人気俳優&有名監督作が目白押し!最新リモート作品こんなにスゴい | FRIDAYデジタル

人気俳優&有名監督作が目白押し!最新リモート作品こんなにスゴい

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柄本佑、広瀬アリス&広瀬すず、林遣都、千葉雄大……人気俳優たちも出演 各プラットフォームで配信中の”最先端”リモート作品を一挙紹介

8月28日よりAmazon Prime Videoで配信開始したオムニバス映画『緊急事態宣言』。ムロツヨシ・真鍋大度・上田誠による映像制作ユニット「非同期テック部」の作品「DEEPMURO」など計5作品が楽しめる 写真:Amazon Prime Video
8月28日よりAmazon Prime Videoで配信開始したオムニバス映画『緊急事態宣言』。ムロツヨシ・真鍋大度・上田誠による映像制作ユニット「非同期テック部」の作品「DEEPMURO」など計5作品が楽しめる 写真:Amazon Prime Video

新型コロナウイルスが猛威を振るい、「新しい生活様式」が提唱されてから、4ヶ月が過ぎた。

密集、密着、密閉の「3密」を避けるべく、スポーツの試合や音楽ライブは「無観客」で行ったり、インターネット上で楽しめるチケットを発売したりと方向転換。映画館は、1席ずつ座席を空けるなどの対応を行っている(9/19から、座席100%も可能に)。新型コロナ以前とはすっかり様変わりしてしまったが、皆が状況に対応し、娯楽を届けようと奮闘している姿にはエンタメの強さを感じさせられもする。

そんななか、現在進行形で台頭してきた「新しい表現様式」が、「リモート作品」だ。

この形式には2つの意味があり、1つは「完全リモートで制作した作品」、もう1つは「リモート生活を題材にした作品」。いずれのパターンも、コロナ禍によって生まれ出たものといえる。娯楽は受信者の「生活」や「常識」の移り変わり――つまり時代によって様々な形態に変化してきたわけだが、ある種の“最先端”といえるのかもしれない。

そこで今回は、国内のリモート作品をいくつか紹介したい。

『きょうのできごと a day in the home』『いまだったら言える気がする』(Huluで視聴可能)

4月初旬に緊急事態宣言が出され、早い段階で動いたのが行定勲監督。なんと下旬にはリモート制作の作品『きょうのできごと a day in the home』をYouTubeにアップした(現在はHuluで視聴可能)。行定作品の常連である脚本家・美術スタッフの伊藤ちひろが、企画の発起人だという。

こちらは、オンライン同窓会を行う男女の会話劇。だらだらと話していた男子たちのもとに、紅一点の女子が入ってきたことから、それぞれが抱えていた想いが噴き出し……。柄本佑高良健吾永山絢斗有村架純ら豪華なメンバーが出演し、話題を集めた。

今でこそ「オンライン飲み会」の画面を使った作品は見慣れたものになりつつあるが、当時は国内にはまだまだ少なく、行定組の先見の明を感じさせる。

なお、第2弾として中井貴一二階堂ふみアイナ・ジ・エンド(BiSH)が共演した『いまだったら言える気がする』も公開中。

【Hulu】詳しくはこちら

『カメラを止めるな!リモート大作戦!』(YouTubeで視聴可能)

『カメラを止めるな!』でヒロインを演じた秋山ゆずきさん。『カメラを止めるな!リモート大作戦』でも重要な役どころを演じている 『カメラを止めるな!リモート大作戦』より
『カメラを止めるな!』でヒロインを演じた秋山ゆずきさん。『カメラを止めるな!リモート大作戦』でも重要な役どころを演じている 『カメラを止めるな!リモート大作戦』より

こちらもスピード制作&公開となったのが、映画『カメラを止めるな!』(2017年)の続編的要素を含んだ新作『カメラを止めるな!リモート大作戦!』。『カメラを止めるな!』のスタッフ・キャストが勢ぞろいし、完全リモートで制作した。

