アキバの老舗メイドカフェが批判覚悟で「コロナ苦戦」を訴えた真意

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
取材に応じたメイド歴16年の店長、まほれさん(写真:竹内みちまろ)
更衣室・休憩室の換気などを含めコロナ対策は徹底している(写真:竹内みちまろ)

コロナ禍でメイドカフェが苦境に立たされている。7月19日に18周年を迎えた東京・秋葉原の老舗メイドカフェ「メイリッシュ」も例外ではない。自粛要請期間後、ガイドラインに沿って席数半分で営業を続けているが、秋葉原自体の人出も、コロナ以前には戻っていない。

そんな「メイリッシュ」では5月28日、メイド歴約16年で店長を務めるメイドの「まほれ」さんが、自身のTwitterにて、「6月の売上次第でメイリッシュの今後が変わってくるかと思います。かなり厳しい状況です。WR(メイド)にやれる事も制限があり集客に繋がるような企画ができない状況です。無事に18周年が迎えれるようにどうか皆さま宜しくお願い致します」(注/WR=ウエイトレス)と投稿。

この呼びかけは「#メイリがヤバい」のハッシュタグとともに拡散されていった。外出自粛が奨励される中、批判は覚悟のうえで投稿を行ったという「まほれ」さんに、呼び掛けの反響や、現在の状況を聞いた。

かなり厳しい……「批判は覚悟のうえ」で投稿

「メイリッシュ」は、“メイドカフェ”というジャンルがまだ一般的に確立していなかった2002年にオープン。まほれさんは、当時をこう振り返る。

「メイリッシュは、『癒し』と『サプライズ』をテーマに創業しました。当時はパソコンゲームが盛り上がっていたのですが、プロモーションイベントができる場所が少なかったため、ゲームのイベントができる場所としてオープンしました。

そのころは、いわゆる“オタク”の方々の居場所もほとんどなかったので、『せっかくなら、かわいいメイドさんがお茶を入れて、お給仕してくれた方がいい』と、メイドカフェという形になりました。開店当初は、メイドタイムとコスプレタイムに分かれていました。コスプレイヤーもたくさん働いていて、古くからのファンの方には、メイリッシュはコスプレカフェのイメージが強いかもしれません」

その後、2005年頃から、『電車男』の大ヒットなどもあり、メイドカフェブームが訪れ、「メイリッシュ」はメイドカフェを代表する存在として各メディアに引っ張りだこになる。が、ブームに流されることなく喫茶店スタイルを守り続け、アニメ化された人気ゲームの中にメイリッシュを参考にしたメイドカフェが登場したことで、“聖地巡礼”に訪れる外国人観光客の足も絶えない。

そんな「メイリッシュ」にも、コロナ禍が降りかかった。自粛要請期間中は営業を停止し、自粛後には昼の12時から夜の10時まで、席数半分で営業を再開。しかし、自粛によって秋葉原からも、「メイリッシュ」からも人出は遠退いた。売り上げはコロナ以前の半分以下に落ち込み、まほれさんがTwitterで訴えかけなければいけない状況に陥った。

「当時は、“外出自粛”もあり、『お店に来てください』とは言えない状況でした。みなさんもそのことが分かっていたと思いますが、そのうえで投稿したので、大きな反応がありました。批判は覚悟のうえだったのですが、ありがたいことに批判は少なく、逆に来て下さる方が増えました。常連さんをはじめ、10年ぶりに来たという方、Twitterを見て初めて来た方、また、他店の方々も心配して来て下さりました。

長く通って下さっている方が普段通りにカウンターにいらしたときは、こみ上げるものがありました。もともと愛されているお店だと感じていたのですが、それを上回るくらい、みんなお店のことが好きだったのだなと思いました」

この呼びかけが大きな反響を生んだ。(まほれさんTwitterより)

投稿を通して顧客の複雑な思いを知ることもできたという。

「ある方が言っていたのですが、これまで、閉店が決まってから突然、知らされることが多く、『もっと早く言ってほしかった』と感じていたそうです。今回、私は、事前にお店の状況を伝えたので、『コロナによって巻き起こされた状況を一緒に乗り越えるためのチームの一員になれた気がした』ともおっしゃっていました。

応援したいけどお店に来られないという人もたくさんいました。メイドの中には出勤することができない子もいましたが、お店に来ることができた子はフル稼働で頑張っていました。それぞれの状況に置かれていたのですが、向かっている方法はみんな一緒でした」

コロナ禍でメイドたちが目指すお店の「姿」

「メイリッシュ」は、無事に18周年を迎え、コロナ対策を徹底したうえで、現在も営業を続けている。店舗で開催している通常のイベントも、8月21日~23日の「バニーDAY」(メイドさんがバニーガール姿で給仕をする)から再開。お店にも、秋葉原にも、少しずつだが、人が戻り始めているそう。

まほれさん自身も今年、キャリアを活かして「外神田メイド協会」というプロジェクトを立ち上げた。コロナの前から計画されていたものだが、メイドカフェに関わる人達が協力して業界を盛り上げようという趣旨。

活動開始がコロナの時期と重なったため、当初の計画を変更し、現在は、秋葉原にあるメイドカフェの4店舗(メイリッシュ、JAM Akihabara、橙幻郷、ぴなふぉあ)と協力して、メイドカフェを盛り上げるための企画を考えている。2店舗間のコラボ企画などが行われることはあるが、4店舗が協力しての企画は極めてまれなケースといえよう。

「まずは実店舗の集客に繋がる企画が必要だと思いました。色々と失敗すると思いますが、経験を積みながら、縛られずに自由に、楽しいことをやっていきたいです」

「癒し」と「サプライズ」をテーマに18年間走り続けてきた「メイリッシュ」は今後、どんなお店を目指すのだろうか。

「今は目の前のことで精一杯で、先行きのイメージは浮かびません。コロナ以前と同じ社会に戻ることは難しいとも思いますので、“こうあるべき”ということが分からなくなっているのが正直なところです」

ウイルスの感染拡大は予断を許さぬ状況が続き、コロナが収束した後のイメージをまだまほれさんが明確にできないほど、社会のあり方自体も根本から変わってしまった。「ウイズ・コロナ」、「アフター・コロナ」を見据えたメイドさんたちの戦いは、始まったばかりといえるのかもしれない。

「2002年、『癒し』と『サプライズ』をテーマに創業しました」(写真:竹内みちまろ)
「外出自粛の時は『お店に来てください』とは言えない状況でした」(写真:竹内みちまろ)
「お客様の中には、応援したいけどお店に来られないという人もたくさんいました」(写真:竹内みちまろ)
「縛られずに自由に、楽しいことをやっていきたいです」(写真:竹内みちまろ)
  • 取材・文・撮影竹内みちまろ

Photo Gallary7

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事