21世紀とは思えない、韓国を震撼させた2つの「衝撃事件」

21世紀とは思えない事件と 、今も韓国人が拭えない疑念

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韓国での原題は“私を探して”。 『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』9月18日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー (c) 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

今月、イ・ヨンエの主演映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』が日本でも公開される。韓流ブーム絶頂期に『宮廷女官チャングムの誓い』でヒロインを演じ、日本にもファンの多い女優だ。映画では6年前に失踪した息子を懸命に捜す母親役を演じている。

韓国では4年前に「行方不明者の急増」が報じられ、特に“大人の失踪”が問題視された。

映画では息子らしき子供が地方の釣り場で働かされていたが、あながちフィクションとも思えない。韓国には過去に似たような事件があったからだ。

2014年2月に発覚した「塩田奴隷事件」は当時、韓国社会を震撼させた。南部の島で100人を超える障害者が奴隷として送り込まれ、強制的に労働させられていたのだ。

韓国にとっては衝撃的なニュースだったが、日本ではあまり大きく報道されなかった。

その頃、日本では理化学研究所の研究員だった小保方晴子さんらによる“STAP細胞”論文が話題だった。翌月にはソチ冬季オリンピックが開催され、世間の関心は完全にオリンピックへと向けられる。

韓国メディアの報道によると、障害者の男性たちは「いい仕事がある」と勧誘され、塩田に送り込まれたという。

与えられるのは粗末な食事とタバコだけ。冷暖房のない倉庫で寝かされていた。脱出しようものなら激しい暴行を受け、中には足を切断した被害者もいたと報じられている。被害者が書いた手紙が運良く母親の元に届いたことで事件が明るみに出たのだ。

当時の朴槿恵(パク・クネ)前大統領は「21世紀にあってはならない衝撃的な事件」と言及し、再発防止を指示したが、どこか火消しに躍起になっている印象が拭えなかった。

というのも、このときソチオリンピックに関心が向いたのは韓国も同じだが、その4年後の冬季パラリンピック開催地は韓国の平昌(ピョンチャン)。韓国としてもこの時期、よりによって障害者が被害に遭った事件を世界中に知られるのは本意ではなかっただろう。

当時、数人の韓国人に話を聞いてみたが、「韓国の恥」と言ったきり、口が重かったように記憶している。

五輪の興奮が収まった韓国ではその後、304人もの死者・行方不明者を出した「セウォル号の沈没事故」が起きてしまう。「塩田奴隷事件」はすっかり過去のものとなってしまった。

『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』 (c) 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

奇しくも、この頃、自ら行方をくらました人物もいる。セウォル号のオーナーだった兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者だ。背任容疑等で指名手配されたが行方はつかめず、事件から3ヶ月後に変死体となって発見されている。

遺体の顔は腐敗して判別不能。人差し指が切断され、下戸にも関わらず持参していたカバンには酒瓶が入っていた。決め手はDNA検査だったというが、今もこの遺体を別人と思っている韓国人は少なくない。

日本人の感覚では「まさか」と思わなくもない。だが、冒頭の映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』でも自ら釣り場に身を隠している者もいた。

2014年の「塩田奴隷事件」と「セウォル号沈没事故の続報」は、まさに“事実は小説より奇なり”といった出来事で、行方不明者が注目された年でもあったのだ。

  • 児玉愛子(ライター、韓国コラムニスト)

    韓流エンタメ誌、ガイドブック等の企画、取材、執筆を行う韓国ウォッチャー。
    新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムも寄稿。

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