シヤチハタが激白!ウィズコロナ時代の「ハンコ業界の本音」

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ハンコ不要論で「電子印鑑」に企業が殺到! ハンコはどうなる?

リモートワークの増加で、以前から問題視されていたハンコに対する風当たりが一層強くなっている。緊急事態宣言時はもちろん、現在も予断を許さない状況の中、ハンコを捺したり、もらうためにわざわざ出社せねばならぬという効率の悪さのみならず、リスクに対しても、この数ヵ月で一気に方々で不満の声が上がるようになった。 

ハンコの必要性は「誰がこの書類に責任を持つか」だ。※写真はイメージ

そんな中、内閣府、法務省、経済産業省の連名で「押印についてのQ&A」が各方面で話題となったことも記憶に新しい。

「問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にはならないか。」への回答として「特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。」「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。」と記載。

ほかのアンサーでも「不要な押印を省略したり、『重要な文書だからハンコが必要』と考える場合であっても押印以外の手段で代替することが有意義であると考えられる」との見解を示すなど、国としても不要不急のハンコ文化を改めるべきという姿勢を表明している。

とはいえ、これまでの慣習もあって請求書には社印を捺すというルールが一般化している。

このため、持ち運びのできない社印を捺して請求書を出すために出社せざるを得ないという経理担当者の悲鳴も多く聞かれ、さらに上司からの許可を得るために書類にハンコをもらわなければならないことがネックになっている場合もまだ多いのではないだろうか。

ハンコの必要性は「誰がこの書類に責任を持つか」であり、通常業務の範囲内であればWEB上で済ませられるはずである。

そんな認証方法で普及が急速に進んでいるのが「電子印鑑」のシステムだ。「電子印鑑」はPC上の書類にハンコと同様に承認印を捺せるシステムで、これを捺すと誰が承認したかが一目瞭然となり、書類が改ざんされても分かるようになるというもの。この電子印鑑ソフト「パソコン決裁Cloud」を開発したのは、ネーム印でおなじみのシヤチハタだ。

シヤチハタは、いわゆる一般的に「シャチハタ」と呼ばれる簡易的なハンコ=ネーム印のメーカー。紙ベースの決裁で使われることが多いネーム印のメーカーが電子印鑑のシステムを開発したということは、ハンコ文化に変化をもたらすきっかけになるのではないだろうか。そこで同社にハンコを取り巻く環境の現状と、電子印鑑について聞いてみた。

1925年に創業された、シヤチハタの前身となる舟橋商会。「万年スタンプ台」が大ヒットした

「電子印鑑」に4ヵ月で27万件もの申し込み

まずは、リモートワークの増加で「ハンコ不要論」については、シヤチハタも「ハンコを捺すためにだけに出社しないといけないというのは、問題であると捉えています」と、不便なことを認めている。

ただし、「紙の文書での印鑑は社内外での承認をわかりやすく記録に残す点では優れているので、すぐになくすことは混乱を招く結果となり、且つ手続きがかえって煩雑になってしまうとも考えられます」と、不要論による急速な方向転換にも慎重。

さらに、すべてが電子印鑑で解決できるものでもなく、中には「就労証明書など、紙の申請書で会社印が必要となる書類もあり、一概に印鑑と比較することはできません」という案件もあるから複雑だ。

まだまだ物理的なハンコが必要な場面もあるが、コロナ禍もあって企業の電子印鑑への移行も活発になってきている。

「(シヤチハタでは)『パソコン決裁Cloud』という電子決裁サービスを提供していますが、3月の非常事態宣言発令以降、非常の多くの申込みを受け、3月以降6月末までに印鑑データで27万件もの申し込みがありました」(シヤチハタ広報担当者 以下同)

ちなみに同社ではこのソフトをこの期間限定で無料で利用できるサービスを提供していて、そのまま契約にいたるケースも多くあったという。各企業もなるべく不要な出社を控えるようになり、関連してオンライン上での決裁の必要性を感じている結果だろう。電子印鑑サービスの開発もさらに進んで行くことは自明だ。

1968年に「シヤチハタ ネーム」を発売。今日までシヤチハタが簡易ハンコの通称として使われるほどの影響力を発揮している

ネーム印のシヤチハタが示した転換期 

ハンコは本来「本人がその意思を示した」という意思表示であり、他人が成り代わって契約などしないようにするセキリュティ的な意味合いが強いものだ。

これまで慣習やそういったセキュリティ上の事情から、紙ベースの契約や決裁がまだまだ幅を利かせていたが、今回のコロナ禍によって、その牙城も崩れつつある。今後、WEB上でのやり取りが中心となる中、電子印鑑のようなシステムの利用が増えていくだろう。

そんな状況の中、ネーム印というアイテムで日本の紙決裁文化を支えてきたシヤチハタが、電子印鑑システムを開発したのは、今後の働き方の変化の一例として興味深いものだ。

では今後をリアルな目線で見た場合、ハンコを取り巻く環境の変化をシヤチハタではどう見ているのだろうか。

「シヤチハタは簡易なハンコしか扱っていませんが、予測は立っていません。 

しかし、利用企業の規模や利用数等から想定すると、テレワーク就業スタイルが定着するなど、社会に“新しい生活様式”が確立することを予感させられます。 

認証ツールに係わらず、今後企業は時代の変化に合わせて変わらなければ生き抜けないと考えております。そのために広くアンテナを張り社会の変化を注意深く観察しながら、次に何をしなければならないのかをトライアンドエラーを続けながら見つけて行きたいと考えております」

電子印鑑が普及しても、契約によっては物理的なハンコが効力を発揮することもまだまだ多いだろう。ハンコは手間がかかる分だけ、セキュリティや証拠能力の高さも持ち合併せている。

だからこそ、今後は電子印鑑を含む新しい決裁方法をうまく活用して、必要なハンコ文化とハンコレスな効率的な作業環境を整えて、しっかり棲み分けができる状況を作っていくべきではないだろうか。

はちなみに、思い切ってシヤチハタに「社内でハンコ不要論は出ていませんか?」とたずねてみたところ、もちろん「出ていません!」。そうですよね。失礼しました!

1970年の大阪万博では、さまざまな企業パビリオンにシヤチハタの「Xスタンパー」を設置。多くの来場者が記念スタンプを捺した
  • 取材・文高橋ダイスケ

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