『半沢直樹』高視聴率の裏で「天空の城ラピュタ現象」発生中

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
『半沢直樹』の主役・堺雅人の家族。夫人の菅野美穂が家事を引き受けているおかげで、堺は仕事に専念できているようだ(18年6月撮影)

大人気を博している7年ぶりの『半沢直樹』(TBS系)。主役の半沢(堺雅人、46)が出向先から東京中央銀行に返り咲き、いよいよ第二部の幕開けとなった第5話の視聴率は、何とこれまでで最高値となる25.5%。最終的には紅白歌合戦をも抜くのでは!? という勢いだ(ちなみに2019年の紅白の視聴率は、第一部が34.7%、第二部が37.3%)。

異常ともいえる人気の理由は、「昭和の企業戦士が描かれていて男性たちが萌えている」、「勧善懲悪ものの時代劇のようでスカッとするから」など様々な考察が飛び交っている。が、究極のテレビ愛好家でエンタメ誌の編集者である人物から、こんな面白い指摘を受けた。それは、「もっと独特の理由」だと言うのだ。

一体どいうことなのだろう? 詳しく聞いてみた。

「私は2ちゃんねるウォッチャーでもあるのですが、人気のあるドラマは放送中にスレッドが立てられ、皆が放送を見ながらあーだこーだコメントを書き込みます。大抵のドラマは、立てられるスレッドの数はせいぜい1,2本なのですが、『半沢直樹』は私が見ただけでも9本くらいのスレッドが立てられていた。そして、それぞれに次々とコメントが書き込まれていました。

つまり、『半沢直樹』はもはやドラマではなくライブビューイングなのだと思います。皆が同じ時間に一斉に見て、『はい謝罪!』『どーげーざ!』と一緒にわーわー言う。半沢ファンはそれを楽しんでいるのです。サッカーや野球を見て『シュート!』『何やってんだ!』と叫ぶのと同じで、そこに深い理由なんてないのですよ」

バルス!

たしかに『半沢直樹』のセリフの言い回しは回を重ねるにつれて、「近づくなー!」「いらないのはお前だー!」などとシンプルで過激なっている。それは視聴者が合の手を入れたり、同じタイミングで同じセリフを叫んだりしやすいようにしているのではないか、と先の編集者は言う。

「大人気ジブリアニメ映画『天空の城ラピュタ』(1986年)のラストで、W主人公のパズーとシータが手を重ね合わせて『バルス!』と滅びの呪文を叫ぶシーンがあります。この『バルス!』ですが、なぜかジブリファンの心に深く刺さったようで、視聴者がパズーとシータと同じタイミングで『バルス!』と叫ぶのが定番になりました。今でもラピュタが再放送されると、『バルス』が叫ばれる時間を予測して、『この時間にTwitterで一斉に叫びましょう』といった呼びかけがされるほど。

『半沢直樹』の盛り上がりは、この『バルス』の中高年男性版という印象を受けます。だから皆、録画ではなく放送時間にきちんと見たいのでしょう。それがこのモンスター視聴率につながっているのだと思います」

実際、50代の男性会社員と付き合っている知り合いの女性記者は、「彼に今日は『半沢』を見るからとデートを切り上げられた」と衝撃を受けていた。いずれにしても、何かと気の滅入る出来事が多い昨今、それだけ楽しみにできるドラマがあるというのは喜ばしいことだ。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影西 圭介

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事