旅行に行きたいけど、自粛警察が怖い「かくれトラベラー」の実態

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旅行キャンペーン中だから行く?  それとも今は自粛?

新型コロナウイルスの影響により、海外はもとより国内の旅行すら、誰もが思う存分行けない、できない、楽しめない状況が続く。国が主導する旅行キャンペーン「Go To トラベル」が現在実施中ではあるものの、感染者数が多い東京発着および東京在住者を対象除外としたのに加え、全国的にも感染者数が依然多い状況では、胸を張って旅行に行こうという気分になれない人も多いだろう。

SNSで”旅自慢”はしたいけれど、炎上はコワい…コロナ禍で悩みつつも密かに旅する人々がいる(写真:アフロ) ※画像はイメージ

そんな最中においても、旅行をする人々がいるのも事実。それはいったいどんな人々なのか。調べてみると、いろいろなパターンの人々が見えてきた。共通しているのは、インスタなどSNSへの投稿がぐっと減ったことだ。

【パターン1】海外から国内へシフト、感染対策アピールも 

コロナ前まで、日本のパスポートがあれば、ビザなしですぐ行ける海外の国々は多かった。近年はLCC(格安航空会社)が次々と登場して航空券が安くなったのもあり、毎月ペースで海外へ旅行に行く人々も珍しくなくなった。韓国や台湾などだと、国内旅行よりも安いパックツアーもザラにあった。

沖縄・那覇空港は県独自の緊急事態宣言後も県外からの旅行客は少なからずいると聞く(2020年春撮影)

そんな人々の中には、今も旅行のペースをほぼ落とすことなく、今度は国内を旅している人たちがいる。北海道、東北、九州、沖縄・・・普段旅行しない人からすると、これでもよく旅行しているように見えるかもしれないが、毎月ペースで海外へ行っていた人からすると「ちょっとそこまで」の感覚だという。

しかも、SNSに旅行写真を投稿する時、合わせて「感染対策しています」とも発信している。新型コロナ禍中である現状は、とりあえず把握はしているのだろうとも伺える。

【パターン2】地元のホテル・旅館で優雅に滞在、豪華グルメ

一方、他の地域に新型コロナの感染を自ら広げたくないが、旅行はしたいという人々は、地元のちょっと高めのホテルや旅館に宿泊して優雅に宿泊、豪華な食事を味わいながら旅行気分を満喫している。

SNSで人気の旅行写真はグルメ。コロナ禍でもその点は変わらない ※画像はイメージ

特に、東京では「Go To トラベル」から除外された影響で今、空室が多くて安く泊まることができる。都内の某ラグジュアリーホテルでは、客室の稼働率が一時期は1割台まで落ち込んでいたのが、6月後半から5割程度まで回復したとも聞いた。客層は、以前にはほぼ見られなかった近隣都県からの家族連れが多いとのことだった。

【パターン3】公共交通機関よりも安全イメージ?  車やバイク

また、コロナ禍で増えたのが、車やバイクなどでの遠出。公共交通機関と比べて「3密」が避けられるイメージだから、と言うのが主な理由だ。6月19日に緊急自粛宣言が全面解除された以降、郊外のショッピングモールや道の駅、キャンプ場などは多くの車やバイクで賑わっている。急な帰省で「いつもは新幹線だが、今回はなんとなく車にした」と言う声も耳にした。

神奈川・湘南では海水浴客でにぎわい、車の渋滞も起きていた(2020年8月撮影/写真:アフロ)

車のドライブやバイクのツーリングだと、SNSで旅行写真を次々と投稿している人も目にする。イメージが何となくまだ良いからだろうか。

【パターン4】ネットへの投稿自粛、家族写真転向も

ただ、旅行に対するイメージは依然、良いとは言えない。実際に旅行はしていても「SNSなどへの投稿を控える」ケースが目立つ。

とある旅行が好きな女性は、緊急事態宣言が解除された翌日の6月20日、羽田から那覇へ飛び、沖縄旅行へ早速出かけていた。その後日、羽田から札幌へも飛んで小樽まで足をのばして観光を楽しんだ投稿を見かけた。

