新指標「コア&個人視聴率」定着で明確にわかれた各テレビ局の明暗

テレビ、広告業界が新たに導入した指標で本当の人気番組がわかる

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堺雅人、市川猿之助、香川照之、片岡愛之助ら『半沢直樹』の主要キャスト

テレビ界で地殻変動が起きている。

長らくフジテレビの顔として活躍した安藤優子(61)がMCを務める情報番組『直撃LIVEグッディ!』が9月末で終了。一方で、人気ユーチューバー、『水溜(たま)りボンド』の冠番組が10月からテレビ神奈川でスタートすることが決まった。

「地殻変動のキッカケとなったのが、今年3月から導入された『個人視聴率』です。これまで『視聴率』と呼ばれていたのはモニター世帯に置かれた機械で集計する『世帯視聴率』でした。これだと、例えば5人世帯のうち一人しか観ていなくても5人全員が視聴したことになっていた。ところが『個人視聴率』なら実際に観た人の数や性別、年齢まで把握できるのです」(民放ディレクター)

『世帯視聴率』では高視聴率であっても、多くのスポンサーがターゲットとしているティーン層(13歳~19歳の男女)やF1(20歳~34歳女性)層などにリーチしているかどうかはわからなかった。それが『個人視聴率』により、スポンサーは自社商品を売りたい層が観ている番組を選んでCM出稿できるようになったのだ。

キー局プロデューサーによれば、「すでに民放の主要局は『個人視聴率』を軸として、スポンサー向けにデータをカスタマイズして営業をかけている」という。

「なかでも最重要視されているのが、商品購買力を持つコア層――13歳~49歳の視聴データ、『コア視聴率』です。フジの遠藤龍之介社長は年頭挨拶で『これからは“コア視聴率”に評価軸が変わる。管理職はいますぐ勉強しておくように!』と大号令を発しました。トップの檄(げき)に応えるように今年のフジはユーチューバーや声優など、若者受けする演者をキャスティングするようになりました」

業界で最も早く『コア視聴率』に着目したのが日本テレビだ。5~6年前から若者を意識した番組作りに着手。「社内で使う視聴率データには3年前から『コア視聴率』が併記されるようになった」(日テレ社員)という徹底ぶりだ。

「『サンドウィッチマン』やフワちゃん、池田美優(みちょぱ)(21)ら、コア層に人気があってバズりやすいタレントに対する感度が高い。福田雄一監督作品でおなじみ、菅田将暉(すだまさき)(27)や賀来賢人(かくけんと)(31)、浜辺美波(20)をドラマの主役級に抜擢(ばってき)したり、他局に先駆けて『霜降り明星』、『四千頭身』ら“お笑い第七世代”の冠番組を作ったり、とにかく編成が腹を括(くく)っている」(前出・プロデューサー)

各局の取り組みの差は、数字にハッキリと表れていた。本誌は独自に『世帯視聴率』と『コア視聴率』(*データの都合上、「13歳~59歳の男女」の数字とした)を入手。

注目時間帯の番組を比較したのが『世帯視聴率』『個人視聴率』『コア視聴率』の月間視聴率ランキングなのだが――『世帯視聴率』こそ、日テレとテレビ朝日、NHKの三つ巴(どもえ)の争いとなっているものの、『個人視聴率』になるとNHKの旗色が悪くなり、『コア視聴率』はほとんど日テレの一人勝ち。『ポツンと一軒家』など、テレ朝の主力番組は圏外となっている。

「テレ朝は『相棒』など、必ず『世帯視聴率』を稼げる刑事モノのシリーズを多数抱えているのが逆にアダとなった。放送作家や脚本家などスタッフもガチガチに固定されていたため、コアへの対応がキー局で最も遅れてしまったのです。『世帯視聴率』がいくら高くても、『コア視聴率』が低いとCM枠が売れない。たしかに高齢者は大きな視聴者層ですが、高齢者向けのCMは単価が安いのです……」(テレ朝社員)

新型コロナの影響でCM出稿量が激減。制作費も大幅減となった。優良スポンサーの確保はテレビ局にとって死活問題だ。

TBS関係者が語気を強める。

「深夜番組は制作費削減の影響をモロに受けていて、従来の半分になったなんて話も聞く。それでも『コア視聴率』を取っていればスポンサーは離れない。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は何度か警察沙汰になったくらい企画がトガっていて若者人気が高く、『コア視聴率』は常に局内トップクラスの5%前後。『世帯視聴率』がシングルでも、売る枠がないくらいスポンサーがつきます」

番組は企画が命――それは“第七世代”のような若者受けするキャストとは無縁の企業モノながら、勧善懲悪のストーリーが多くの層に刺さった“現代の水戸黄門”『半沢直樹』が証明している。

「演者の顔芸が話題になって若者にも認知され、8月には『コア視聴率』も1位となり三冠を達成。8月末に放送された第7話の『個人視聴率』はなんと15%を超えました。文字通り、日本で最も多くの人が観ている作品です」(芸能プロ幹部)

王者・日テレに「倍返し」できる番組が他にも出てくれば、テレビはもっと、おもしろくなる。

好感度が高い浜辺美波(左)と『サンドウィッチマン』も人気番組に欠かせぬ存在だ
地上波の冠番組&女優の彼女をゲットした『水溜りボンド』のカンタ(左)、『霜降り明星』の粗品(中)、みちょぱ

『FRIDAY』2020年9月18日号より

  • 撮影足立百合、川上孝夫、近藤裕介、島颯太、田中俊勝、西原秀、原一平

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