リベンジポルノの恐怖を描いた漫画「トラップ」のスゴすぎる中身 | FRIDAYデジタル

リベンジポルノの恐怖を描いた漫画「トラップ」のスゴすぎる中身

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会社員の菜穂は、交際している同じ会社の先輩、八島に結婚を申し込まれ、幸せの絶頂にいた。ところがその翌日、会社に1枚の写真が封書で届く。顔は隠されていたが、拘束された裸の女性が写っていた。これを見た菜穂は、過去の自分の写真ではないかと心配になる。なぜなら彼女は過去に、ある男に騙されて付き合い、拘束のうえ監禁され、写真を撮られたことがあったからだ。

そしてその日、菜穂の会社に転勤してきた男こそ、その写真を撮った“元カレ”、氷目崎だった……。

『トラップ〜危険な元カレ〜』第1巻(ruu著 パルシィコミックス)

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7月13日に刊行された漫画『トラップ~危険な元カレ~』第1巻は、かつて恋心を抱いた男性からのリベンジポルノに苦しむ女性の恐怖がつぶさに描かれている。主人公・菜穂は、その写真の存在を周囲にバラされてしまうのではないかという不安に苛まれ、元カレの身勝手な要求に不本意な思いを抱えながら応えようとする様も、見ていて苦しくなる。

漫画の著者・ruu氏に、本作に込めた思いを聞いた。

——リベンジポルノに苦しむ女性の恐怖や、その写真の存在をチラつかせて意のままに操ろうとする元カレの身勝手さがとてもリアルに描写されていると感じましたが、作品のテーマをリベンジポルノに決めた経緯や思いを聞かせてください。(聞き手・高橋ユキ氏 以下同)

「女性が感じる恐怖をテーマに作品を描こうと思った時に、自分にとってはリベンジポルノが一番怖いことだったのでテーマに選びました。自身が好感を持って接してきた相手がある日を境に突然変容してしまう、心を許していたからこそ見せていた姿を逆手に取られ、利用される恐怖をこの作品で描いてみたいと思ったのです」(『トラップ~危険な元カレ~』著者・ruu氏 以下同)

 

付き合い始めた途端に本性を現した氷目崎に監禁される菜穂(『トラップ〜危険な元カレ〜』第1巻より)

——元カレによるリベンジポルノで主人公の生活が一変してしまう様子は、実際にもありうる話で恐怖を覚えます。ruuさんのもとにはどんな感想が寄せられていますか?

「性的な写真をネタに脅される主人公の菜穂に対して『早く警察や恋人に相談しろ』という意見がある一方、実際にリベンジポルノの当事者になったという方からは『写真がネットにばら撒かれる事を考えたら相談がなかなかできない』という主人公に共感する意見もありました。

男性からの感想はまだ受けていません。一番多いのは氷目崎への『怖い』『むかつく』といった意見です」

——本作のように、本人は望んでいないのに裸を撮影されたケースもあれば、付き合っている時に相手を信頼していたため、求めに応じて……という場合もあるかと思います。交際している男性から、裸などプライベートな姿を撮りたいと求められることは、女性にとっては『意外とよくあること』なのではないかと感じています。撮影してしまう男性側に対しての思いがございましたら聞かせてください。

「恋愛期間中の人間同士は良くも悪くも特有の熱病にかかっているような状態です。恋愛感情の駆け引きの中、おふざけ気分でこういった写真を撮ってしまうという感情はわからなくもありません。しかし、男性には裸や行為の写真を撮ること自体が女性にとってリスクの高いことだということを大前提としてまずは認識して欲しいです。

また、男性が、そういった行為が自分への愛を示すことだと思っているのだったら、その考えは改める必要があると思います。女性からすると男性からの要求を断ると嫌われるんじゃないかという恐れがあり、断りづらい状況が生まれることが問題だと思います。付き合っている女性のことを愛しているのだったら、女性の考えを尊重して欲しいと思います」

——女性が被害者の犯罪行為については「女性にも落ち度があったんだろう」という趣旨の意見も、まだ散見されます。本作を拝読すれば、そのような意見は実情をとらえていないことがわかりますが、そんな意見に対して何かメッセージがございましたらお聞かせください。

「リベンジポルノのような悪質な攻撃を相手から受けている場合、このような『女性にも……』という意見については私個人としては真っ向から反対意見を述べたいと思っています。そういった風潮は、被害者が自分を責め、周りに相談できない状況を作ってしまい、さらに傷を深めてしまうことになる恐れがあります。被害に遭った人に寄り添い、相談できる状況を作ることが大事だと思います」

——このテーマで作品を描くにあたり、どのようなリサーチを行いましたか?

「国内外のリベンジポルノの事件を見て参考にはしていますが、特定の方に取材して作品を描いてはいません。自分がリベンジポルノを受けた時に感じるであろう恐怖や不安、その場合、近しい人達にどんな言葉をかけてもらえると嬉しいかを考えて描いています」

婚約者・八島の同僚として再び菜穂の前に現れた氷目崎(『トラップ〜危険な元カレ〜』第1巻より)

——1巻を読み終わった限り、かなり八方塞がりなシチュエーションですが、今後の展開について、許される範囲でお聞きしたいです。

「1巻の時点では1人で悩んでいる主人公ですが、この先は相談できる相手が出てきます。そうした人々の協力を得ながら、元カレ・氷目崎を撃退し地獄のような状況から抜け出していく様子を描きたいと思っています」

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『トラップ~危険な元カレ~』 第1巻1~2話 試し読み

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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