ただ、投稿のペースはコロナ前と比べて、明らかに少なめ。また、ツイッターのアカウントに一時期「鍵」もかけていた。沖縄旅行は直前に手配すると費用がとても高いため、緊急事態宣言の解除を見越して先に予約を入れていただろうし、また、小樽では当時“昼カラ”によるクラスターが発生していたのになぜ、とさすがに違和感を抱いた。

帰省ラッシュが始まった羽田空港国内線第2ターミナル。ただし、例年より人の密度は少なめ(2020年8月撮影/写真:アフロ)

普段こまめに旅行写真を投稿していた人が、今はごはん1枚だけ、とSNSの投稿が自粛気味になり、旅行写真の代わりに家族の写真が増えたという人もいる。

さらに、旅行をメインに活躍していたインスタグラマーによる最近の投稿を見てみても、海外で“インスタ映え”な投稿が並んでいたのが、今ではリアルタイム投稿は国内のみ、メインが旅行写真から子ども写真に変わったアカウントも見かけた。

【パターン5】航空会社のキャンペーン中に秘かな“修行”

新型コロナの特別対応で、ANAとJALが搭乗時に加算されるポイントが2倍になるキャンペーンを実施した。飛行機に乗る機会が減ることに対する上級会員向けの優遇措置であったものの、これに沸き立ったのが航空会社の上級会員を目指す“修行”を行う人々。例えば、最上級のダイヤモンド会員に到達するのに、通常の搭乗ペースの半分、費用も半分ほどで済むのだから、言い方は悪いが“おいしい話”に違いなかった。

2020年7月のANA機内。とても空いていた。この後、再び減便が増えている

4月や5月に搭乗率が激減した時、とある地方空港で「客のほとんどが修行の人たちだった」と聞いた。数こそ少なかったものの修行する様子をSNSに投稿する人も検索すると簡単に出てきた。まるで影武者の如く、目立たず淡々と搭乗をこなす様子が垣間見られた。

ただ、そんな人々の動きが緊急事態宣言後やゴールデンウィーク前後、ネットメディアなどで明るみに出て、やはり世間の批判を浴びた。その影響もあり、JALは2倍ポイントのキャンペーンを途中で中止した。

大半の人々は今も旅行を自粛している、今後は?

筆者の周りでは「旅行が好きでも今は自粛」と話す人々が大半だ。東京や大阪など都心部に住む人が多く、旅行という不要不急の外出で感染するリスクに加え、自らが感染源となることを懸念する声をよく耳にする。

一方で、旅行する人の中でも、公共交通機関を避ける人もいるし、「ウラジオストクの予定が淡路島になった」と、近場で日帰り旅行を楽しむ人もいる。また、東京・池袋にある体験施設でVR(バーチャル・リアリティ)を使って旅行を楽しんだり、機内食を味わったりして画像をSNSに投稿する人も見かけた。コロナ禍での旅行好きは、新たな楽しみ方をも模索しているように感じる。

東京・池袋にある「ファースト エアラインズ」では旅行をVRで疑似体験できる(写真:アフロ)

国が「Go To トラベル」を行っているのもあり、旅行自体を非難することはできないし、旅行者を一方的に責めるのもいかがなものかと思う。ただ、地方自治体が独自の非常事態宣言を発令し、地方に感染が確実に広がっている現状を見ると、「本当に今、旅行をしてよいのか」という質問への答えは、旅のプロからしても「今はできれば止める、まだ近場なら、感染対策は万全に、3密を避けて…」という感じだ。どうしても行くなら「くれぐれも気を付けてくださいね」としか言えない。旅行は本来、心の底から楽しむはずのもの、だが今は心境複雑、モヤモヤした気持ちが消えず、今後の旅行についても当面は「コロナ」が付きまとう。

■記事中の情報、データは2020年8月20日現在のものです。

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  • 文・写真Aki Shikama / シカマアキ

    旅行ジャーナリスト&フォトグラファー。飛行機・空港を中心に旅行関連の取材、執筆、撮影などを行う。国内全都道府県、海外約40ヶ国・地域を歴訪。ニコンカレッジ講師。元全国紙記者。

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