堺雅人、大森南朋、香川照之…残暑に吹き荒れる「おじドラ」の魅力 | FRIDAYデジタル

堺雅人、大森南朋、香川照之…残暑に吹き荒れる「おじドラ」の魅力

人気のドラマから学ぶ「愛されおじ」のワケ

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この夏、『半沢直樹』(TBS系)を筆頭に「おじさん」が主役のドラマが各局で放送されている。家庭でも会社でも、仕事帰りの飲み屋でも、加齢しているというだけで、肩身の狭い思いをしているかもしれないおじさんたちがこの夏の主役……? 耳を疑うような状況だが、確かにドラマに並ぶのはOver40の俳優さんたちばかりなのだ。これはなかなか珍しい現象と言える。

この夏、いちばん熱い「おじ」はこの人。おじ群像ドラマの堂々主役をはる堺雅人はロケ現場でのオフショットもキレキレだ
この夏、いちばん熱い「おじ」はこの人。おじ群像ドラマの堂々主役をはる堺雅人はロケ現場でのオフショットもキレキレだ

一体どんな中年男性が描かれているのか? 代表的な4作品から「愛されおじさん」の特徴を追っていく。ひょっとしてこれを読めば、街のおじさんたちも主役にになれる魅力が作れるかもしれない。

基本は「いい人さ」が全面に出た『わたナギ』『おじカワ』

まずは世代問わず人気絶好調の『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)。鴫野ナギサを演じるのは大森南朋(48)。バリキャリだけど家事が全くできない相原メイ(多部未華子)を、家政夫としてサポートしている。

「かしこまりました。メイさんは今日何時にお帰りですか?」

「それが家政夫の仕事でございます」

ナギサの雇い主に対する半端ない従順さと腰の低さ。これが女性視聴者のキュンツボを刺し、番組放送中からSNS上にあがる

「可愛い~」

「癒される」

の声。彼は、愛されポジションを獲得している。

多部未華子演じるメイに感情移入する女子多数
多部未華子演じるメイに感情移入する女子多数

作品を見ていると「なるほど」と思うのだけど、私は大森南朋が可愛いキャラに収まっていることに驚いた。

’12年の大森南朋。ヒゲをたくわえた貫禄のある姿は、ナギサとは真逆のイメージ
’12年の大森南朋。ヒゲをたくわえた貫禄のある姿は、ナギサとは真逆のイメージ

ベテランであることは周知の通りだけど、元々はハードボイルドなイメージの俳優だったはず。それが時を経て、可愛いマジックにかかるのだから世の中は何が起こるのかわからない。そしてあなたもナギサのように、低姿勢で女性に接したら何か起こるかもしれない。

可愛いつながりで、ドラマ界に新旋風を吹かせている『おじさんはカワイイものがお好き。』(日本テレビ系)。ここで眞島秀和(43)演じる、小路三貴は仕事も振る舞いも完璧な「イケおじ」でありながら、生粋のキャラクターオタク。中でも『パグ太郎』を推しており、仕事中とは全く違う顔を持っている。

仕事から帰って誰もいない部屋で『パグ太郎』のぬいぐるみを抱きしめ、新商品が発売されれば恥を忍んで店へ向かう。これはおじさんが、可愛いものと真剣に向き合うドラマなのである。第二話で、ついに小路が推し仲間と出会い、今まで禁断の地だったキャラクターショップへ嬉しそうに出かけるシーンには腹を抱えて笑った。

だからと言って、無理にあなたがキャラクターのファンになる必要はない。小路のように誰にも邪魔されない、自分だけの趣味の世界を持つことこそが、おじカワの第一歩なのだと思う。

『半沢』『オヤハル』は体感50°Cレベルの熱さ

もはや説明不要の国民的ドラマ『半沢直樹』(TBS系)は、主演の堺雅人(46)をはじめ、全員が「熱いおじさん」。360度どこを向いても「アツおじ」が揃っている。大和田暁(香川照之・54)の熱さはすでにデフォルトの域。毎話終了15 分前になると、半沢と対決する者は、血管が切れるのではと心配させるほどの抑揚をつけてセリフを放っている。なかでも大和田の、

「死んでもやだね!」

この邪気あふれるセリフは、ネットニュースでも話題に。出演者全員、年齢のせいなのか揃って目に充血が見られる。これももまた生々しさを感じられていい。

番組ロケで浅草を歩く市川猿之助(44)と白パンの香川。『半沢直樹』で共演中の二人はいとこ同士でもある
番組ロケで浅草を歩く市川猿之助(44)と白パンの香川。『半沢直樹』で共演中の二人はいとこ同士でもある

演技の白熱ぶりが伝わってくるのだろう。ただ見ているだけなのに若干自分が疲れているのがわかる。それほどおじさんたちが熱いのだ。ただ気になったのは、若い人がこのドラマから何を感じ取るのだろうか?ということ。私がかつて会社員だった頃は縦社会が基本、東京中央銀行のような情景も見た。

でもこの世は令和である。もし私が就活中の学生なら「社会人はあんなに熱くなきゃいけないのか」と、フリーランスの道を選びそうな予感が……。そんな理由から、このドラマは若者と接する際の教材として捉えてほしい。そのまんま「俺も、半沢の気持ち、フーッ! 分かるなあ!!」などと共感していると、「愛されおじ」にはなれない。

さあ、最後のおじさんは『親バカ青春白書』(日本テレビ系)で、ムロツヨシ(44)演じる小比賀太郎。ひとり娘のさくらが可愛すぎて、一緒に大学入学をしてしまうほど、温度の高い愛情。校内では終始、行動をともにして、寄ってくる男性や誘いは全てお父さんが断ってしまう。救いは娘が若干天然なので、その熱すぎる親バカぶりには気付いていないということだ。

私服姿もキュートな愛されおじムロツヨシ(2019年の未掲載カットより)
私服姿もキュートな愛されおじムロツヨシ(2019年の未掲載カットより)

作品を手がけるのは、今ヒット連発中の福田雄一クルー。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)など、コメディ作品には抜群の安定と信頼があるので、気を抜いて見ているだけで十分。ただ賀太郎のマネをするのは危険なので、子どもと一緒にドラマの世界を楽しむつもりで、ぜひ。

と、これらがおじさんドラマブームを牽引する4作品と、その「愛され」ヒントだ。「愛されおじ」を目指してみてほしい。

実は年下好きなので、若手男子が活躍するドラマに目がいき、推してしまうことが多い。そんな趣味の私でさえも、その可愛さを追ってしまうほどバラエティ豊富なおじさんたちが揃った今期のドラマは、残暑を迎えてもますます熱くなりそうだ。

  • 取材小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 撮影近藤裕介 根本麻紀 原一平 島颯太写真Yumeto Yamazaki/アフロ(大森南朋)

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