ついに放送再開『エール』裕一・音夫婦の「気になる展開」を予測

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約2ヵ月半の再放送期間を経て、9月14日から新たな物語へと進み出した朝ドラ『エール 』。放送中断直前の第13週では、佐藤久志(山崎育三郎)がコロンビアレコードの研究生となり、ようやく歌手デビューの糸口をつかんだ。久志のモデルとなった伊藤久男さんは、デビュー後もなかなかヒット作に恵まれず、10年という長い下積み時代を送ったという。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

裕一(窪田正孝)や鉄男(中村蒼)も、これまで散々「ヒット」というプレッシャーに悩まされてきた。そんな福島三羽ガラスが、ヒットメーカーになる日はいつなのか?

3人のこれまでの歩みを振り返りつつ、今後の展開を予想してみよう!

互いに励まし合う、福島三羽ガラスの絆

裕一、鉄男、久志の3人は、恩師・藤堂清晴(森山直太朗)が見つけてくれた「得意なもの」にしがみつき、「自分の曲を世に送り出したい」という夢を追いかけ、成長してきた幼なじみだ。子ども時代は3人とも“仲良し”とは言い難い間柄だったが、成長して再会した時には、互いの才能をリスペクトし合う気の置けない親友に。

特に、「お前……このままじゃダメになっぞ。俺は諦めねぇからな」と宣言し、実家の事業のために銀行員として生きようとしていた裕一の音楽への情熱を呼び覚まし、作曲家の道へと歩ませる大きなキッカケを作った鉄男は、裕一にとってかけがえのない存在になっている。

そんな鉄男は、恋人の希穂子(入山法子)にフラれ、裕一の家で酒を飲んで大泣きしたことも。しかしかえってスッキリしたのか、福島の新聞社を辞めて作詞家になる決意を胸に、裕一を頼って上京する。そんな鉄男を「よく決断したね。一緒にがんばろう!」と励ます裕一。

残念ながら、鉄男が詞を書き裕一が作曲した『福島行進曲』は売れなかったため、コロンブスレコードの廿日市(古田新太)には冷たくあしらわれたが、売れっ子作曲家となった木枯正人(野田洋次郎)と3人で行ったおでん屋の店主と意気投合し、おでん屋を譲り受ける展開に! おでん屋で生計を立てつつ、コツコツと作詞活動を続けていくようになる。

鉄男のおでん屋は、裕一と久志だけでなく、紆余曲折を経て裕一初のヒット曲となった『船頭可愛や』を歌った藤丸(井上希美)や木枯が集う、交流の場にもなっている。おでんをつまみながら酒を交わし、いつまでたっても自分たちを認めてくれないプロデューサーや世間への愚痴を吐きつつも、いつかヒット曲を出したいと夢を語る若者たちの様子を見ていると、「みんながんばれ!」とエールを送りたくなる。

裕一と鉄男がプロの世界の洗礼を受けて凹む中、音楽学校の“プリンス”と呼ばれて「スカウトが来りゃ、即プロデビューさ!」と余裕綽々だった久志。さぞや卒業後も大活躍……と思いきや、なんと卒業して4年経ってもデビューの道すら拓けていないことが判明する。原因は、自ら一切売りこみをしない“プリンスのプライド”。

後輩に先を越されたと憤る久志は、鉄男からガツンと「だったらお前もプロになれよ!」と一言浴びせられるも、自分の才能を見い出さない世間が間違っているとまで言い出す始末。そこで裕一は、合格したら即レコードデビューできるという、コロンブスレコード専属歌手のオーディションを受けるよう勧めるが、久志は、自分が目指すのはオペラで、流行歌は嫌だと乗り気ではない。

久志をなんとかしたいと案じた裕一と鉄男は、久志を“流しの歌手”にして、3人で夜の酒場を回ることにした。そこで、久志の心を動かす出会いがある。久志が歌う『船頭可愛や』を聞いた親子が、「グッときた。明日もがんばれるよ」と涙ぐみながら、1銭玉を渡してくれたのだ。その居酒屋では、から汁(おからを入れた味噌汁)が1杯3銭。親子にとってその1銭は、決して安くない値段であることを感じた久志は、神妙な表情でお金を握りしめる。

裕一が言った通り、久志は「流行歌がいかに人の心をつかむか」という、貴重な体験をしたのだ。そのおかげで久志はオーディションを受ける決意を固め、福島三羽ガラスの3人でヒット曲を売り出そうという夢を誓い合う。久志が親子からもらった1銭玉を大事にしまっていたという、クールなプリンスのかわいらしい一面も垣間見えた第61話は、友の存在のありがたさと人の絆の強さを感じるエピソードとなっている。

