首都圏水没の危機!? 猛暑の次は「未曾有の大豪雨」がやってくる
【警鐘レポート】高気圧の蓋がとれ、ゲリラ豪雨、線状降水帯、超巨大台風が発生
台風本番はこれから。しかも、例年以上に強大だという。台風研究を行っている横浜国立大学教授・筆保(ふでやす)弘徳氏が語る。
「いま、日本近海の海面水温は平年よりも2~3℃も高く、広い海域で30℃を超えています。これは何十年に一度と言える異常な状況。晴天が続いているので、高温になっているのです。海面水温が高いほど、台風は大きく発達し、日本に接近してきても衰えにくくなります。フィリピンなどを強い勢力のまま襲う台風がまさにそうであり、同じことが日本で起きることになります」
昨年9月9日、関東では過去最強クラスの台風15号が千葉県に上陸し、首都圏に記録的な暴風をもたらしたことは記憶に新しい。筆保氏はこう続ける。
「昨年、15号が日本に来たときよりも、今の海水温の状況は悪いと言わざるをえません。しかも、雲の動きを見ると、台風はいつ発生してもおかしくない。
現在は太平洋高気圧が日本付近を覆っているので、台風はなかなか向かってこられない。ただし、これは日々変わる。太平洋高気圧が少しでも動けば、風向きが変わり、台風が北上してきます」
巨大台風が日本列島に上陸するのは、時間の問題である。立命館大学教授(自然地理学)の高橋学氏はこう指摘する。
「紀伊半島から房総半島まで、近海の海面水温が昨年、一昨年よりも高く、東海地方や関東地方に上陸する台風は勢力を落とさないため、強力なものになります。さらに注目すべきは仙台沖も例年より高い点です。こうなると台風が上陸して北上しても東北まで勢力は衰えないでしょう」
さらなる豪雨が日本を襲うことになりそうだ。気象予報士・森朗氏が言う。
「9月になって高気圧の勢いが弱くなると蓋(ふた)がとれたように、今まで抑えられてきた水蒸気を含む空気が解放されて積乱雲が発達しやすくなり、各地でゲリラ的な雷雨が頻発することが考えられます。また、今年は秋雨前線とそれに連鎖するように発生する線状降水帯も例年以上に規模が大きくなりやすいでしょう。
’05年に東京・杉並区で1時間に約112㎜の豪雨がありました。これと同じレベルの雨はいつ降ってもおかしくありません。首都圏で100㎜の豪雨が降り続けば、下水が溢(あふ)れて、当然、道路の冠水、場所によっては床上浸水を引き起こします」
今秋、首都圏をはじめ、日本中の河川が次々と氾濫する可能性もある――。
『FRIDAY』2020年9月11日号より
- 写真:毎日新聞社/アフロ(1枚目)、朝日新聞社(2枚目)