本作は、「キャストが“自撮り”を行った映像を集め、家から出ずに新作を作る」という難題に挑むディレクターの姿を描いたコメディ。

エンドロールでは、300人を超す応募者から送られてきた映像素材をつなぎ合わせて流し、多幸感あふれる内容に仕上げた。なお、国内のみならず、カナダやカンボジアからも応募があったという。改めて、本作の人気の高さを証明する事例となった。

クランクアップを祝した打ち上げも、リモートで開催した。本作の肝となる「コチョコチョポーズ」をする出演者たち 『カメラを止めるな!リモート大作戦』より
クランクアップを祝した打ち上げも、リモートで開催した。本作の肝となる「コチョコチョポーズ」をする出演者たち 『カメラを止めるな!リモート大作戦』より

『リモートドラマ Living』(NHKオンデマンド等で視聴可能)

上2つは、映画関係者が率先して動いた作品たちだが、5月に入ると各テレビ局が本格的にリモート作品の制作に着手し始める。NHKは、『東京ラブストーリー』『最高の離婚』の人気脚本家・坂元裕二を招へいし、『リモートドラマ Living』を作り上げた。

こちらは、〆切間近の小説家が妄想する“4組の家族”を描いた物語。何と言ってもレアな共演が売りで、広瀬アリス×広瀬すず永山瑛太×永山絢斗といった姉妹や兄弟、中尾明慶×仲里依紗青木崇高×優香(声の出演)といった夫婦を起用。

広瀬姉妹はネアンデルタール人の生き残りを演じ、永山兄弟は未来人に扮してコロッケを作るという独創的なファンタジーになっている。

【NHKオンデマンド】詳しくはこちら

『世界は3で出来ている』(FODで視聴可能)

フジテレビは、林遣都が3つ子を演じる、という斬新な企画のドラマを制作。公式サイトには「これはいわゆるリモートドラマというくくりではなく、リモートによる打合せと、密を避けての安心安全な撮影を徹底した、いわばソーシャルディスタンスドラマである」という一文があるが、ぜひ紹介させていただきたい。

映画やドラマの制作において、3密を避けるには、物語に大きな制約が生まれてしまう。その逆転の発想として、1人3役を考え出したのは天才的だ。しかも、当代きっての演技派・林を起用したことにより、物語的にも違和感がないだけでなく、彼の驚異的な職人芸を楽しめるというナイスなサプライズ付き。

内容的にも、緊急事態宣言が明け、3ヶ月ぶりに兄弟が顔を合わせるという設定に加え、今まさに私たちが感じている“変化”や“戸惑い”を見事に掬いとり、同時代性あふれる物語に仕上がっている。

【FOD】詳しくはこちら

『リモートで殺される』(Huluで視聴可能)

こちらは、日本テレビとHuluで放送&配信されたスペシャルドラマ。舞台は、緊急事態宣言による自粛期間中。オンライン同窓会を行っていた同級生6人が、何者かによる連続殺人に巻き込まれていく。

秋元康が原案を務め、『リング』(1998年)の中田秀夫監督とタッグ。本田翼新田真剣佑柄本時生早乙女太一前野朋哉齋藤飛鳥(乃木坂46)、前田敦子といったバラエティ豊かな若手が集結した。

完全リモート制作ではないが、出演者の共演時間を最小限にとどめ、シーンの大半がデスクトップの画面を映したものにしているなど、細やかな気配りが行われた本作。中田監督らしいホラー演出もちりばめられており、出演者の熱演も目を引く。

画面の向こうでリアルタイムで事件が起こる、といったつくりは、全編PC上の画面で展開するホラー映画『アンフレンデッド』(2014年)やサスペンス映画『search サーチ』(2018年)など、この5年ほどで海外では流行している形式。ホラーやサスペンスは「制限」をいかに上手くもたらすかが重要視されるが、新型コロナの不可抗力とはいえ、日本でもこういったサスペンスが生まれてきた流れは、実に意義深い。