スター御手洗VSプリンス佐藤

久志を合格させるため、必死な様子の裕一。一方、音(二階堂ふみ)の元に、あの“ミュージックティーチャー”御手洗(古川雄大)がやってくる。「最後のチャンスに懸けてみたいの!」と、一念発起して上京した御手洗に、対抗心を燃やす久志。「どうも、スター御手洗です」「僕はプリンス佐藤です」と互いを牽制しつつ、なぜか2人とも古山家で練習合戦を始める63話は、再放送で見ても楽しめるコミカルな展開がよかった。

そして迎えた、第65話のオーディション。スターとプリンスの戦いかと思いきや、なんと寅田熊次郎(坪根悠仁)という大型新人が合格する結果に。納得がいかない久志と御手洗はコロンブスレコードに乗りこんだところ、熊次郎に「見苦しいんだよ、おっさんら」と暴言を浴びせられてしまう。

久志は、御手洗の容姿をバカにした熊次郎に怒り爆発。「彼の実力は君の数百倍、いや、数千倍はある」と反論したところ、熊次郎の頭突きを喰らい、鼻血を出して倒れる羽目に。しかしそこで廿日市から、研究生として契約してやると言われたのだ。

実は熊次郎の父は帝都ラジオの会長で、合格は“親の七光り”。「俺はまだ1ミリもお前を認めちゃいない。上が気に入っているのは、お前の歌じゃなくて看板だから」と廿日市が熊次郎にドスをきかせるシーンに、スカッとした気分を味わった人も多かっただろう。

廿日市は、「久志を研究生にしたい」と上層部に掛け合ったというから、「あのガキだけじゃもたねぇと思っただけだ」というそっけない言葉とは裏腹に、久志の力を少しは認めてくれたのかもしれない。意地かプライドか、最初は研究生の話を断ると言っていた久志。しかし御手洗の「あなたは選ばれたの。選ばれた以上、輝かなきゃ!」という言葉に背中を押されて研究生となる。一文無しの御手洗のために、一緒に“流しの歌手”で金を稼ぐ久志。全力で戦ったからこそ芽生えた友情に、ジンと心が温まった。

ここから時代は、戦争へと突入していく。裕一のモデルとなった古関裕而さんは、昭和12年に『露営の歌』が大ヒットし、終戦まで数多くの戦時歌謡を手がけたという。福島三羽ガラスのモデル、野村俊夫さん、伊藤久男さんとのトリオ初ヒット曲『暁に祈る』も、戦時歌謡の1曲だ。予告映像では裕一自身が出兵した様子も流れており、戦争の中で福島三羽ガラスの3人がどう生き抜き、歌に何を託すのかが、終盤の大きな見所になるだろう。

なお、とってもイヤなヤツとして登場した寅田熊次郎役の坪根悠仁さんは、2000年3月16日生まれのミレニアム世代の新人。2018年に「第31回ジュノン・スーパーボーイコンテスト」で受賞したイケメンジュノンボーイで、『エール』がドラマ初デビューだそう。オーディションシーンで『東京ラプソディ』を堂々と歌い上げた様子や、本当に腹が立つ(笑)生意気&意地悪演技からして、今後の活躍が楽しみな新人俳優でもある。

気になる居候・田ノ上五郎と梅

今、もっとも気になる登場人物といえば、第65話の最後に登場した弟子入り志願者の田ノ上五郎(岡部大)。「弟子を取るつもりはない」と渋る裕一の元に通い続け、とうとう弟子の座に納まった。さらに作家デビューを目指す梅が上京し、古山家は一気に2人の居候を抱えることに。そんな五郎と梅でまた一悶着あるらしいというから、いったいどんなドラマが展開されるのか気になるところ。

もうひとり気になるのが、「ねえたもつー♥︎」とバンブーの店主・梶取保(野間口徹)に甘える、裕一と音の娘・華ちゃん。華を演じる田中乃愛ちゃんは、『とと姉ちゃん』のスピンオフドラマ『福助人形の秘密』でめぐみの幼少期を、『なつぞら』では奥原千遥の子ども時代を演じたほか、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『麒麟がくる』と大河に2年連続で出演し、数多くのテレビドラマに出演している売れっ子子役! 5歳にして、恵(仲里依紗)も一目置くほど“女”の武器を使いこなす彼女の成長も楽しみだ。

最後に。『エール』が描く“歌や音楽の力とはなにか?”というテーマが、コロナを経験した今の時期に、制作者側の意図とはまた違った意味合いを持って視聴者に投げかけられるというタイミングの妙は、奇跡だと感じる。ドラマで描かれる戦時下での「歌」の必要性や存在意義と、現在のコロナ禍の中でそれぞれが感じるエンターテインメントの必要性の根っこは、きっと同じだろう。

生命を維持するだけなら、歌や音楽よりも、食べ物や住む場所が優先されて当たり前だ。しかし、十分な食事と安心できる住まいがあっても、生きる気力が保てない場合もある。改めて、『エール』の1話冒頭の「古来から、人類は音楽とともに生きてきた」というナレーションが持つ深い意味に思いを馳せながら、最後まで見届けたい。

  • 取材・文中村美奈子写真Rodrigo Reyes Marin/アフロ

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