J.Y.Park目線で堪能「ジャニーズJr.配信ライヴ」の真価

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昭和なら「スター誕生」や「いかすバンド天国」(通称=“イカ天”)、平成なら「ASAYAN」。20世紀生まれの日本人なら、何かしら夢中になったオーディション番組がある。

ならば、21世紀生まれが将来思い出す“令和を代表するオーディション”が、あのJ.Y.Parkの名言が炸裂したNizi Projectになるのだろうか。

かつては「自分の審美眼が確かかどうか」を楽しむのがそういった番組の醍醐味だったが、現在のオーディション番組は、視聴者が「推しを見つける」ことに主眼が置かれているように見える。この辺は、個人で戦うことが命題だった昭和のアイドルから、プロデューサーに選ばれてグループに入ることがデビューの最低条件になった現代との違いかもしれない。

ジャニー喜多川氏の遺志を継ぎ、ジュニアたちを育成する滝沢秀明氏(‘18年)

でも、この夏ジャニーズJr.の配信ライヴを見て、あらためて実感したことがある。ジャニーズJr.を愛でることは、J.Y.Parkのような“発掘”に喜びを見出すプロデューサー感覚と、花丸付きの“推し”を青田買いしたい気持ちの両方が満たせるということだ。

コロナの影響でデビュー組でさえことごとくツアーが延期に次ぐ延期を強いられ、ついには配信、という決断を迫られたかつてないエンタメ受難の年。とはいえジャニーズは、3月末にYouTubeで初の無観客の配信ライヴを敢行、6月には有料配信ライヴを成功させ、それ以降も関ジャニ∞やジャニーズWESTを筆頭に関西ジャニーズの結集した「フェス」のようなライヴを行うなどして、むしろ従来の“推し”以外のグループにも関心を向けることに成功しているようにも見える。

そういった攻めの流れを受けて、8月には(8月1日のジャニーズWESTと8月8日の関ジャニ∞を除いて)ジャニーズJr.に特化した有料のライヴが次々に配信された。しかも、次期デビューの筆頭とみられるTravis Japan(以下“トラジャ”)は、メンバー7人が、それぞれセルフプロデュースでソロコンサートを行うという前代未聞の展開に。東京は、キャパ約3000人のTOKYO DOME CITY HALL、大阪はキャパ1000人強の松竹座をベースに、デビュー予備軍のジャニーズJr.が趣向を凝らしたショーを作り上げていた。

1公演あたりの動員数の少ないジャニーズJr.のライヴは、本来ならチケットの争奪戦で、なかなか参戦できるものではない。それが今回はお金さえ払えば、また時間さえ合えば、全部のステージを観ることも可能だ。ファンクラブの会員なら1公演あたり1500円、ファンクラブに入っていなくても1公演2000円と、ほぼ映画1回分の金額で、本来ならプラチナチケットであるJr.のライヴを拝めるのだ。

これはすごいことである。

筆者も早速ジャニーズJr.情報局に入局し(年会費もデビュー組の半額)、とりあえず、配信の行なわれたグループ、または個人のライヴ、最低1回ずつは鑑賞することにした。

J.Y.Park目線でJr.のライヴを鑑賞する日々

こうなると、ライヴのある日は毎日がオーディションみたいなもの。「このグループは歌が弱いなぁ」とか「この子、YouTubeで観た時よりもステージ映えする!」など、すっかり目線はJ.Y.Parkだ。ただ、Nizi Projectの面白さは、J.Y.Parkの言葉によって、女の子たちが自分自身を発見し成長していく過程だ。

それに対しジャニーズの場合は、舞台裏での葛藤はわからないまま、タレントがステージ上でぐんぐんと成長していく。特に、Jr.時代は先輩のバックも含め、(通常なら)ひっきりなしにステージに立っているので、目をかけていたタレントが、サナギから蝶になった瞬間を目撃できるかもしれない。いずれにせよ、ジャニーズ事務所の育成方針は、徹底した現場主義で、「教えてもらう」のではなく「自ら学ぶ」というやり方なのだろう。

