藤川球児引退で松坂世代は「名球会」皆無に…では最も多い世代は?

最も多い世代では8人の名球会入り選手を輩出!

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9月1日、引退発表に記者会見に臨んだ藤川球児(阪神)

藤川球児が今季限りでの引退を表明した。日米通算でのセーブ数は現時点で245。名球会の入会資格である250セーブまであと5つというところだった。

松坂大輔をフラッグシップとする1980年度生まれの松坂世代は、90人以上がプロ入りし、松坂をはじめ、杉内俊哉、和田毅、藤川球児、永川勝浩、館山昌平、村田修一、小谷野栄一など各球団の主力クラスの選手を多数輩出したが、まだ名球会入り選手を一人も生んでいない。

この世代が40歳になる今季、現役選手は松坂(西武)、藤川(阪神)、久保裕也(楽天)、渡辺直人(楽天)、和田毅(ソフトバンク)の5人でスタートしたが、藤川と渡辺が引退を表明した。

藤川は残るシーズンもチームに貢献したいとしている。あと5セーブを記録する可能性はあるが、現実的には厳しい状況だ。

野球ファンを沸かせた「松坂世代」から一人の名球会入り選手も輩出しないのは、ちょっとショッキングなことでもある。

名球会の入会資格は、プロ野球通算で2000本安打、200勝、250セーブ。日本での記録を起点としてその後にMLBで積み重ねた記録も「日米通算」で合算される。

名球会は、NPBとは別個の組織であり、名球会入りはあくまで非公式ではあるが、プロ野球選手にとって大きな目標になっている。

名球会入りは、どの世代が多いのか。生年別に調べてみた。

名球会は「昭和生まれ以降」となっているので、大正以前に生まれた選手は含めない。また日本の学制に従って「年度」は4月2日から翌年の4月1日までとした。入会基準を満たしながら入会していない野球人もいるが、これを含む。()は生年月日。

1位 8人 1947年度生まれ
若松勉(1947年4月17日)2173安打
平松政次(1947年9月19日)201勝
谷沢健一(1947年9月22日)2062安打
鈴木啓示(1947年9月28日)317勝
藤田平(1947年10月19日)2064安打
福本豊(1947年11月7日)2543安打
堀内恒夫(1948年1月16日)203勝
門田博光(1948年2月26日)2566安打

最も多いのは1947年生まれ、いわゆる「団塊の世代」だ。巨人のエース堀内恒夫、小さな大打者若松勉、カミソリシュートの平松政次など巨人V9時代を沸かせた選手が多かった。パでは最後の300勝投手鈴木啓示、世界の盗塁王福本豊、40歳で二冠王、MVPの門田博光もいる。ただ、これらの選手が「同世代」という印象はあまりない。

2位 5人 1974年度生まれ
松井秀喜(1974年6月12日)2643安打(日1390/米1253)
A.ラミレス(1974年10月3日)2017安打
岩瀬仁紀(1974年11月10日)407セーブ
井口資仁(1974年12月4日)2254安打(日1760/米494)
黒田博樹(1975年2月10日)203勝(日124/米79)

ヤンキースの主軸を張った松井秀喜、ドジャース、ヤンキースで活躍した黒田博樹など日米で活躍した選手が多い。史上最高のクローザー岩瀬仁紀、外国人初めての2000本安打のラミレスなど多彩な顔ぶれ。しかしこの世代もひとくくりで呼ばれることは少なかった。

3位タイ 4人 1935年度生まれ
梶本隆夫(1935年4月8日)254勝
野村克也(1935年6月29日)2901安打
皆川睦男(1935年7月3日)221勝
長嶋茂雄(1936年2月20日)2471安打

昭和の野球を彩った大選手たち。この世代を「長嶋世代」と呼ぶか「野村世代」と呼ぶかは議論が分かれるだろう。野村は南海ホークスで皆川睦男、そして長嶋茂雄の立教大のチームメイトで、同世代の杉浦忠(通算187勝)の球を受けていた。

3位タイ 4人 1946年度生まれ
山本浩二(1946年10月25日)2339安打
有藤通世(1946年12月17日)2057安打
山崎裕之(1946年12月22日)2081安打
衣笠祥雄(1947年1月18日)2543安打

大卒と高卒で入団年次は違うが、赤ヘル軍団をけん引した山本浩二、衣笠祥雄は同世代だった。2人のライバル心がチームを盛り上げた。有藤、山崎はパ・リーグのスター内野手だった。

5位タイは3人で9組ある。

1936年度生まれ
広瀬叔功(1936年8月27日)2157安打
榎本喜八(1936年12月5日)2314安打
村山実(1936年12月10日)222勝
1937年度生まれ
稲尾和久(1937年6月10日)276勝
江藤慎一(1937年10月16日)2057安打
米田哲也(1938年3月3日)350勝
1943年度生まれ
土井正博(1943年12月8日)2452安打
松原誠(1944年1月13日)2095安打
柴田勲(1944年2月8日)2018安打
1948年度生まれ
江夏豊(1948年5月15日)206勝
加藤秀司(1948年5月24日)2055安打
山田久志(1948年7月29日)284勝
1967年度生まれ
清原和博(1967年8月18日)2122安打
田中幸雄(1967年12月14日)2012安打
佐々木主浩(1968年2月22日)252セーブ
1968年度生まれ
金本知憲(1968年4月3日)2539安打
野茂英雄(1968年8月31日)201勝(日78/米123)
高津臣吾(1968年11月25日)286セーブ
1970年度生まれ
石井琢朗(1970年8月25日)2432安打
宮本慎也(1970年11月5日)2133安打
谷繁元信(1970年12月21日)2108安打
1973年度生まれ
中村紀洋(1973年7月24日)2106安打(日2101/米5)
イチロー(1973年10月22日)4367安打(日1278/米3089)
小笠原道大(1973年10月25日)2120安打
1975年度生まれ
松井稼頭央(1975年10月23日)2705安打
福浦和也(1975年12月14日)2000安打
A.ソリアーノ(1976年1月7日)2097安打(日2/米2095)

こうして並べてみると、どの世代も「その時代の野球」を象徴する顔ぶれだ。先日、松中信彦氏に話を聞いたが「(同じ1973年生まれの)イチロー君やノリ(中村紀洋)を意識したのは、キャリア晩年になってからだ。若い頃はそんなことを思う余裕はなかった」と言った。それが選手たちの偽らざるところだろう。

1975年度世代のソリアーノは広島で2安打したのちMLBにわたり、ヤンキースなどでスター選手となった。名球会入り資格はあったが、辞退している。

松坂世代以降では、以下の3人が名球会入りしている。現役の数字は9月13日現在。

1981年度 2人
鳥谷敬(1981年6月26日)2087安打
青木宣親(1982年1月5日)2434安打(日1660/米774)
1982年度 1人
内川聖一(1982年8月4日)2171安打

それ以降では、1988年度生まれが期待できる。

巨人の坂本勇人(12月14日)がすでに1952安打、ソフトバンクの柳田悠岐(10月9日生まれ)が1047安打、MLBヤンキースの田中将大(4月25日生まれ)が、日米通算176勝(日99/米77)、ツインズの前田健太(4月11日生まれ)が日米通算149勝(日97/米52)、レッズの秋山翔吾(4月16日生まれ)が1431安打(日1405/米26)だ。

坂本は今シーズン中、そして数年先には他の顔ぶれも名球会入りするのではないか。

もともとこの世代は「ハンカチ世代」と言われたが、その語源となった日本ハムの斎藤佑樹(6月6日生まれ)が伸び悩む中、今後はどう呼ばれるようになるだろうか。

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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