稲垣・草彅・香取が出演作ラッシュ「新しい地図」それぞれの魅力 | FRIDAYデジタル

稲垣・草彅・香取が出演作ラッシュ「新しい地図」それぞれの魅力

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稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾による「新しい地図」がいま、面白い。

2017年9月22日に始まり、ちょうど3年。所属メンバーの各SNSへの進出、音楽活動、俳優活動、芸術活動、飲食店やブランドのプロデュース、基金の立ち上げや、パラ駅伝等のサポーターへの就任など、活躍は非常に多岐にわたる。

映画ライターである筆者としては、3人の俳優活動に注目したい。ちょうどこの秋には、それぞれの最新主演作が公開されるのだ。2018年に、3人が出演するオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』を制作したことも印象深い出来事であったが、その後も個々が精力的に出演を重ねてきた。

そして、香取慎吾の最新主演作『誰かが、見ている』が、Amazon Prime Videoにて9月18日に配信開始。草彅剛は主演映画『ミッドナイトスワン』が9月25日に封切られ、稲垣吾郎は主演映画『ばるぼら』の公開が、11月20日に控える。それぞれ、3人の新たな挑戦が明確に打ち出された意欲作だ。

FRIDAYデジタルでは、この記事を皮切りに、稲垣・草彅・香取の近年の俳優としての魅力に迫る不定期連載をスタート。個別の記事では、上記の3作品を中心に各々を深掘りしていく。今回はそのイントロダクションとして、作品概要等を簡単に紹介させていただきたい。

香取慎吾主演『誰かが、見ている』(Amazon Prime Videoにて配信中)

Amazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』 2020年9月18日(金) Amazon Prime Videoにて独占配信 (c)2020 Amazon Content Services LLC
Amazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』 2020年9月18日(金) Amazon Prime Videoにて独占配信 (c)2020 Amazon Content Services LLC

本作は、香取が“盟友”とも“恩師”ともいえる劇作家、三谷幸喜と再び組んだドラマシリーズ。全8話構成のシットコムだ。このシットコムというジャンル、諸説あるが、「観客も入れて撮影する、或いは観客の笑い声が入った、メインの舞台が1か所に限定された演劇風味のコメディ」のようなものだと考えていただきたい。香取と三谷が組んだ2002年制作のドラマ『HR』と同形式でもある。

『誰かが、見ている』はAmazonが手掛けるオリジナルシリーズということもあり、240以上の国や地域で配信中。香取が、動画配信サービスという新たなプラットフォームへの挑戦を行った、記念すべき作品でもある。同時に、三谷のこだわりでほぼノーカットの一発撮りで撮影が行われたそうだ。

あらすじを簡単に紹介すると、香取扮する青年が、部屋で過ごす日常をマンションの隣人に 撮影・配信され、知らぬ間に有名人へとなっていく、というもの。コメディ演技に秀でた香取の“独壇場”的な、パワフルなギャグが繰り出される。

西田敏行、大竹しのぶ、松岡茉優ら多彩なゲストも話題だが、その1人として稲垣も出演。正体を隠している大物演歌歌手という、新鮮な役どころにチャレンジしている。

香取と稲垣の共演は2013 年放送の三谷幸喜脚本・演出『「古畑 VS SMAP」その後…』以来7年ぶり (c)2020 Amazon Content Services LLC
香取と稲垣の共演は2013 年放送の三谷幸喜脚本・演出『「古畑 VS SMAP」その後…』以来7年ぶり (c)2020 Amazon Content Services LLC

草彅剛主演『ミッドナイトスワン』(9月25日より劇場公開)

『ミッドナイトスワン』2020年9月25日(金)より公開 (c)2020Midnight Swan Film Partners
『ミッドナイトスワン』2020年9月25日(金)より公開 (c)2020Midnight Swan Film Partners

近年、個性的なキャラクターに次々と挑戦している草彅剛は、最新主演作『ミッドナイトスワン』でトランスジェンダーという役どころを全身全霊で演じ切った。Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』の内田英治監督によるオリジナル映画であり、トランスジェンダーの主人公とバレリーナを夢見る少女の交流を描いた、良質なヒューマンドラマに仕上がっている。

