ATMに並ぶ人はお金が貯まらない!? 値上続く「手数料」に用心 | FRIDAYデジタル

ATMに並ぶ人はお金が貯まらない!? 値上続く「手数料」に用心

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最新版! 銀行の「手数料」のムダを省く節約術

定期預金などの金利を気にする人は多いけれど、銀行を利用する上でいちばんもったいないのが様々な「手数料」。しかも、ATMの行列に並んでいる人は、貴重な時間も損をしている。本格的なキャッシュレス時代を迎えて、ネットとスマホを活用すれば簡単にこうした手数料と時間の無駄遣いは防げる。日常生活で何気なく支払っている手数料の節約法をマネーライター松岡賢治氏に聞く。 

ATMに並ぶのは、お金と時間の無駄!?(写真はイメージ)
ATMに並ぶのは、お金と時間の無駄!?(写真はイメージ)

もう銀行口座はタダではない!? 

実は、銀行のさまざまな手数料の負担はどんどん重くなっている。お金の入出金など、ATMを無料で利用できる条件は厳しくなり、通帳の発行や口座の保有といった、これまで無料が常識だったサービスの有料化というケースも出てきた。無駄な手数料を払わないようにするには、何に気をつければよいのか? 大手行を中心に、各行の最新動向とともに、その節約法を紹介しよう。

先日、みずほ銀行が、2021年1月18日より新規に開設する普通預金や定期預金などの口座について、通帳の発行手数料を有料(1100円/税込み。以下同)にすると発表し、注目を集めた。19年12月には、「三菱UFJ銀行は2年間取引がない不稼働口座の有料化を検討」というニュースが流れていたため、いよいよ銀行口座はタダで持てない時代になった!? と話題になったのだ。

実は、口座の有料化は相当前から始まっている。りそな銀行埼玉りそな銀行は、04年から、04年4月以降に新規開設された普通預金口座のうち、2年以上利用がなく、残高1万円未満の口座からは年間1320円の「未利用口座管理手数料」を徴収している。こうした未利用口座に対して、維持手数料を徴収する動きは、昨年から急速に地銀や信用金庫にも広がっており、直近では群馬銀行も20年6月から実施している。

ネット系の銀行も安心はできない。ローソン銀行では、りそな銀行同様、2年以上未利用で残高1万円未満の普通預金口座から、年間1320円の手数料を徴収している(各行とも除外条件あり)。口座の維持手数料を徴収する金融機関は、徴収前には顧客に通知をするとしているが、メールを見落としたり、実家に郵送されていたりする場合は、知らないうちに手数料が引き落とされているといった事態になりかねない。何年も放置している口座がある人は、銀行のホームページをチェックすることをオススメする。

現金の引出し、振込みなどの手数料も実質的な値上げへ

また、より多くの人に影響があると思われるのが、入出金や送金の手数料の負担が実質的に重くなっていることだ。みずほ銀行は、20年3月に各種手数料を優遇する『みずほマイレージクラブ』の内容を改定した。コンビニATMの利用手数料の無料特典からセブン銀行とローソン銀行を除外、さらに、本支店あて・他行あての振込手数料の無料特典は、インターネットバンキング利用のみが対象で、ATMを利用したときは有料にした。

三菱UFJ銀行も、20年5月からコンビニATM手数料を見直している。例えば、セブン銀行ATMの場合、平日8時45分~18時までは110円から220に、平日のそれ以外の時間は220円から330円へと大幅に値上げをした。土・日・祝日はすべての時間帯で220円から330円に値上げしている。ただし、毎月25日と月末日の2日間だけは、8時45分~18時までなら手数料は0円(無料)に値下げをしている。コンビニATMを利用したとき、徴収される手数料が以前と違っていて、「あれっ」と思った人も多いだろう。

気づかないうちに、銀行のさまざまな手数料が改悪されている
気づかないうちに、銀行のさまざまな手数料が改悪されている

メガバンクでも手数料に大きな差

こうした手数料有料化の動きは、銀行間の〝格差〟を生んでいる。三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行のいわゆるメガバンク同士でも、入出金や送金における手数料の差は意外と大きいのだ。

各行自前のATMで、平日に入出金したときの利用手数料を比較してみよう。三井住友銀行は、8時45分~18時までは0円で、それ以外の時間帯は110円(入金は0円)。三菱UFJ銀行は8時45分~21時までは0円で、それ以外の時間帯は110円。みずほ銀行は、8時~8時45分まで110円、8時45分~18時は0円、18時~23時は110円、23時~翌8時までは220となっている

したがって、20時にATMからお金を引き出したとすると、三菱UFJ銀行は無料で、三井住友銀行とみずほ銀行は110かかる。また、一部店舗のATMに限られるであろうが、7時に入金したときは、三井住友銀行は無料で、三菱UFJ銀行は110円、みずほ銀行は220円をそれぞれ支払うことになる。

