韓ドラの次は「ウェブ漫画」?韓国のコンテンツ輸出の勝算と誤算

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“Kウェブトゥーン”が日本に定着

あのクォン・サンウもウェブ漫画家に!? 映画『ヒットマン エージェント:ジュン』/9月25日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次ロードショー © 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

韓国の人気コンテンツといえば、すぐに思いつくのが韓国ドラマや韓国映画、K-POPだ。ドラマは『愛の不時着』『梨泰院(イテウォン)クラス』で新たなファン層を獲得。K-POPもBTSからNiziUまで、次々と人気グループを輩出している。

それに加えて急成長しているのが韓国の“ウェブ漫画”市場だ。今月公開の映画『ヒットマン エージェント:ジュン』でもクォン・サンウがウェブ漫画家を目指している。

漫画といえば、世界的に見ても日本が高いシェアを占めているが、ここ数年はスマホで気軽に読めるデジタルコミックが身近になっている。中でも注目を集めているのが韓国発のデジタルコミック“ウェブトゥーン”だという。

そのウェブトゥーンを無料で読めるアプリ「XOY」は2019年1月にLINEに移行。気づけばLINEの「LINEマンガ」とカカオトークの「ピッコマ」が日本のデジタルマンガ市場で熾烈な戦いを繰り広げていた。

作品には学歴至上主義や格差社会、外見がモノを言うお国柄だから整形もリアルに描かれる。LINEマンガでも人気の『外見至上主義』や『私は整形美人』が良い例だろう。

人気となったウェブトゥーンが韓国で映画化・ドラマ化されることも珍しくない。日本でも公開された映画『神と共に』や、Netflixで配信されている映画『チーズ・イン・ザ・トラップ』、Amazonプライム配信のドラマ『ミセン-未生-』もウェブトゥーン原作だ。

ウェブトゥーンにはもちろん課題もある。文化や風習が違うのでローカライズが簡単ではない。「XOY」で配信された『チーズ・イン・ザ・トラップ』は“兵役”関連の記述がすべてカットされ、残念がる声も聞かれた。

また、韓国映画にもなった『神と共に』は日本の漫画家によってリメイクされている。韓国の原作者は「自分の絵が下手すぎるためだ」とテレビ番組で説明し、「ウェブトゥーンには絵が下手な作品もある」と語った。

そうは言っても、勢いづくと止められないのが韓国だ。80年代、香港映画がアジア映画界の中心だった頃、韓国映画が米国アカデミー賞で作品賞を受賞すると誰が想像しただろう?

国内需要が限られている韓国では、電化製品も自動車もエンターテインメントも“輸出”を前提にしている。最初は劣勢でも、力をつけた途端に急成長する可能性を秘めているのだ。

一方、韓国の輸出事業は成功例ばかりではない。過去には朝鮮半島で使われている文字“ハングル”を輸出しようとして失敗に終わっている。

ハングルを考案した世宗大王と科学者が新しい時代を築く―。映画『世宗大王 星を追う者たち』。 9月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開中 © 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

ハングルは、朝鮮王朝第4代王の世宗(セジョン)大王が漢字の読み書きができない庶民のために考案した文字だ。解説書である『訓民正音』には「利口な者なら半日で、どんなバカでも10日で覚えられる」といった意味の記述もある。
名君と呼ばれた王の姿は今月公開の映画『世宗大王 星を追う者たち』でも描かれている。

2009年、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の政権下で「文字を持たない少数民族に輸出しよう」という“ハングル輸出事業”が始まり、インドネシアの少数民族が表記文字として使用することに。当時、韓国では「ハングルが世界の公用文字になるか?」という報道もあった。だが、今となっては話題にもならない。結局は予算が足りず、頓挫したのだ。

見切り発車による失敗もあるが、自国で生産したものを次々と売り込む底力を持つ韓国。次は何を仕掛けるのか。

  • 児玉愛子(ライター、韓国コラムニスト)

    韓流エンタメ誌、ガイドブック等の企画、取材、執筆を行う韓国ウォッチャー。
    新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムも寄稿。

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