重油大量流出事故対応で露呈した「小泉進次郎の無策」

現地政府は緊急事態宣言を出したが…… 巨額賠償問題に発展しかねない事態に

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靖国神社を後にする小泉進次郎環境相。この日は他に、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花をし、全国戦没者追悼式にも参列した

かつてない大規模な海洋汚染事故の対応が、はたしてこの男に務まるのか……。

7月26日、商船三井が運航する大型貨物船『わかしお』号が、インド洋に浮かぶ楽園・モーリシャス島沖で座礁、燃料の重油約1100トンが流出した。

事故はモーリシャス島の東にあるエグレット島自然保護区から2㎞沖合で起こった。ここはモモイロバトなどの絶滅危惧種が数多く生息、美しいサンゴ礁やマングローブ林で知られる。重油流出による海洋汚染は深刻な問題で、生態系の回復には20年以上かかると言われている。

海難事故の賠償について定めた船主責任制限条約では、賠償額は19億円が上限とされている。しかし、今回のケースでは安全な航海を脅かしたとしてインド人船長が逮捕された。もし過失があったと認められれば、この条約は適用されない。その場合は巨額の賠償金が発生すると、国連の関係組織である国際海事機関の職員パトリシア・シャルルボア氏は語る。

「賠償額は、最低でも5億ドル(日本円にして約500億円)に上るでしょう。重油の回収、生態系の再生、観光業のフォローなど支払いは多岐に亘(わた)ります。環境保護地域での重油流出ということで、世界中が日本政府の対応に注目しています」

そんな世界的関心事の解決に向け舵(かじ)取りを任されたのは、小泉進次郎環境相(39)だ。しかし、その無策ぶりがのっけからあからさまになっている。

現地政府は燃料の流出が確認された8月6日の翌日に環境緊急事態宣言を発令。「我が国には必要な技術も資金もない」と助けを求める同国に対して、世界中から支援の手が差し伸べられている。

その一方で、8月11日に現地入りした日本の国際緊急援助隊はたったの6名。しかも除染用機材の持ち込みはなく、主な任務は情報収集のみというお粗末さだ。

小泉大臣はその後も無策ぶりを世界中に露呈している。モーリシャス政府は8月14日付の声明で「環境汚染で生じた損害に関して法的責任を追及する」と表明。当事者である日本の環境相としてはすぐさま対応すべきところだが、8月15日、小泉大臣の姿は靖国神社にあった。

終戦記念日の参拝を済ませた小泉大臣は囲み取材をしようと集まった記者団を無視。呼び止める本誌記者には見向きもせず足早に車へと乗りこんでいった。

結局、モーリシャスからの切実な訴えに対し、小泉大臣が下した決断は援助隊を7人追加で派遣するというものだった。

小泉大臣の後手後手の対応を政治ジャーナリストの角谷(かくたに)浩一氏はこう嘆く。

「あまりの初動の遅さに呆(あき)れてしまう。そもそも大臣となるには力不足だったのではないか、とすら疑いたくなります。環境相として行ったのはゴミ袋に収集員へのメッセージを書こうとか、エコバッグやマイボトルを持参しようとか表面的なパフォーマンスばかり。参拝もその一環でしょう。小泉大臣が行くべきは、靖国ではなくモーリシャスではないのか」

世界が注目する大事件を前に、いままさに大臣としての資質が問われている。

座礁した『わかしお』号。事故当時船内ではパーティが開かれており、Wi-Fiに接続するため航路を外れ島に近づいたという(写真:時事通信)
当面の課題は重油の回収。強烈な臭いに加えて暑さ、さらに新型コロナウイルスの流行も作業を一層困難にしている(写真:時事通信)

『FRIDAY』2020年9月4日号より

  • 撮影濱﨑慎治(小泉進次郎)写真時事通信(2、3枚目)

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