作ぶりの二桁スタート。

さらに初回の見逃し配信でもフジテレビ歴代1位となる快挙を成し遂げた。しかし2か月に及ぶ中断の最中、体調管理に万全を期しながら、主演する石原は先の見えない不安と闘っていた。

「石原といえば‘18年の『高嶺の花』(日本テレビ系)では華道界のプリンセス、去年の『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)ではレストランのオーナーなど華やかな役を演じてきました。ところがどちらも二桁視聴率に届かず。それだけに今回は真価が問われるところ。

『アンサング・シンデレラ』とは、医療現場のまさに”縁の下の力持ち”の薬剤師。自粛の最中、石原はこのドラマが、逼迫する医療現場へのエールになる。さらに積極的に『励ますことのできる人になりたい』といった希望も口にしています。GP帯で主役を張り視聴率に一喜一憂する苦しさからも、今回の石原は解き放たれているのかもしれません」(ワイドショー関係者)

さらに30代に入り、石原自身の心境にも大きな変化が訪れていた。

「15歳で芸能界入りした当初は、目の前のことで精一杯。とてもまわりを見る余裕などありませんでした。20代に入ると『月9に出たい』『ファッション誌の表紙を飾りたい』といった夢に向かって邁進。

30代に差し掛かって、改めて沢山の人たちから支えられていることを知り、取材などでも感謝の言葉を口にしています。今まで取り上げられてこなかった薬剤師にスポットを当てた今回のドラマ。これは、石原自身がお世話になってきた”アンサング(縁の下の力持ち)”への感謝の気持ちなのかもしれませんね」(広告代理店関係者)

視聴率は第1話10.2%の好発進を見せるも、第2話9.8%、第3話8.8%、と下降。第4話で再び10.6%と持ち直したものの、第5話は一桁の9.4%。

石原の思いをよそに視聴率は一桁と二桁を行ったり来たり。“患者に寄り添う薬剤師”葵みどり(石原)の行動に苦言を呈する声もある。

「例えば第2話では、意識不明となった患者の親族に許可を取ってマンションを家宅捜索。入院カードを見つけ出し処方箋を確認するといった、現実には考えられない行動を取ってしまう展開に、リアリティがないと眉をひそめる医療関係者もいます」(放送作家)

かつて脚本家の倉本聰は、「ドラマという大きな嘘をついても、その嘘が本当に見えるように小さな嘘はつくな」と釘を刺し、ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)などでは、徹底的にリアリズムを追求しているが、本作はどうか。

「第4話では『薬剤師は医師の奴隷だ』と発言する医師の父に対して『今回(あなたを)救ったのは薬剤師だ』と声高に食い下がる薬剤師の息子との対峙が描かれている。しかし折角の真に迫るシーンも、ややリアリティにかけていると思ってしまうのは、実はスポンサーにも問題がある。放送基準に抵触しないまでも今回、大手調剤薬局や医薬品メーカーがスポンサーに名を列ねることがやはり、このドラマに感情移入しきれない理由なのかもしれません」(前出・放送作家)

石原演じる葵みどりが八面六臂の活躍を見せれば見せるほど、リアリティが感じられなくなってしまうこの矛盾は、やはり如何ともしがたい。そう思っていた矢先、第5話で石原はそういった我々の思いを払拭する。

「第5話では、みどり(石原)に信頼を寄せる患者・太一(伊武雅人)が死亡。みどりに渡そうとしていた太一の形見の野球のボールを瀬野(田中圭)から受け取り、そこに”ありがとう”と書かれた太一の震える文字を見て、みどりはボールを抱えたまま声をあげ大粒の涙を流す。

この”患者に寄り添う薬剤師”でいたいと願うみどりの涙は、”励ますことのできる人になりたい”と願う石原の涙。その思いに嘘がないことを知り、モヤモヤした気持ちが吹き飛んだのは、私だけではありません」(制作会社プロデューサー)

数々の試練を乗り越え、放送にこぎつけた『アンサング・シンデレラ』。視聴率の呪縛を振りほどいた石原さとみは、未曾有のコロナ禍に立ち向かうジャンヌ・ダルクなのか。いよいよ終盤に向けて、目が離せない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO香川貴宏

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