『カネ恋』に見る経理部員、パートナーに最適だという説

ドラマの中で、いま熱いのは経理部員だ!

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『おカネの切れ目が恋のはじまり』で経理部員を演じる松岡茉優

『おカネの切れ目が恋のはじまり(以下、カネ恋)』(TBS系・毎週火曜・夜10時〜)の九鬼玲子(松岡茉優)を見ていたら、モヤモヤと既視感を覚えた。なんだろう? と普段ほぼ機能していない海馬を働かせると『これは経費で落ちません!』(NHK総合)の森若沙名子(多部未華子)だったことに気づく。

ふたりの主役は、企業の“経理部員”だ。この職種に対して、色々なイメージがあると思うけれど、そこに見えたぜひ見習いたい生き方のヒントについて、ネチネチと考えてみたい。

玲子と沙名子、ON&O F Fの切り替えが秀逸

玲子と沙名子さん(敢えてこう呼ぶが)、ふたりの共通項はまず“仕事に対して実直であること”。一般的に想像する経理部の女性像を裏切ることなく、勤務態度は真面目で社員からもカタブツとして一目置かれる存在だ。

そもそも経理部とは会社の金庫番なわけだから、感覚で仕事をするようないい加減なタイプには務まるわけがない。各部署から寄せられるバラエティ豊富で使徒不明だらけの領収書を解析して、会社の運営資金を正しく、無駄なく使うように誘導する。こんな大役を担っているのだから優秀であることは間違いない。

さらにふたりの動向を辿ると“私生活は堕ちると弱い”。九鬼は会社の資金をきっちり管理、もちろん自分の給料も……と思いきや、15年間片思いを続けている早乙女健(三浦翔平)に対しては、甘い。そしてありとあらゆる品物を貢いでいた。好きなものには弱い、というわけだ。

沙名子さんも、普段は食事も自炊と常備菜を使い回すきっちりとした性分で、趣味は映画鑑賞である。自分のペースを乱さない主義なのに、恋に落ちた途端、今まで知らなかった自分の反応に日々揺れている。その辺が可愛い。ただ二人とも仕事に戻れば、眼光鋭く領収書を捌きまくって、きっちりと働いている。私が見習いたいと思ったのは、このONとOFFのスイッチの切り替えだ。

一説によると今後は都内の本社機能は次々に、家賃の安い地方へと移動することが多くなるという。リモートワークの普及により、港区でバカ高い家賃を払ってオフィスを持っておくステイタスは必要がなくなるからだ。そして社員は自宅で働くことになる。ただ私の周囲にいる会社員の面々からは、出勤がないぶん、生活のメリハリがつかないという悩みを聞く。確かにそれは否めない。

経理部員はパートナー最有力候補である

まだ在宅での仕事に慣れない人たちに伝えたいのは、玲子と沙名子さんのようにきっちり時間を使うことを心がけて欲しいということ。例えば仕事に対するオリジナルポリシーや習慣を作るといい。放送済みの沙名子さんのセリフには、いくつかその参考になる明言があった。彼女は

「ウサギは追うな」

と、経理の数字を追っていると途中、情報に惑わされそうになると、心で呟いていた。どうやら好きな映画のセリフで、周囲の情報は気にせず仕事に集中しろ、という意味らしい。こういう仕事の景気づけになる言葉を決めておくと、詰まったときの背中を押してくれる。ちなみに私は仕事中のトラブルや、情報過多にハマると「時は金なり」と呟く。自分の生活は自分しか保証してくれない! という鼓舞する意味だ。

ふたりのように趣味を持つとか、恋愛をどっぷりするとか、仕事以外の顔を持つことが仕事の効率を上げるヒントになるはずだ。自戒を込めて言うが、自宅だからってアイスを食べてゴロゴロしていいわけではないのでね。

そして男性にも強く言いたいのが、経理部勤務の女性は本当に優秀だと思う。この記事を書く前にSNSを使って『経理部 女性』と調べると『地味系女子』『経理の超合金女史』というワードがつらつらと上がってきた。……まあ、確かに前述したイメージとは寸分違わぬ見解ではあるけれど、彼女たちの魅力はけしてギャップではない。仕事ぶりそのものだ。

パートナーとして暮らしていく=家はひとつの企業だ。これを安全に運営していくためには、入ってくる運営資金をどうさばくか、余分なものは買っていないかを見極めて、平均的な生活水準を担保しつつ、時には余暇をつくる。彼女たちにはそういう経済システムが自分の中に構築されている。よく分からぬまま、乗せられて加入する生命保険より、ずっと安心かもしれない。

さて始まったばかりの『カネ恋』。経理部にスポットライトが当たるドラマは、見ていて分かりやすいので気持ちがいい。あと3回の放送で、どんな展開、そして結末があるのかリアタイで見守りたい。きっと楽しいはずだから。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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