最近のJr.はスキルが高くアマチュア感がないことも、観る側のプロデュース欲を刺激する。また、自分たちのオリジナル曲を持っているグループも多いものの、基本的に彼らが歌うのが先輩の歌であることも古参ヲタ的には楽しい。6人組の美 少年は、SMAPの「STAY」を歌い、各グループの正統派二枚目がこぞってSexy Zoneの切ない片思いバラード「名脇役」を歌ったことなどが印象的だ。

こうやって、名曲は歌い継がれていくのだろう。

ただ、だからこそ「発表会」的な側面もあり、難易度の高い曲に挑戦した時など、ついハラハラとしながら彼らを見守っている自分に気づいたり、うまくできなければできないで可愛いと思ったり。ああ、こうやってJr.のヲタは「うちの子最高!」なモンスターペアレント化していくんだなぁ。ジャニヲタ歴は長いが、ここまで真剣にJr.のライヴを見たことがなかった筆者は、モンペ化するヲタの気持ちをこの夏ぼんやりと理解した。

ソロコンが主体だったTravis Japanを除いて、この夏のJr.コンをざっと総括すると、純粋に楽しめたのが、ローラースケートを得意とする5人組Hi Hi Jetsと、楽器もダンスも歌もしゃべりも達者な関西の6人組・Aぇ!グループのステージだ。

Hi Hiはとにかくステージングがうまく、展開もきっちり練られていて、曲ごとの演出も多彩。嵐の「きっと大丈夫」と「Oh Yeah!」をライヴ後半で披露し、嵐ライヴの多幸感を彷彿させていたところは、見事としか言いようがなかった。

Aぇ!グループは、他の関西のグループ「なにわ男子」「Lilかんさい」がキラキラ推しなのに対し、泥臭さや面白さを前面に押し出してきた。ライヴでは、「シンデレラガール」などの王子様ソングを完璧に歌いこなす一方、ギャンギャンに若さを爆発させたバンド演奏で盛り上げるというギャップ萌えで、HiHi 同様、今のJr.の“才能”と“ポテンシャル”を存分に見せつけた。関西は、王道キラキラ路線を歩むなにわ男子の人気がすごいが、ライヴの魅力でいえば、Aぇ!の方が上だろう。

関東で王道キラキラ路線を歩む美 少年は、スキル面ではまだ課題が多く、この配信ライヴでも爆発的な成長を見せつけるまでには至らなかった。でも、彼らはこの夏、ダンスや歌以上に、別の才能を開花させていた。芝居だ。

6人が主役を務めた金曜ナイトドラマ「真夏の少年」は、全員が同じ高校の同級生で、最年長の藤井直樹と最年少の金指一世が双子という設定だったが、全く違和感がなかった。この春、慶應大学に進学した那須雄登に生徒会長の役はハマっていたし(泣きの演技がうまくてびっくり)、やはり附属高校から立教大学に進学した浮所飛貴も、落ちこぼれグループにいながら実は近所の名門私立からの転校生という役を演じ、彼らの強みを活かした配役になっていたことも、このドラマにリアリティを感じさせてくれた。

中でも、一番出番の多かった佐藤龍我の明るくてアツい芝居は、若い頃の長瀬智也のイメージが重なったし、氣志團へのオマージュのようなリーゼント姿の岩崎大昇も、田舎のヤンキー役を持ち前の明るさでユーモアたっぷりに演じていた。

この夏、ジャニーズがオーディション的な楽しみを与えてくれたのは、ライヴだけではなかったのである。

9月26日と27日には、ジャニーズJr.で誰もが認める実力トップ集団Travis Japanの配信ライヴも予定されている。それぞれの個性を爆発させたソロライヴを経験したあとに、グループとしてどう化けるのか。配信で出会えたオーディション的Jr.の楽しみ方としては、今年のクライマックスになりそうな予感。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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