篠山紀信が拓いた「写真でも映画でもない、新しい表現」の世界 | FRIDAYデジタル

篠山紀信が拓いた「写真でも映画でもない、新しい表現」の世界

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左から、音楽を手掛けた平本正宏、mari、篠山紀信、rina、編集を手掛けた宮坂淳
左から、音楽を手掛けた平本正宏、mari、篠山紀信、rina、編集を手掛けた宮坂淳

写真家・篠山紀信(79)の自身初となる劇場公開作品『イル・ノワール ÎLE NOIRE 黒い島』の完成披露試写会が9月4日に行われ、篠山氏がフライデーデジタルの独占インタビューに応えてくれた。

篠山「劇場作品の監督というボクにとって稀なことの中に、さらにコロナという稀なことが重なって、いったいどうなっちゃうのと思った」

当初、5月公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で約4ヵ月の延期となり、ようやく公開となった。

篠山氏が撮影した写真と動画を編集し、全編モノクロームで構成。圧巻の35分は、どこか2020年、ウィズコロナ時代の沈んだ空気を予見していたかのような重厚さに包まれている。

篠山「この作品はストーリーもなければセリフもない。とにかく台本があるわけではありませんから、とある小さな島の強い風の中で、『うん、これだ』とボクが勝手に一人で感じているんです。モデル二人が僕の気持ちを感じてくれて、それぞれの動きを見せる。それをボクが周りを飛ぶように駆け回って撮る。本当に感覚だけで創っています」

写真集『premiere(プルミエール)』シリーズから派生したこの映像作品には、女優の松井りな(26)、松井まり(23)の姉妹が“rina&mari”として出演。登場人物は二人だけだ。

ちなみに、「プルミエール」とは、フランス語で「初めての」という意味を持つ。写真家としてずっと「初めて」にこだわってきた篠山氏が、初めて監督した映像作品となる。

篠山「監督・撮影/篠山紀信と書かれるのは初めてだね。ボクは50年くらい写真をやっているんですけど、やっぱり写真っていうのはね、『死んでいくときの記録』なんです。今回、写真と動画、そして音楽を加えて、新しい表現を生むことができた。

でもね、映画館って周りが真っ暗な中にお客さんが座っているでしょ。そうすると、写真と違って、『あ、隣のヤツも観てる』って変な感じになるんだよね。そういう不思議な感覚がまた面白い。とにかく二人のモデルが素晴らしかった」

rina「ありがとうございます! ちなみに私のどのあたりがよかったんでしょうか?」

篠山「とにかく美しい体なんですよ、この人は。いやいや、それだけじゃない。表情や仕草がね、嘘っぽくなくてとても自然で撮りやすかった。あのね、いい女優と出会っても事務所がうるさいとかありますよね。でも、ここの事務所(二人が所属するスペースクラフト)は素晴らしいんですよ。僕のやりたいように撮らせてくれる。なんて言ったってウチの息子(篠山輝信)が人質に取られてるんだから(笑)」

rina&mari「(爆笑)」

そんな冗談を交えつつも、初めて“監督”として新しい表現を生んだ篠山氏。次なる映像作品にも取り掛かっているのだろうか。

篠山「いやいや、これは映画じゃないんだよ。映画でも写真でもない。ボク自身、本当に何かわからない。だから、他の人が似たようなものを作ろうとしても、なかなか難しいだろうね。たくさんの人にまずは観て体感してもらいたい。もちろん、色っぽい写真を毎週楽しんでいる目の肥えたフライデーの読者にも、ぜひ観てほしいね」

『イル・ノワール ÎLE NOIRE 黒い島』は、9月10日まで、東京・吉祥寺の『アップリンク吉祥寺』で公開される。

また、同作を収録したDVD『イル・ノワール ÎLE NOIRE』、写真集『premiere sister rina&mari』が小学館より好評発売中。

  • 写真阿部拓朗取材・文井上華織

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