体感R15指定以上? 大倉主演映画から紐解くジャニーズ美尻伝説

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昨年7月、ジャニーズ事務所社長・ジャニー喜多川氏の”家族葬”に参列した関ジャニ∞大倉忠義

「とにかく、いっぱいお尻が映ってました!」

3ヵ月ほど前に、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』の試写を観た知り合いの編集者から、そんな感想を聞いた。彼女は、『窮鼠〜』のことを語る時にちょっと興奮気味になって、それまで全く興味のなかった主演2人(関ジャニ∞の大倉忠義と成田凌)のことが、「映画以来気になって気になってしょうがないんです」と言う。

それから、「あの2人の、俳優としての色気や人間臭さみたいなところが、すごくよく出ていたってことでしょうね。とにかく、観たあともずっとそれぞれのシーンの意味なんかを考えちゃうような、余韻の長い映画でした」と冷静に解説しながら、「それにしても、ジャニーズがあんなに体を張るのかぁってビックリしました」と結んだ。

第一印象は「質の良いフランス映画」

『窮鼠〜』は、本来は6月に公開される予定だったが、コロナの関係で、公開が9月11日に延期になった。それでも、5〜6月に公開予定だった映画でまだ公開時期の決まっていないものも多数あるので、このコロナ禍にあっては、わりと公開のタイミングが優先されたほうだろう。

ストーリーとしては、いわゆるBL(ボーイズラブ)系に分類される漫画が原作で、大倉演じる異性愛者・大伴恭一が同性愛者の大学の後輩・今ヶ瀬渉に弱みを握られたことから、今ヶ瀬の「先輩、7年前からずっと好きでした♡」攻撃に翻弄され、徐々にほだされていく様が丁寧に描かれている。

試写を観られなかった筆者は、公開初日に映画館で鑑賞し、その時点では、「質の良いフランス映画みたいだ」と思った。10代でも20代でも30代でも、恋愛に苦しんだことがある人なら誰でも一度は自問したであろう「本気で人を好きになるとはどういうことか?」という答えのない問い――。人生で、あれほどまでに狂おしい思いをするのは恋愛しかないことや、好き過ぎて自分が自分でなくなっていく感覚、無条件で相手の存在を欲してしまう愚かさなど、恋愛でしか得られない痛みと快楽とが、儚く美しく描かれていた。

映画はドラマと違い、公開期間中にわざわざ映画館まで足を運び、お金を払って鑑賞するものなので、ドラマでは描けない(あるいは描きにくい)何かをきちんと映像で語らせている作品に出会うと、「映画を観た!」と言う満足感を得られるものだ。わかりやすいところでは、それがアクションだったり、激しい争いだったり、時空を超えた世界だったり。

あるいはありふれた“日常”を描いたものであっても、映像の中に絶望や希望が煌めいたりすることで、その瞬間の音楽や景色や言葉が、永く心に刻まれたりする。ただ、日本の映画で、きちんと“性”を描くことは難しく、例えば、大胆な濡れ場のある大作で、女優もヌードを辞さないつもりで挑んだのに、出演していたCMスポンサーへの忖度で、ヌードはお蔵入りになったなどというのもよく聞く話だ。

ところが、『窮鼠〜』の性描写で体を張るのは男2人。いくら乳首や美尻をさらしたところで、イメージダウンになることはない。しかも、MEN’S NONNOモデル上がりの成田と、かつては「an・an」SEX特集の表紙をヌードで飾ったこともあるアイドル・大倉の組み合わせである。その絡みが美しくないわけがない。

男の背中と下着姿の女が絡み合っているだけのヌルい濡れ場とは違い、2人はちゃんと全裸で、しかも「ただ結ばれた」という喜びを表現するだけでなく、それぞれのSEXシーンに、ちゃんと関係性の変化が描かれている。もちろん男2人の裸なので生々しいが、それを描かなければならない必然が感じられ、観るほうもしっかり感情移入できるのだ。

ジャニーズタレントが体を張ってきた歴史

行定勲監督が、この映画の準備にかかっている時、最初は大伴の役を誰にするかイメージが湧かなかったらしい。そこで脚本の堀泉杏に、「誰をイメージして書いたか」と訊ねてみると、堀泉は、「関ジャニ∞の大倉くん」と答えた。監督は、脚本をジャニーズに持っていき、「大倉くんで」とオファーをした。ダメ元だったそうだが、大倉は「断る理由が見つからなかった」と言って、このオファーを受けたという。

