菅義偉内閣が目論む「10月25日解散総選挙」の狙いと勝算

すでに組閣に向けた猟官活動が活発化

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8月31日朝、議員会館に入る菅官房長官。この日の午後、「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官を訪ねた 撮影:蓮尾真司

勝ち馬に乗れ――。自民党の名だたる大派閥が雪崩(なだれ)を打って菅義偉官房長官(71)の支持に回った。9月14日投開票の自民党総裁選は、戦う前から勝敗が決した格好だ。すでに菅官房長官の下には財務省や外務省などから「首相秘書官」候補が集められ、組閣作業が急ピッチで進められているという。その先に見据えるのは、解散総選挙だ。

「まずは二階派が菅支持を打ち出し、麻生派、細田派、竹下派が次々と菅支持に回りました。これは、安倍総理がいなくなっても、引き続き、同じ構図で権力を保持していきたいということです。とはいえ、菅総理としてはフレッシュな印象を与える組閣をしなければならない。そこで、河野太郎防衛相と小泉進次郎環境相の二人を重要ポストに登用して、世代交代を印象づけようとするでしょう。 

いち早く菅支持を表明し、政局の主導権を握る二階幹事長。稲田朋美幹事長代行は、入閣も取り沙汰されている

ご祝儀相場で、高い内閣支持率が望めるのは組閣直後です。菅氏は選挙に関して主戦論者ですから、できるだけ早く解散を打つ可能性もあります。ただ、野党も合流新党が15日に発足し、共産党との選挙協力もかなり進んでいます。自民党は20議席程度落とすのではないか」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

現在の自民党は284議席で、仮に20議席を落としたとしても、単独で安定多数を確保できる見通しだ。菅総理は初陣を「勝利」で飾る。選挙に勝てば、総裁選で党員投票を経ず、「内輪の論理で総理になった」という批判を封じることもできる。

「選挙のスケジュールは、10月13日公示で、大安吉日の25日投開票と言われています。菅総理で選挙に勝てば、来年9月にもう一度行われる総裁選で再選される可能性が高まる。菅内閣は1年限りの暫定政権ではなく、長期政権になるかもしれません。それを見越しているから、菅官房長官とは関係がよくない麻生太郎財務相が率いる麻生派は、いち早く菅支持を打ち出した。今の地位を菅内閣でも維持したいがためです」(官邸関係者)

一方、菅官房長官も長期政権樹立への誘惑から逃れることはできない。

「菅総理としては選挙に勝って、権力基盤を盤石なものにするため、オール自民党での組閣を意図しているでしょう。総裁選を争う石破茂元幹事長や岸田文雄政調会長などを重要閣僚として登用。菅総理誕生の立て役者、二階俊博幹事長はもちろん続投で、甘利明税調会長を閣僚か党幹部として処遇すれば、本格的な政権が出来上がります。官房長官には人気が高い河野防衛相や森山裕国対委員長、梶山弘志経産相といった名前が挙がっています」(全国紙政治部デスク)

石破元幹事長は地方で人気が高いが、自民党内での支持が広がらない。今回は小泉進次郎環境相も不支持を表明
8月31日、岸田政調会長は政策本『岸田ビジョン』出版を公表。主要派閥から支持が得られず、まさかの大失速
9月1日、麻生派の派閥会合に出席した河野防衛相。麻生財務相の説得で、今回は総裁選への出馬を見送った

そうは言っても、「一寸先は闇」と言われる政界のことだ。

「総裁選は無記名投票なので、菅支持を打ち出している派閥に所属していても石破氏や岸田氏に投票する議員も出てくるはずです。造反議員の数次第では、菅総理は出だしから苦労することになる」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

菅義偉内閣は、9月16日の臨時国会で発足する見通しだ。

『FRIDAY』2020年9月18日号より

  • 撮影蓮尾真司(菅氏) 鬼怒川 毅(二階氏、石破氏、岸田氏) 堀田 喬(河野氏)

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