次の総理候補・河野太郎を「菅内閣はどう扱うか」という大難問 | FRIDAYデジタル

次の総理候補・河野太郎を「菅内閣はどう扱うか」という大難問

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留任か、転身か

菅義偉氏が自民党新総裁に選出された。岸田文雄政調会長89票、石破茂氏68票に対して、377票という圧勝だ。16日からの臨時国会で菅氏は首相に指名される。

その菅新内閣の布陣で、いま一番注目されているのが、河野太郎防衛大臣の去就だ。

河野太郎氏といえば、外務大臣だった2019年7月19日、元徴用工訴訟を巡る問題で韓国大使を呼びつけて「極めて無礼だ」と一喝、ネットで喝采を浴びた。

2020年8月4日の記者会見では、自民党が提言した「弾道ミサイル阻止能力の保有」について、東京新聞の記者が「中国や韓国の理解が重要ではないか」と質問したのに対して、

「中国がミサイルを増強していく時に、なんでその了解がいるのですか」
「なんで韓国の了解が必要なんですか。我が国の領土を防衛するのに」

とこれまた一蹴し、中国・韓国に媚びず日本の国益を守る姿勢が人気を博している。

twitter(@konotarogomame)を駆使する政治家としても著名であり、例えば、

「河野大臣はすごく頭が切れて知的ユーモアセンスも抜群、そして気さくでもあるのでとっても魅力的だと思います」

という書き込みに対して、

「まず最初にハンサムやろ」

と軽妙洒脱なレスを返す等、圧倒的な発信力を見せつけている。フォロワー数は175万人を超えているが、これは現役の政治家としては、安倍総理の227万に次いで2番目に多い。

その河野氏は、安倍首相が退陣を表明した翌日(8月29日)、日米防衛相会談のため訪問していたグアムでオンライン記者会見に応じ、今後の対応について、「仲間と相談していきたい」、総裁選に出馬するかについて「これからいろんなことを考えたい」と述べて出馬を否定せず、「意欲を示した」とメディアに報じられた。

しかし、所属する派閥「志公会」の会長・麻生太郎副総理兼財務大臣らが難色を示したとも伝えられており、結局9月1日には総裁選不出馬を表明したのだ。

菅内閣で河野氏が、内閣官房長官に抜擢されるのか、それとも財務大臣などの重量級閣僚に横滑りするのか、防衛大臣として留任するのか、あるいは政調会長などの党4役に転身するのか、といった憶測が飛び交っている。

2020年6月に表明したイージス・アショア配備の中止で見られたように、果敢な決断力で知られている河野氏は、外務大臣、防衛大臣を通して中国や韓国に媚びることをせず、是々非々の姿勢を貫いた。どのような役職に就こうとも、将来の「河野首相」への大きなステップになるに違いないという声は多い。

「汗をかけ」の声

しかし、これまでの河野氏には、事前の党内根回しが不十分であったり、批判される側(既得権益層)の気持ちを慮ったりはしない点が欠点だという声もあがっている。

菅新総裁と同じ平成8年(1996)年に初当選した8回生議員だが、祖父の河野一郎元副総理、父の河野洋平元衆議院議長の地盤(現・神奈川15区)を継いだ名家の出身だ。「選挙に強く、名門出身」ということは自民党内で基本的に怖いものがないということを意味する。

そうした批判を本人は意に介さないようだが、鋭い「政策勘」だけでは限界がある。自分の政策を声高に唱えるだけではなく、調整に「汗をかく」経験を積んでもらいたいという思いから、党4役への就任を期待する向きもあるのだ。

河野氏はジョージタウン大学の卒業生であり、政界トップ5に入るであろう「流暢な英語」も大きな武器だ。特に切れ味鋭いロジカルな口調は、「外国人受け」が圧倒的に良いことで知られる。

菅内閣では、米国シンクタンクCSISの報告書で「媚中派」だと名指しされてしまった二階俊博幹事長が「後ろ盾」として大きな影響力を発揮することが予想されている。そうした動きの中で、河野氏が外交や安全保障の分野を含めて、どのような立ち位置を取っていくのか、そして「次期首相候補」としていかに己を磨いていくのかに注目が集まっている。

  • 取材・文レイモンド・ベーダー

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