新宿でひっそりと生きるトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)のもとに、親戚の娘・一果(服部樹咲/はっとりみさき)が預けられる。最初はぶつかってばかりの2人だったが、共に過ごすうちに絆が芽生え、凪沙は一果の“母”として生きたいと願うように。2人が織り成す疑似親子の関係性を、感動的な筆致で描いた。

本作においては、ストーリーもさることながら、やはり草彅の演技が圧倒的。国民的スターである彼の面影はまるでなく、凪沙という1人の人物として、スクリーンの中で生きている。本人も「代表作であり、集大成」と発言しており、草彅の現時点における最高値のパフォーマンスを堪能できる映画といっていいだろう。

稲垣吾郎主演『ばるぼら』(11月20日劇場公開)

『ばるぼら』2020 年 11 ⽉ 20 ⽇(⾦)よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国公開 配給︓イオンエンターテイメント © 2019『ばるぼら』製作委員会
『ばるぼら』2020 年 11 ⽉ 20 ⽇(⾦)よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国公開 配給︓イオンエンターテイメント © 2019『ばるぼら』製作委員会

稲垣が主演する映画『ばるぼら』も、非常に挑戦的な一本だ。手塚治虫による異端の漫画を、息子である手塚眞が映画化。日本・ドイツ・イギリスの共同製作となり、撮影監督には、巨匠ウォン・カーウァイの右腕でもあるクリストファー・ドイルが参加した。

本作で稲垣が扮したのは、異常性欲に悩まされている耽美派小説家。彼の元にある日、謎めいた女性が姿を現し、やがて創作活動のミューズとなっていく。

全編にわたる妖しい魅力と退廃的な香りが強烈な、アダルトかつアバンギャルドな逸品といえよう。稲垣らしい芸術的な色気と、色彩感覚・カメラワーク・心情描写など、実験的な表現を多々織り交ぜた世界観が混ざり合っており、主人公を惑わすミューズに扮した二階堂ふみとの、濃厚な演技の応酬にも注目だ。

手塚監督は、公開に向けたコメント内で「稲垣吾郎さんと二階堂ふみさんの美しさはまさに芸術品」「愛と狂気についての映画ですから、理屈も言葉も超えて、陶酔の世界を堪能していただければ嬉しいです」と語っており、観客からどのような反応が巻き起こるのか、期待が高まるところだ。

 

簡単に紹介してきたが、どの作品にも、これまでとは一味違う稲垣・草彅・香取の魅力が詰まっており、彼らが演者としてもますます高みを目指していることが感じられるのではないか。

既存のイメージを打ち崩そうと取り組み続ける3人は、今後どんな表情を見せてくれるのだろうか。この秋の“出演作祭り”のその次も、楽しみに追いかけていきたい。

 

Amazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』
2020年9月18日(金) Amazon Prime Videoにて独占配信
脚本/演出:三谷幸喜
出演: 香取慎吾、佐藤二朗、山本千尋、長野里美、宮澤エマ、夏木マリ
ゲスト出演:くっきー!(野性爆弾)、西田敏行、高嶋政宏、寺島進、
稲垣吾郎、山谷花純、近藤芳正、松岡茉優、橋本マナミ、八嶋智人、
さとうほなみ、小日向文世、大竹しのぶ、新川優愛、小池栄子(登場順)
制作プロダクション:株式会社 ギークサイト、株式会社ギークピクチュアズ
(c)2020 Amazon Content Services LLC

『ミッドナイトスワン』
2020年9月25日(金)より公開
出演:草彅 剛
服部樹咲(新人) 田中俊介 吉村界人 真田怜臣 上野鈴華
佐藤江梨子 平山祐介 根岸季衣
水川あさみ・田口トモロヲ・真飛 聖
監督・脚本:内田英治 音楽:渋谷慶一郎
配給:キノフィルムズ
©2020 Midnight Swan Film Partners

『ばるぼら』
2020 年 11 ⽉ 20 ⽇(⾦)よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国公開
出演︓稲垣吾郎 ⼆階堂ふみ
渋川清彦 ⽯橋静河 美波 ⼤⾕亮介 ⽚⼭萌美 ISSAY / 渡辺えり
監督・編集︓⼿塚眞 原作︓⼿塚治⾍ 脚本︓⿊沢久⼦
撮影監督︓クリストファー・ドイル / 蔡⾼⽐
配給︓イオンエンターテイメント
(c)2019『ばるぼら』製作委員会

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

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