何もなかった都内某所に「レンタカー墓場」が出現した背景

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2月の段階では何もなかった更地に、廃車するにはもったいないキレイな車が集まってきた

見た目がきれいな車が続々と集結

東京都内、荒川と旧江戸川を結ぶ中川沿い。新たに整備された3000平方メートルほどの空き地に黄色いステッカーを貼った車が増え始めたのは今年5月頃のことだった。その空き地はおそらく今年に入って整備されたものだろう。グーグルストリートビューで見てみると、2月の画像では真新しくまだ1台も車が置かれていない。

地元住民はこう明かす。

「5月頃はナンバーが付いていて、修理する前なのかなと思わせる車が多い印象でしたが、やがてナンバープレートを外した車が目立つようになりましたね。それにしても廃車にするには見た目もきれいで、室内も整っているように見えます。これでスクラップにするとは思えませんね」

7月の時点で70~80台まで増えたこのクルマたちはどこから来て、どこに行くのだろうか。SNSでカーシェアやレンタカーのニュースを発信する事情通の朝倉明夫氏(仮名)が詳しい事情を知っていた。朝倉氏はカーシェア歴11年でこれまで日本に存在する21社を利用してきた経験を持つ。

「7月16日に実際に見に行ったんですが、あの場所にあるのは、カーシェアではなくレンタカーとして使われていた車でしょうね。コロナ禍によって、レンタカーの利用者は激減して、大手のレンタカー会社はどこも大幅な減車となっています」

確かにレンタカーの利用者はコロナ禍以降、激減している。観光庁の調べによると近年は年間3000万人前後の訪日外客のうち約12%となる300万人以上(レンタカー利用台数では約100万台)がレンタカーを利用していた。平均利用日数は約6日、移動距離は1日約100kmという数字も出ている。とくに沖縄県では訪日外客のうち61%がレンタカーを利用しているという。

それが、コロナ禍以降はほぼゼロになっているのだから、レンタカー会社はどこも減車に走るのが当然と言えるだろう。

とはいえ、これらは決して廃棄されたものではない。再生される過程の途中で、もちろんなにかに違反しているわけでもない。では、レンタカーとしての役目を終え、まだ新しく十分に使えそうなのにナンバープレートを外して抹消登録となり、「墓場」に集められたこれらの車たちはこのあとどこへ行くのだろうか?

「やがて中古車として販売されるでしょう。ナンバーを外しているのは中古車市場が回復し売り時を待っていると思われます。競売にかけられる予定ではあるものの、処理が進んでおらずこの場所に滞留しているのでしょうね」(朝倉氏)

なるほど、一時的にレンタカーの減車が行われて中古車として販売されていく車が多くなるものの、その後は、『新しい生活様式』に合致した無人のカーシェア&レンタカーが増えていくのだろう。従来のようなカウンターでスタッフが対応する「有人レンタカー店」は減る傾向にあるようだ。これからもレンタカーの墓場は全国に増えていくのだろうか?

「レンタカーの『墓場』は一時的に増えるかもしれませんが、コロナ騒動が落ち着いて需要が回復すれば、この光景も消えると思います」(朝倉氏)

日本人利用者過去最高を記録したレンタカー会社

大手のレンタカー会社はどこも利用客大幅減で、苦境に立たされている中小のレンタカー業者も少なくない中、6月に有明店、8月に府中店をオープンし、7月には日本人利用者過去最高を記録したレンタカー会社がある。

千葉県野田市に本社がある「おもしろレンタカー」は首都圏を中心に全国12店舗。沖縄や和歌山にも店舗を持つ。車種のラインナップは実にユニークで、ランボルギーニやポルシェ、メルセデス・ベンツ、マイバッハなどの高級車をトップにミニバンやSUV、スカイラインGT-RやマツダRX-7など、80~90年代の旧車スポーツカーもレンタルできる。代表取締役社長の齊藤隆文氏はこう明かす。

「7月は梅雨がなかなか明けず天気が悪かったにもかかわらず、前年比売上げ2割減まで回復できました。日本人利用だけで比較すると前年比売上3割増で日本人利用者の数は過去最高となりました。インバウンド市場が回復するのは当分先になりそうですが、おもしろレンタカーならではのユニークな車種への日本人利用ニーズがあることが改めて明らかになりました」

コロナ禍をもろに受けるレンタカー業界だが、苦境の中で光をみつけた会社も早くも出てきた。感染拡大が再び広がり、文字通り刻一刻と状況が変わる中、「墓場」からもう一度蘇ろうとする気持ちを業者らが持ち続けられるかどうかを問われているのかもしれない。

中古車市場の回復とともに、市場に出回ると思われる車の数々
ナンバープレートは外されている
手前のBMWは、いくらで市場に出回るのだろうか
  • 取材・文加藤久美子撮影朝倉明夫

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