どこか大映ドラマっぽい復讐劇がクセになる『竜の道』その魅力

ドロドロの復讐劇、バイプレイヤーからも目が離せない!

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『竜の道』で双子の兄・矢端竜一を演じる玉木宏

コロナ騒動に巻き込まれて放送が後手に回ってしまった春ドラマ。各局、順次放送されて、そのトリを取るのが今回紹介したい『竜の道 二つの顔の復讐者(以下、竜の道略)』(関西テレビ、フジテレビ系・毎週火曜21時〜)だろうか。

ドラマの好みは人それぞれと思って欲しいのだが、個人的には一票を入れたい作品。記録的な猛暑の今夏に負けないほどの熱さと、ドロドロとした人間模様が毎週火曜のOAを心待ちにさせてくれるのだ。

自分の身分を捨てても、果たしたい復讐

“実の両親に捨てられて、運送会社を営む夫妻に引き取られた双子の矢端竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)。平凡で幸せな日々を送る矢端家に、大手配送会社『キリシマ急便』の社長・霧島源平(遠藤憲一)が近づく。霧島は業務拡大のために、両親の会社を奪い、そして自殺に追い込んだ。残された双子は霧島への復讐を誓い合い、育つ。そして竜一が選んだのは自分を火事による焼死を装い、別の人物として霧島を潰すことだった。”

と、これが『竜の道』のあらすじ。私が面白いとピンときた理由はいくつかあるけれど、まずはあり得ない展開の連打である。

火曜21時の関西テレビが制作するドラマは『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(2017年)に見られるように、実写化することが難しそうな世界観をドラマにしてくれることが多い。こちらの作品も警察の特殊部隊を取り上げて、新興宗教、政治、テロ……と抗議の電話が殺到しそうなあり得ない内容を放送していた。最終話で次作か映画化を匂わせていたけれど、あれはどうなってしまったのだろうか……(泣)。

『竜の道』も白川道によるハードボイルド小説が原作だ。まずあり得ない設定として、竜一は霧島に復讐をするには好都合だと、自分を焼死に見せかけて消してしまう。さらに整形を施して、双子の兄弟とは別の外見も手に入れるのだ。最近、深夜ドラマで昭和の大映ドラマを彷彿させるような作品がいくつか放送されている。でもどこかに“キュン”や怪演など、笑ってしまう要素がある。それも面白いけれど、真っ向からドロドロの展開でぶつかってくるのが『竜の道』。竜一に至っては一話から、二回も人物を変えていた。ちなみに今はITコンサルタントの会社社長・和田猛である。

双子の復讐劇をメインに、人間模様もいい感じに荒れていく。双子には妹が存在するのだが実は血縁関係はなく、どうも竜二が惹かれている。源平の娘は性格が歪んでいて、息子は父親の経営方針に反発中。毎話、新しいトラブルが勃発して双子の行く手を阻む。派手な効果音や演出があるわけではなく、原作の世界観が色濃く映し出されているのである。

多彩なバイプレイヤーたちからも目が離せず

作品を盛り上げる共演者たちも濃くていい。

双子から生涯恨まれる、剛腕社長・霧島源平を演じているのはエンケンこと、遠藤憲一。広島弁が印象的な経営者は、裏社会とも手を組んで次々に経営の手を広げていく。つまり、嫌なおっさん。昨今の“おじ可愛い”ブームや、エンケン本人のお茶目なキャラクターもあって、ドラマでもどこか憎めないような役が多かった。それが今回はゴリゴリのヒール役。彼がVシネマで活躍していた悪役時代が蘇ってくるではないか。

そして竜一が裏社会に身を置いていた頃、関係があったヤクザ組織の会長・曽根村始役には、西郷輝彦。毎度、親分らしく着物姿で登場して、ときには竜一を救う。そしてべらんめえ口調で喋る。この二人が出てくるとドロドロ加減がさらに増す。

ベテラン二人が悪さで攻めてくるなら、新人の悪どさもある。それが松本まりか演じる霧島まゆみ、源平の娘である。愛されずに育ち、金で全てを解決して欲望を手に入れていく。竜二を好きなまゆみは、義妹の吉江美佐(松本穂香)の存在を消そうとチンピラに襲わせる暴挙に出たことも……。

他にもシーンからシーンの移動に、似たようなシチュエーションをつなげて既視感を持たせる演出がいいなど語りたいことは続く。でもこの先は実際に作品を見て確かめて欲しい。夏に聞きたくなる怪談と同じく、クセになる何かが待っているはずだから。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真REX/アフロ

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