コロナ禍でも成功!日テレ「24時間テレビ」知られざる舞台裏 | FRIDAYデジタル

コロナ禍でも成功!日テレ「24時間テレビ」知られざる舞台裏

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PHOTO/AFLO
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新型コロナウイルスの感染拡大下という未曽有の状況のなか、バッシングを恐れることなく『24時間テレビ』(8月22~23日)の放送に踏みきった日本テレビ。43回目となる今年度は「動く」をテーマにし、メイン会場となる両国国技館を無観客にして対面募金を中止した。さらに、番組の象徴といっても過言ではないチャリティーマラソンを中止して放送に臨んだのだ。

「あまりにもいつもと違う『24時間テレビ』に誰もが困惑していた」と日本テレビ関係者が漏らすほどの異例ずくめ。まず大きく違ったのが、制作体制だ。例年なら会場となる国技館は、胸部がオレンジ、腕と首部分が黒色に彩られた「制作Tシャツ」を着たスタッフでごった返しているはずなのだが…。

「販売しているチャリティーTシャツとは違うもので、制作スタッフとして選抜された者のみに配布されるのがこの制作Tシャツ。イニシャルナンバーが入っているのがいちばんの特徴。たとえるなら警視庁の捜査一課のバッジのようなものです。いつもならこのTシャツを着たスタッフが、舞台裏を闊歩するんですが、今回は数えるほどしかいなかった。ちょっと寂しかったですね」(日テレスタッフ)

それもそのはず。当初、スタッフは制作や技術チームなどを含め、1000人単位の体制になることを想定して、シフトなどを組んでいたという。しかし、その数日前になってコロナ感染を警戒する声が高まり、7割以上のスタッフが勤務を外されたのだとか。

その結果、約300名ほどの人数で『24時間テレビ』の本番に臨むことになったという。

出演者や関係者の絞り込みに合わせるように、名物の「差し入れ」も無くなった、と証言するのは別のスタッフだ。

「会場の入り口に用意されている飲み物やお菓子などの差し入れが、つらい作業が続く中での楽しみのひとつでした。名物は冷やしキュウリなんですよ。暑い中で冷えたキュウリを食べると、タマらなく上手い。あとはジャニーズ事務所から届けられるコッペパン。他にもマイセンのサンドイッチ類などなど。オーベルジーヌのカレーも人気だったなあ……」(出入りしていた関係者)

チャリティー番組とはいえ、出演者もスタッフも汗水たらして働くわけだから、差し入れが楽しみというのも理解できる。しかし今年は差し入れの代わりに用意されたのが「レーザー体温計」と「QRリーダー」だった。

会場入り口を一か所に限定し、体温を計測。さらにQRコードでPCR検査陰性結果の有無を確認するという二重三重のチェック態勢が敷かれていた。出演者・スタッフの安全を確保することを最優先とした結果、放送内容にもかなりの制限が生じたようだ。

「深夜帯は事前にVTR収録したものを放送した。さらに過去10年分の『ダーツの旅24時間テレビ編』などアーカイブを放送し、なんとか尺を埋めたんです。それもこれもスタッフがいないから仕方がない。残念だったのは、22日の海老蔵の歌舞伎中継です。スタッフの調整ミスで、大事な場面の音声が拾えなかった。通常の体制だったら…と悔やまれますね」(前出・スタッフ)

苦難続きの中でも、救いになったのが、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子が『募金ラン』にチャレンジしたことだった。実は数日前まで、チャリティーマラソンに取って代わる番組横断企画を探していた、との情報も。そのような混乱の中で、高橋尚子をはじめとするランナーが最後まで走り切ったことは、スタッフらに大きな感動を与えたという。

最小限の人数で『24時間~』を制作した日テレ。視聴者はどのようにジャッジを下したのか…? テレビ界では視聴率の数字こそが全てだが、世帯平均視聴率が15・5%で番組歴代19位、個人視聴率は8・8%で歴代12位タイ。これには日テレ一同「想定外の好スコア」と喜んでいるという。

「『募金ラン』は“チームQ”がゴールする瞬間、世帯27・6%、個人18・1%を叩き出した。これは想定以上の高い数字でした。視聴率の結果を知った局関係者は、静かにガッツポーズをする者、その場で泣き崩れる者、肘タッチをしながら踊り出す者…。それぞれが喜びを表現していました」(日テレ局員)

さらに日テレ関係者を喜ばせたのが募金額だった。過去10年で2番目に多い5億5200万5762円の募金が集まったからだ。加えて上層部を驚愕させたのが制作費の削減だった。

「通年なら計10億円ほど掛かるんです。しかし、今年はその半額程度で収まったと聞いていますね。もちろん、募金は別財団が保管し別会計になっています。

今回の成功をうけて、日テレはすぐに44回目となる来年の『24時間テレビ』の制作に動き出しました。編成局長から、各コーナー番組を担当したプロデューサー陣に今回のよかった点と改善点をマニュアル書にするよう厳命がくだったんです。来年の『24時間テレビ』はまた、別のチームが制作する。それが伝統なので、今年のノウハウを早速来年にも生かそうということです」(同)

今回、日テレの『24時間』の成功に対し興味を示しているのが、NHK関係者だという。年末に控える『紅白歌合戦』にも応用できるノウハウがないか、関心を寄せているんだとか。

「NHKは日テレから、今回の『24時間』の制作体制について、一定の情報を共有させてもらえることになったようで、『紅白歌合戦』も実施できるだろう、という方向で大勢が動いている」(NHK関係者)

テレビ界における“ウィズコロナ”はまだ、始まったばかり。『24時間テレビ』の成功がテレビ界に対し、どんな影響を及ぼすのか要注目だ。

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