前科3犯VTuber・懲役太郎が語る「下着はお古」の刑務所事情 | FRIDAYデジタル

前科3犯VTuber・懲役太郎が語る「下着はお古」の刑務所事情

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囚人服姿の彼がVTuberの懲役太郎氏。”バーチャル刑務所”に服役中という設定だ(提供写真)
囚人服姿の彼がVTuberの懲役太郎氏。”バーチャル刑務所”に服役中という設定だ(提供写真)

「懲役太郎」という言葉をご存知だろうか。

何度も刑務所に入っている人のことを指す、受刑者や極道、刑事弁護士などが用いる用語だ。そんな用語から名前を取っているのは、今人気のバーチャルユーチューバー(以下、VTuber)・懲役太郎氏。

VTuberとは、現実に存在する人が出演するYouTuberと違って、アニメーションなどの仮想キャラクター(通称、アバター)が出演する配信形態である。キャラクター制作は3DCGを使うことが多く、アフレコを行う形で動画を作成している。

懲役太郎氏も、実在しないアニメーションのキャラクターである。彼は、“仮想空間にあるバーチャル刑務所に服役中で、職業訓練の一環としてYouTube活動を行う”という設定で動画を配信している。

現在、YouTubeチャンネルの登録者数は19万人と人気急上昇中なのだ。実際に彼を演じる”中の人”は、ヤクザの若頭だったこともある人物。それ以外はヴェールに包まれている。

そんなVTuberの素顔を探るべく、記者は”リアル懲役太郎”に会ってみることにした――。

動画では面会室のアクリル板越しに語る懲役太郎氏の姿が。まばたきまでリアルに再現されている(YouTubeより)
動画では面会室のアクリル板越しに語る懲役太郎氏の姿が。まばたきまでリアルに再現されている(YouTubeより)

「前科3犯、893番、懲役太郎です!よろしくお願いします」

バーチャル刑務所のアクリル板越しに、記者にこう挨拶をしてくれた彼こそが懲役太郎氏。約30年間にわたって極道の道を歩み、3回の実刑を経験している。現在もバーチャル刑務所に服役中だ。いったい、どんな罪を犯してきたのか尋ねると、

「刑務所で刑務官が“『893番、懲役太郎です、おはようございます』と、このように挨拶するんだぞ”と教えてくれたセリフを動画配信でも使っています。私の前科とは、1回目は抗争用に用意した大量の銃を自宅に保管していたことによる銃刀法違反、2回目は抗争相手の組員を拉致したこと、3回目は若い衆が飲食店からみかじめ料を取ったことに対して、当時若頭であった私が使用者責任に問われました。

現役時代は、恐喝専門でした。例えば、性被害に遭ったから助けてほしいと相談を持ってくる人がいると、加害者を脅かしてお金を巻き上げるのが仕事でした。ただ、40代半ばを過ぎたころに、“このまま組に自分の身を捧げる生活をし続けていたら、敵は増える一方だし、いつ何時逮捕されるかもわからない状態にいる”と気づいたので、ヤクザ以外の生き方をしたいと思うようになりました」

懲役太郎氏の年齢は、50代。最後の服役は15年以上前だという。暴力団排除条例により、カタギになってから5年間は銀行口座新規開設ができず、カタギになって15年経った今でも、生命保険に加入することができていないなど、「元極道の道は、険しいと」と懲役太郎氏は語る。

彼の場合はサラリーマンとして会社勤めすることが難しかったため、建設や運送で働きたい人に仕事を斡旋するという事業を生業にしていたという。そんななかで「なにか世のためになることをしたい……」と考えた末にたどり着いたのが、動画配信だったのだという。

「ニュースでは犯罪の事実と少しの背景しか報じられないので、裏社会を歩んできた僕ならではの犯罪の裏側を動画で配信しようと考えました。何か事件が起こった時に、“懲役太郎に聞けばいい”と言われるような、犯人の気持ちが分かるご意見番になりたいです」

漫画を読み聞かせした刑務所生活

3度の服役経験がある懲役太郎氏に刑務所生活を振り返ってもらうと、日常生活では起こり得ない日々を思い出すのか、ときおり苦笑いしながら当時のことを明かしてくれた。

「私が入っていた頃の刑務所では、まずとても硬い畳の上に薄い布団を1枚敷いているだけなので、身体が痛くて朝起きることができない日々が続きました。そういう状態で寝ているので、睡眠の質も悪かったです。

あとは、空調がないので、夏場は熱中症で亡くなる方もいます。それだけじゃなく、着用している囚人服は吸収性、伸縮性ともにゼロに近いので、汗をかいても、吸収してくれないんです。しかも、貸し出される服や下着は、すでに出所した人のものを使い回すので、使い古された感があり、特に下着なんかは違和感がかなりあります。だって、人が使った下着を着ることなんてあまりないでしょ。

刑務所内での人間関係でいうと、まともに教育を受けてきていない人が多々いるので、中には漢字が読めない人もいます。そういう人たちは漫画が読めないんですよ。なので、差し入れで届いた漫画雑誌を私が読み聞かせしていましたよ(笑)」

‘07年に監獄法が廃止されてからの最新の刑務所事情を尋ねると、「すごいんですよ!」と自身の体験した日々との違いを教えてくれた。

「主に初犯の人しか入れないのですが、一部の最新刑務所には牢獄に鍵がないんです。なので、出入りは自由ということなんですよ。じゃあどうやって受刑者の動きを監視するのかというと、受刑者一人一人に無線タグを着けていて、施設内での位置情報をリアルタイムで把握できるようになっているんです。一部の施設では、1日の作業終了後、あるいは免業日の自由時間に行動制限が緩和されることもあります。その際、刑務官なしでの単独行動が許されるそうですよ。

牢獄の中には、空調もエアコンもありますし、ベッドもあります。めちゃくちゃ快適ですよね。とはいえ、最初に述べた通り、すべての受刑者がこういった刑務所に入れるわけではありません。受刑者が社会復帰に向けて反省や更生をするうえで、どのような刑務所が最適なのかはまだ行政側が議論をしている途中なので、今後どう変わっていくのかには注目しています」

懲役太郎氏は、ファンサービスの一環で一般の人からの電話相談にも答えているという(※現在はシステム改修中のため募集休止中)。実際に寄せられた相談内容は、どういうものなのか。

「『身内が逮捕されたのですが、どのくらい刑務所に入ることになるのでしょうか』といった前科者の視点からの相談や『旦那と離婚したいんですけど、なかなか同意してくれないんです』、『元彼からストーカーされているのですが、どうしたらいいでしょうか』などと言った日常に潜む犯罪の種になりそうなトラブル相談にも答えている。

僕自身できることがあれば、なんでもしますよ。例えば、トラブル内容に応じて知り合いを派遣したり、第三者の立場からトラブルの相手と直接電話で話したりします」

VTuberとして職業訓練に励みながら、懲役太郎氏は更生の道を歩んでいる最中である――。

  • 取材・文村嶋章紀

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