考えてみれば、“体を張る”というのは、ジャニーズの御家芸だ。過去の「an・an」のSEX特集で、ヌードで表紙を飾ったジャニーズアイドルは枚挙にいとまがない。俳優もやるアイドルと専業俳優の大きな違いは、アイドルはまず、「ルックスがいい」ことが大前提だということだ。

1988年にジャニーズを辞めた本木雅弘がその3年後の91年に「white room」というヌード写真集で鍛え抜かれた肉体美を、翌年には大学相撲部の奮闘を描いた映画『シコふんじゃった。』で美尻を披露した。当時、まさにモックンは日本のセックス・シンボルだった。

「SMAP×SMAP」が始まった96年4月、19歳の香取慎吾は『透明人間』というドラマで、これでもかというほど裸で街を駆け回っていたが、当時はそのお尻に2億円(片方ずつ1億円)の保険がかけられていたのも、今となっては語り種だ。

最近は、ジャニーズのグループの誰かが表紙を飾ることが恒例になった「an・an」SEX特集も、口火を切ったのは木村拓哉だったし、その木村は、同96年に「an・an」ではなく男性向け雑誌「popeye」で、「衝撃のキムタク」と題し、鏡の前にブリーフ一枚でたたずむカットで表紙を飾っている。

また、キムタクでいうと、作品としてはあまり評判の良くなかった映画『I come with the rain』(2008年)で、顔に虫が這うカットがアップになるのだが、その時もなかなか体を張ってるな、と思ったものだ。メガホンをとったベトナム出身のトラン・アン・ユン監督も、「あのグロテスクな絵を映画として成立させたのは、木村さんの顔の美しさあってこそ」とそのルックスを絶賛していた。

同じ年、香取は人気ドラマ『ガリレオ』にゲスト出演し、シャワーシーンで美尻を披露している。『透明人間』を彷彿させる体の張り方としては、映画『土竜(モグラ)の唄』主演の生田斗真だろう。こちらも、全裸で逃げ回るシーンがあったり、「童貞のまま死にたくない」というセリフがあったりと、女性ファンよりも男性ファンを唸らせる気持ちのいい脱ぎっぷり。

これをジャニーズではない専業俳優が演じていたらもっと男臭くなるところを、アイドル事務所が送り出す俳優らしく、ふざけた中に女子が観てもクスリと笑える上品さを醸し出すところはさすがだ。

ただ脱ぐというだけなら、ジャニーズのタレントはボクサーを題材にした作品に出ることが多いし(松本潤の舞台『あゝ荒野』、山下智久の映画『あしたのジョー』、ジャニーズ恒例の舞台『DREAM BOYS』など)、滝沢歌舞伎で披露される“腹筋太鼓”も上半身裸で、太鼓を叩きながら飛び散る汗を同じ時空間で堪能できるのも作品の醍醐味になっている。それらがエンタテインメントとして成立するのも、「所詮アイドルは見た目が9割」という世間のレッテルに屈しない鍛え方をしている彼らならではだろう。

日本の恋愛映画の金字塔になる?

大倉が、男同士の濡れ場がリアルに描かれるこの映画の台本を読んで、「断る理由が見つからない」と思ったのだとしたら、彼の中にも、“体を張ってこそジャニーズ”という心意気が染みついていたからではないだろうか。『窮鼠〜』は、日本の恋愛映画の新たな金字塔になる予感がするほどの傑作だ。センセーショナルな濡れ場の記憶が後回しになるぐらい、一枚一枚の画が美しく切なく、それぞれの声は耳に心地よく響き、セリフもさり気なく自然でいながら、いちいち真理をついてくる。

アイドルを追いかける喜びの一つに、時々思いも掛けないサプライズが提供されることがあるが、古参ジャニヲタとしては(下衆な言い方になってしまうが)この映画で「正しい美尻の使い方」を見た思いだ。10年前なら想像もできなかった「スイーツ」ではない恋愛映画。これだからジャニヲタはやめられない。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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