銀行ごとに優遇特典をチェックする

以上のように、各種手数料の負担が重くなっている状況では、漫然と銀行を利用していると、どんどん余計なお金を出費することになってしまう。そこで、おもにATMでの入出金や送金に関して、手数料をなるべく支払わないようにする節約法を紹介していこう。

手始めにやって欲しいのは、繰り返しになるが、口座を持っている銀行のサービス内容をチェックすること。昨年から今年にかけて、多くの銀行が見直しを進めており、しかも、内容自体が複雑化しているからだ。

前述した三菱UFJ銀行のコンビニATM手数料の改定も、セブン銀行ATM、イーネットATM、ファミリーマートに設置のゆうちょ銀行ATM、ローソン銀行ATMで、それぞれ微妙に違っている。こうした変更内容を、まずは抑えておきたい。その後で、銀行ごとの利用料を節約できる条件を確認しておこう。

各行の優遇条件で、それぞれ最もハードルが低いと思われるものをピックアップした。待遇措置を受けるためには、申し込みが必要な場合も多いので、取引銀行のHPを必ずチェックしたい
各行の優遇条件で、それぞれ最もハードルが低いと思われるものをピックアップした。待遇措置を受けるためには、申し込みが必要な場合も多いので、取引銀行のHPを必ずチェックしたい

ネットバンキングを日常化する

本支店宛てや他行宛てを問わず、預金口座への振込(=送金)は、どの銀行であってもネットバンキングの利用が最も安い。例えば、これまで紹介してきたようにATM関連の手数料が比較的割安な三井住友銀行では、ATMによる本支店宛ての振込は、ATMから現金を送金すると220円、キャッシュカードを使うと110円かかるが、ネットバンキングなら無料だ。ネットバンキングというものに抵抗感を覚えていて、まだ利用していない人も少なくないが、手数料を節約するならネットバンキングの登録は必須といえよう。

現在は、ほとんどの銀行がスマホのアプリでネットバンキングを利用することができる。指紋認証でログインができるタイプも多く、パソコンでホームページにアクセスするよりも使いやすい。給料日の昼休みなど、街中のATMコーナーには歩道にまで人が溢れる大行列ができているが、スマホを使えば、ランチの料理が運ばれてくる間に振込みは完了してしまう。使わない手はない。

使えるネット銀行を〝サブバンク〟として活用

ネットバンキングに慣れている人なら、使い勝手の良いネット銀行を〝サブバンク〟として活用する、という手がある。ネット銀行は、自前の店舗やATMを持っていないので、現金の入出金は必然的に他行のATMをユーザーに使ってもらうことになる。そのため、ATMの利用料が無料になる条件のハードルは低い

給料の振込口座は会社が指定しているケースが少なくないので、メインバンクとしてそのまま保有し、ATMや送金の特典があるネット銀行の口座をサブバンクとして開設しておく。給料日などにメインからサブに現金を移動させておいて、現金が必要になったとき、コンビニATMなどでサブから引き出すようにすれば、ATM利用料を節約できるだろう。

給料の振込口座先を選べる場合は、メインバンクはネット銀行で、というのもアリだ
給料の振込口座先を選べる場合は、メインバンクはネット銀行で、というのもアリだ

また、ネット銀行ではないが、ゆうちょ銀行もサブバンクとして使える。ゆうちょATMは、曜日・時間帯にかかわらず、いつでも入出金は無料となるからだ。イーネットのATMも利用できるが、8時45分~18時以外の時間帯では時間外手数料220円がかかる。

スマホ決済で送金する裏ワザ

最後に紹介するのは、送金にスマホ決済を活用するワザであるLINE Payでは、ユーザーが本人確認をしておくと、個人や企業の銀行口座に送金ができる。送金額には1日10万円という上限があるが、手数料は送金額に関係なく176円。三井住友銀行の場合、ネットバンキングを使っても、3万円以上の他行宛ての送金には440円かかる。LINE Payでの送金はかなり割安といえる。

スマホ決済は、個人間の送金が無料できることもメリットのひとつだが、企業の法人口座に送金ができるサービスを提供しているのは、現状、LINE Payのみ。今後、他のスマホ決済でも追随すれば、銀行の送金サービスにも大きな影響を与えるだろう。

銀行はこうした新しいタイプの金融サービスに対抗するために、メガバンクであっても〝ネットバンキング化〟を進めていくことになる。『ドコモ口座』で起きた不正入金問題で、世の中のネットバンキングのイメージは悪化してしまったが、それで利用しないというのは、もったいないことではないだろうか。

■記事中の情報、データは2020年9月22日現在のものです。

  • 取材・文松岡賢治

    マネーライター、ファイナンシャルプランナー/証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。情報サイト「オールアバウト」クレジットカードガイド。

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