感染恐れ4ヵ月遺体放置…コロナや豪雨で凄惨化する特殊清掃現場

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猛暑の中、完全装備で消毒にあたる塩田氏。画像:塩田氏提供

「アパートでは、悪臭がずっと漂っていたらしいんです。しかし大家さんは、新型コロナウイルスへの感染を恐れ部屋のドアを開けなかった。結果、孤独死した方の遺体は猛暑の中4ヵ月も放置され、無残な姿になっていました」

特殊清掃業「武蔵シンクタンク」代表の塩田卓也氏が語る。特殊清掃とは、事件や災害現場をクリーニングする専門業務のこと。孤独死や浸水が起きた家屋の清掃、ウイルスなどの除菌、害虫の駆除などを行う。時間や曜日を問わず依頼が寄せられる職業だが、塩田氏によると今年は特に多忙を極めているという。

「要因は新型コロナです。3月下旬から、オフィスや一般家庭を消毒してほしいという依頼が殺到するようになりました。中には50階建てのビルのフロアーを、すべてきれいにしたいというオファーもあります。電話を1台ずつクリーニングしなければならないケースもあり、休日どころか寝る時間も削らないと対応しきれません」

コロナの影響で、現場は凄惨化している。

「誰かが孤独死していても、外出自粛の影響で近隣の人が気づかないことが多いんです。特に今年は猛暑で、外に出たくないという意識も働くのでしょう。おかしいなと感じても、実際に行動を起こさない。1〜2ヵ月、遺体が放置されることがザラになっています」

体液にたかっていたハエが飛んできて…

インタビューに答える塩田氏。もともと大工だったが親戚の会社の社員が投身自殺。体液や血液を清掃したことから特殊清掃業の道に

特殊清掃員は、感染のリスクとも隣り合わせだ。特に筆舌に尽くしがたい孤独死の現場では、危険が高まる。

「孤独死される方の家は、たいがいゴミだらけです。判別不能の物体が、床にたくさん落ちている。中には持病があったのか、注射の針が山積みなこともあります。不用意に踏んだら、感染するかもしれません。

自殺した方の部屋を清掃していた時のことです。飛び散った体液に、大量のハエがたかっていました。当時、私は鼻の下に小さなキズがあったんです。そこにハエが止まったので、慌てて引っかいてしまった。すると、みるみる患部が赤黒く膨れ無残な顔に。元に戻るまで、2週間は人と会えませんでした。以来、感染を恐れ月に2回は病院で検査を受けています」

近年、業務を煩雑にしている要因はコロナだけではない。猛暑や豪雨も影響している。

「最近ゲリラ豪雨で店内が水浸しになったと、近所のコンビニから連絡を受けました。現場に行くと水は引いていましたが、床は泥にまみれで多くの商品がビショビショ。『翌日には営業再開したいから朝までになんとかしてくれ』という店のオーナーの要望で、15時間以上かけ店内をきれいにしました。暑さの中で、完全装備の重労働はキツいですよ。

こうした仕事を、多い時には日に4〜5件こなしています。家に帰る時間もないので、車内で仮眠してから次の現場に行く。着替えや清掃用具は、常に車の中にあります」

新型コロナの消毒依頼ではソファーや電話もきれいに清掃

過酷な仕事だが、差別を受けることもあるという。

「遺体の現場を扱っていますからね。友人たちの集まりに呼んでもらえなかったり、私の車に乗るのを拒否されたこともあります。

毎日気が張っているのか、体調を崩すことはありません。ただ凄惨な場面に立ち会うため、メンタルをやられる人は多いですね。空手初段だという、体格のいい新人がいました。初めて、肉片が飛び散る事件現場に行った時のことです。彼は急に黙り込み、見ると顔が青ざめ手が震えている。彼は2時間もしないうちに、辞めてしまいました」

塩田氏を支えているのは、専門的な仕事で「自分にしかできない」という使命感だ。いつ依頼が来るかわからないので、大好きな酒を控え常にスグ出動できる準備をしている。

孤独死やコロナの清掃現場では様々な機器を導入。移動には大型車を使用している
企業の消毒依頼ではフロアーだけでなく会談の手すりも清掃
  • 写真塩田氏提供

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