【Hulu】詳しくはこちら

『40万キロかなたの恋』(Paravi等で視聴可能)

テレビ東京で放送された『40万キロかなたの恋』も、アイデア性が光るドラマだ。3密を避けるべく、メインの舞台を宇宙船に設定。千葉雄大演じる偏屈な宇宙飛行士の単独任務を描く、というストーリーに仕立てており、1人芝居のパートを多く設けている。

本作が興味深いのは、グリーンバックで撮影し、宇宙船の船内を合成して作り上げているという点。ウィズコロナのテレビドラマ制作の可能性を感じさせる一手といえよう。また、主人公の宇宙飛行士の相棒となるAIの声を吉岡里帆、主人公の元恋人であり、地球からリモートで取材を試みるディレクターを門脇麦が、それぞれ演じている。

デヴィッド・ボウイの息子である鬼才ダンカン・ジョーンズ監督の名を知らしめたSF映画『月に囚われた男』(2009年)や、巨匠リドリー・スコット監督とマット・デイモンが組んだSF映画『オデッセイ』(2015年)など、宇宙ものは1人芝居になるものも多く、今の時期に制作するには格好の題材といえるのかもしれない。トム・ハンクス主演の映画『キャスト・アウェイ』(2000年)のような遭難ものも1人芝居で成立するため、そういったジャンルへの挑戦にも期待したい。

【Paravi】詳しくはこちら

『JOKE 2022パニック配信!』

NHKが8月10日に放送した新作ドラマは、宮藤官九郎が脚本、生田斗真が主演したサスペンス。

舞台は、ポストコロナの2022年。不祥事を起こしてコンビを解散した芸人・沢井(生田)は自ら“ステイホーム”を選択し、自宅からライブ配信を行っていた。しかしある日、生配信中に謎の電話がかかってきたことから、彼の生活はめちゃくちゃにされていく……。

誹謗中傷やフェイクニュース、アカウントの乗っ取り等々、シニカルな描写が目立つブラックな仕上がりになっており、かなり攻めた内容といえるだろう。「45分、生田がほぼしゃべり続ける」という構造は、『世界は3で出来ている』『40万キロかなたの恋』にも通じる。

ほぼ家の中だけで進行する一種のワンシチュエーションものであり、日本でも話題になった“声だけ”で犯人を追う映画『THE GUILTY ギルティ』(2018年)と通じる描写もちらほら。タイトルには『JOKE(冗談)』とあるが、なかなかに笑えないストーリーにぞっとさせられもする。

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今回挙げたのは一例であり、Amazon Prime Videoは8月28日からオムニバス映画『緊急事態宣言』を配信。こちらは園子温監督、中野量太監督、ムロツヨシ真鍋大度上田誠による映像制作ユニット「非同期テック部」真利子哲也監督、三木聡監督といった5組のクリエイターが“緊急事態”をテーマに作り上げた作品群だ。

【Amazon Prime Video】詳しくはこちら

『緊急事態宣言』キービジュアル 写真:Amazon Prime Video
『緊急事態宣言』キービジュアル 写真:Amazon Prime Video

配信サービスでは、Paraviのオリジナルドラマ『love⇄distance』も、コロナ禍での人々の生活を題材にしている。同じマンションに暮らす男女6人を水川あさみ清原翔渡邊圭祐らが演じており、フォトグラファーが仕事がなくなってしまったり、雑誌編集者がリモートワーク中心になったり、マスクをつけて会話する描写があったりとリアルなシーンが多い。

どちらも新型コロナの状況下で生まれた企画であり、また新たな可能性を示してくれることだろう。予想以上の長期化も想定しなければならなさそうな状況ではあるが、クリエイターたちは「今しかできない」作品作りに腐心している。

平穏が彼方に飛び去ってしまったような危機にあっても、彼ら創作意欲は尽きることがない。エンタメに支えてもらいながら、この“今”を乗り切っていこうではないか。

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

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