娘に性的虐待繰り返した「鬼畜父」の呆れた言い分

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現在、東京地裁では、当時高校2年生だった実の娘に性交したとして、父親に対する『監護者性交等罪』(親などの監護者が、その立場を利用して18歳未満の子どもに対して性交などをした場合に問われる罪)の公判が開かれている。

写真:AFP/アフロ

被害者秘匿のため名前も職業も伏せられる被告人

初公判は7月20日。通常の刑事裁判では被告人名や年齢、本籍や住所、職業などといった個人情報が明らかになるが、被害者秘匿の観点から、被告人の個人情報も全て伏せられる。そのため開廷表にも被告人名は記載されず、この日の人定質問でも、名乗ることがなかった。年齢も分からないが、見た目からは40〜50代に見えるジャージ姿の恰幅の良い男性だ。

起訴状によれば被告人Aは、2017年の8月、同居していた実の娘(当時17歳)に対し、被告人方において性交したという。「間違っているところはないですか」という裁判長からの問いに対し、消えそうな声で「いいえ」と起訴事実を認めた。

「家族がバラバラになる」恐怖で誰にも言えなかった

続けて行われた冒頭陳述で検察官は、Aによる娘への性的な行為はこの一度だけではなく、娘が小学校5年生の頃から続いていたことを明らかにした。Aは妻との間に長男と、被害者である今回の長女をもうけ、自宅で4人で暮らしていたという。教師として働いていたことがあるが、その後は自営業で生計を立てていた。

「被告は被害者が小学校5年生の頃、妻が仕事で留守の時に被害者の寝室に入り、陰部を触る、胸を揉むなどの行為をしていた。さらに被害者が高校生になると何度も性交するようになった。被害者は当初、特段抵抗しなかったが次第に嫌悪感を抱くようになり、高校生になった頃には、被告人からは逃れられない、家族が崩壊するなどの思いから周囲にこれを言えずにいた。

被告は(8月の)犯行後も性交を続けていたが、今年2月、被害者が自宅で硬直状態となり病院に赴いた際、主治医に相談して初めて発覚した」(検察側冒頭陳述)

娘は父親である被告の行為の意味を理解するようになると、次第に拒否感を抱くようになるが、これを周囲に打ち明けることで「家族がバラバラになる」との思いを抱き、誰にも話せないまま時が過ぎた。

「小学校の頃から胸を舐められ性器に指を入れられていた。当初はおかしいと思っていなかったが今年2月に性交された後に硬直状態となり病院に連れて行かれた。ママやお兄ちゃんが大好きで家族が壊れるのが嫌だった。好きな人がいるのにお父さんとセックスするといつか自分が壊れてしまうと感じていた」(娘の調書)

誰にも言えないまま長期にわたり父親からの性的虐待を受け続けて来た娘は、入院先で「解離性障害」と診断を下されている。実の娘の体だけでなく心も大きく傷つけた被告だったが、8月31日に行われた被告人質問で「娘を励ますために性交した」と驚くようなことを述べたのだった。

被告 「高校2年の中間考査で娘も頑張りきって疲れている時期がありました。後ろ向きな発言をしたり、わけわからないことを言うようになり、抱きしめたり添い寝したりして、少しでもできることはないかと、いろいろしていた時期があった。その中でキスしたりすると前向きな発言を聞くようになったので、性交したいという気持ちが起こったと思う」

弁護人 「被害者を励ますため?」

被告 「はい」

さらには冒頭陳述で指摘されていたような「娘が小学生だった頃からの性的虐待」を一切否定した。

弁護人 「小学5年生のころ、盆踊りの時期に娘さんの乳首をなめたことは?」

被告 「ありません」

弁護人 「小学生の頃あなたにアダルトビデオを見せられたと言っていますが事実ですか?」

被告 「ありません」

弁護人 「風呂で乳首を舐めた事実は?」

被告 「ありません」

こうして次々と、起訴状以外の過去の性的虐待を否定し続けたところで、法廷の衝い立て奥にいる被害者である娘の嗚咽が聞こえ始め、公判が中断する事態に。被告は無表情で座っていた。再開後は検察官が、被告のセックスに対する備えについて切り込む。

検察官 「あなた娘さんとセックスする時コンドームをつけたことがないんですよね? どうして?」

被告 「習慣が自分になかった……」

検察官 「ふ〜〜ん。娘さんのこと、考えなかったんですか?」

被告 「…………自分の中で、つけないといけない、という認識……ありませんでした」

検察官 「被害者に交際相手がいる期間があったのに、嫌がってなかったと考えるのはおかしなことではないですか?」

被告 「今考えると、おかしなことです」

検察官 「被害者から『子供ができるからやめて』と言われたことは?」

被告 「記憶にありません」

「罪を反省し、何もかも失ってください」

公判終盤、被害者である娘は衝い立ての奥から、意見陳述を行なった。

「幼い頃から暴力を受けていた。お父さんは怒りっぽく、勉強ができないだけで問い詰める。小学校2年生の夏、塾の受講料が高いといい、自宅で勉強を教わることになりましたが地獄の日々でした。できないことがあれば頭を叩き『バカ』『アホ』と怒鳴るので何も頭に入って来ませんでした……。

入院前、いつものようにパンツを触り『入れていい?』と膣内に指を入れて来て挿入して来ました。『赤ちゃんができるからやめて』と言っても『大丈夫だよ、男の子だから我慢できる(自分は男だから射精コントロールできる)』と言われて……誰にも相談できなかった、家族がバラバラになるのが怖かった。

今年の3月の春休みに、添い寝をされた。私には正月に出会った彼氏がいる……もう限界でした。朝になると挿入されてしまうと思い、ずっと起きていて限界でした。

お父さんは私が『抵抗したことない』と言いましたが、何度も嫌だと言いました。家ではあなたは王様気分で殴る蹴るなんて当たり前でしたね。あなたのせいで家族がバラバラになったのです。自分の罪をしっかり反省してください。何もかも失ってください。自分のしたことがどれだけ家族を傷つけたかをしっかり認識してください。これでお別れです、さようなら」

時折涙声になりながらも、自身のいまの決意をきっぱりと告げる陳述に、傍聴席では男性の傍聴人らが、何人も涙していた。

実の娘に対する性的虐待を“些細なこと”とでも言いたげな発言に終始した被告に対する論告は、9月10日に開かれる見込みだ。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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