コロナ禍でも増収増益 絶好調ニトリで「巣ごもり売れ」したモノ
真夏の太陽を求めて、海へ山へ。いつもなら夏を満喫する楽しいひとときになるはずが、今年の夏季休暇は新型コロナウィルスの影響で自粛を意識して過ごした人は少なくなかったようだ。観光業はもちろん、経済の先行きが見えない暗いニュースが多い中で「不況こそチャンス」と唱えてきた逆張り経営のニトリが快進撃を続けているという。
「巣ごもり需要」としていま売れているアイテムとその背景を探った。
人気はコンパクトサイズ! テレワーク環境を整える人が急増中
株式会社ニトリホールディングスはコロナ禍にあっても第1四半期の連結売上高は前年比103.9%を記録。その中で通販事業は前年比140.9%と大きな伸びをみせた。
政府による緊急事態宣言の発令により、ニトリも2020年4月 5 月は 最大 110 店舗の臨時休業を実施したが、営業継続した店舗や通販事業が休業店舗をカバーする結果になったという。
「自粛による在宅需要で伸びたアイテムとしては、まずオフィスワーク家具です。2020年3~5月で最も売れたのは『ワークチェア(リカルドPUブレスレザーBK)』でした。こちらはニトリ×TOYOBOのコラボ商品。機能性が高くムレにくい生地を使用し、長時間の座り心地のよさを追求しています。
オフィスワーク家具は全体的にシンプルなデザイン、組み立て易い商品が選ばれています。中でもコンパクトサイズ (120cm 幅)が売れ筋です。高価格帯、低価格帯両方とも選ばれています。
ワークチェア(リカルドPUブレスレザーBK)
IT企業や大企業のテレワーク推進により、在宅勤務になった方がテレワーク環境を整えているようです。また学生もステイホームでオンライン環境での授業が増えました。自宅で学ぶ時間が増え、学生もこれまでよりホームオフィスの商品が必要になったととらえています」(株式会社ニトリホールディングス広報部 以下同)
自宅で過ごすと片付けたくなる? 人気は組み合わせの自由さ
「ふたつめは簡易家具・収納整理ですね。自宅で過ごされる時間が増え、身の回りの収納に関心が向かったと感じています。また在宅ワーク環境を整えるために、家の中に自分の仕事スペースを作るお客様が増えたこともあると思います。
組み立てやすく、コーディネートが容易な商品が選ばれる傾向がありますね。カラーボックスと組み合わせたバスケットも売れ筋です。
今期に最も売れたアイテムは『収納ケース Nインボックス(W) レギュラー(ホワイト)』です。フラットデザインの多用途収納ボックスで、お部屋のスペースに合わせて様々な組み合わせができるところが支持されたと感じています」
収納ケース Nインボックス(W) (ホワイト)
パパも子どもも! おうち時間は料理や食事を楽しむ
「最後はダイニング用品・キッチン用品です。Web情報サイトなどのランキングをみると、おうち時間の過ごし方に『料理をつくる』『家飲み(リモート飲み会)』『おうちカフェ』など、料理や食事に関することが上位に。家で過ごす時間を料理や食事で豊かにしようと考える方が多かったようです。また『男の料理』や『お子様のお手伝い』など、料理を楽しむ裾野が広がったと感じています。
またおうち時間ではない自粛活動として、人混みも避けられる『ソロキャンプブーム』がさらに注目されてスキレットの需要が伸びました。自粛と同時にスタートしたプラスチックごみ削減で『冷水筒』・『水筒(マイボトル)』も注目されました。
売れたアイテムとしては、キャンプはもちろん自宅でもアウトドア気分を味わえる『スキレット鍋 19cm』、飲み物の温度を長時間保つ『ステンレスタンブラー クート 430ml(SI)』です。ランチョンマット代わりにもなる一人用の木製トレー『滑り止め加工 木製トレーM ヤナギ(360280#MA)』も人気でした」
スキレット鍋 19cm
ステンレスタンブラー クート 430ml(SI)
滑り止め加工 木製トレーM ヤナギ(360280#MA)
コロナ禍で生まれた、新しい課題に挑む
コロナ不況下にあっても好調なニトリだが、今後についてはどう考えているのだろうか。
「品揃えや安さ、品質など、今までやってきたことがお客様に根付いていることを実感しています。
『ニトリに行けば欲しいものが揃う』という想いに応え続けるには、これからも魅力的な商品開発は欠かせません。新しい生活様式の中で、これまで注目されなかった部分に不平・不満・不便が出るようになりました。このような変化にも素早く対応し、住まいに関するあらゆる課題を解消していきたいと考えています」
街中でニトリのロゴをみつけると、「なにかあるかな」ととりあえず立ち寄ってみる人は多いのではないだろうか。ニトリには広い店内を散策しながら、手軽な値段でかゆいところに手が届く、自分好みの商品を見つける楽しみがある。
ひとつのアイテムが毎日の生活をちょっと快適にする。そんな精神をコロナ禍に取り入れ、暮らしを明るくしようとする人が増えているのかもしれない。
- 取材・文:浜千鳥