「薄毛の男性は新型コロナで重症化しやすい」海外研究の真偽
世界各地で研究報告が発表されている意外な説を検証
多くの中高年男性にとって、聞き捨てならない研究報告が海外でいくつも発表されている。
それは、「薄毛の男性は新型コロナウイルスで重症化しやすい」という内容だ。
たとえば、スペインでコロナに感染して入院した男性患者122人を調査したところ、79%がAGA(男性型脱毛症)だった。これは同世代のスペインの男性におけるAGAの割合(31%~53%)と比較するとはるかに高いという。
同様の趣意で論文を発表しているカリフォルニア大学サンフランシスコ校・幹細胞及び再生医学研究所のファラナック・ファタヒ博士は本誌にこう説明する。
「人体がどのようにコロナに感染するのかを研究している世界中の科学者は、『アンドロゲン』に目をつけました。これは数種類の男性ホルモンの総称で、男性器の発達や筋肉の増強など、いわゆる男性らしさに作用します。その働きの一つに男性型脱毛症、つまり薄毛があるんです」
ファタヒ博士によれば、アンドロゲンの関与によって、コロナが人体の細胞に侵入しやすくなるという。

「我々のチームは、血液に含まれているアンドロゲンの量と重症化の関係が強いことを発見しました。簡単に言うと、アンドロゲンが多いほど、重症化しやすい。臨床試験による証明が必要になりますが、世界中で発表されている報告も同じ方向に向いています」(同前)
アンドロゲンを抑制することで、重症化の予防につながる可能性があると言うのだが、一方で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう手厳しい。
「まだ仮説の一つにすぎないですね。試験管レベルの実験ではそうなるのかもしれませんが、人体で同じ結果になるかはまだわかりません」
薄毛に悩む男性のためにも、一刻も早く研究が進むことを願うばかりだ。
『FRIDAY』2020年9月11日号より
写真:ロイター/アフロ