森友学園公文書改ざん 妻が語る「夫はこのコードで首を吊った」 | FRIDAYデジタル

森友学園公文書改ざん 妻が語る「夫はこのコードで首を吊った」

真実を求めて国と佐川宣寿・元財務省理財局長を訴えた

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本誌の取材に答えた雅子さんが、スマホに入った俊夫さんの画像を見せてくれた。改ざんを強いられる前は、明るい性格で表情も豊かだったという
本誌の取材に答えた雅子さんが、スマホに入った俊夫さんの画像を見せてくれた。改ざんを強いられる前は、明るい性格で表情も豊かだったという

「夫は居間の窓の手すりにオーディオセットのコードを括り付け、もう1本をそれに引っ掛けた後、自分の首を思いっきり縛っていました。帰宅した私はその姿を見つけて、すぐに身体を抱き寄せたんです。顔には絶望と孤独が溢(あふ)れていました。身体はまだ温かったんですが……」 

’18年3月7日を元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54)の妻、雅子さんはそう振り返る。俊夫さんは森友学園をめぐる公文書の改ざんを指示され、実行したことを苦にして自ら死を選んだ。

下写真に写っているのが、俊夫さんの命を奪ったコードである。

事件から2年あまり、雅子さんは真実を求めて動き出した。国と元財務省理財局長・佐川宣寿(のぶひさ)氏を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたのだ。俊夫さんは、改ざんは佐川氏の指示だと手記に書き遺している。7月15日には第1回口頭弁論が開かれ、雅子さんは堂々と意見陳述を行った。

「本当は裁判なんかやりたくないですよ。佐川さんから直接、話を聞ければ私はそれで良かった。お手紙も出したのですが、相手にしてもらえませんでした。だからもう裁判しか手段がなかった……夫が手記に書いたことは本当なのか、なぜ佐川さんは改ざんを始めたのか、私はそれを知りたいだけです」(雅子さん・以下同)

だが、第1回裁判終了後、菅義偉官房長官は公文書改ざん問題について「再調査は不要」という姿勢を変えることはなく、安倍晋三首相も記者団の問いかけに何のコメントも発さなかった。

「再調査をすることはそんなに大変なことじゃないと思うんですよ。国側にはたくさんの弁護団がついていますが、そんなことにお金や時間をかけるんじゃなくて、再調査してほしいです」

第1回の裁判を終えて雅子さんは、俊夫さんの墓前に報告をしたという。

「『無事に終わったよ』と話したら、気持ちが落ち着きました。夫は多趣味な人でしたね。書道や落語、建築、音楽……髪型は大好きな坂本龍一さんのマネなんです(笑)。私はあんまり趣味がない。私の趣味は赤木俊夫なんです。今もそれが続いています。

夫の言葉でよく覚えているのは、『人に合わせる必要はないんやで』。夫が亡くなって財務局の方がウチに来られた時、『妻のお前も組織の中にいるんだぞ』っていう空気を感じて、息苦しかった。でも、夫のあの言葉があったから、裁判をやろうと思えたんです」

喧嘩はほとんどせず、冬には隣に座ってコタツに入るほど夫婦は仲が良かった。

「『僕の雇用主は国民。国民のために働けることに誇りを持っている』と夫は近所の方に話していたそうです。国を相手に裁判を起こすことは大変なことですが、隣にいるべき人がいなくなったのに、このまま黙っているわけにはいかないです。いまは夫からバトンタッチされた気持ちで頑張ろうと思っています」

次の口頭弁論は10月14日。雅子さんに対して、国は真摯に向き合うべきだ。

俊夫さんの首に巻き付いていたコード。指さしているのは雅子さん。コードの途中が切れている。これは雅子さんが身体を下ろすためにハサミで切ったからだ。
俊夫さんの首に巻き付いていたコード。指さしているのは雅子さん。コードの途中が切れている。これは雅子さんが身体を下ろすためにハサミで切ったからだ。

 

雅子さんは裁判に合わせ、『私は真実が知りたい』 (相澤冬樹氏と共著・文藝春秋)を発売
雅子さんは裁判に合わせ、『私は真実が知りたい』 (相澤冬樹氏と共著・文藝春秋)を発売

 

『FRIDAY』2020年8月21・28日号より

  • 撮影鬼怒川 毅(上)相澤冬樹(下)

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