コロワイド役員が反論「大戸屋買収、批判の声に応えます」

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11月に臨時株主総会を開く大戸屋。コロワイドの傘下に入ってもメニューや味が維持できるのか不安は残る

「TOB(株式公開買付け)が成立し、本当に良かったです。TOBに応じていただいた方々には、心から感謝します。大戸屋さんと話し合い、(経営陣に)一人留任いただくことになりました」

外食大手「コロワイド」取締役・澄川浩太氏(41)が話す。コロワイドは、焼き肉「牛角」や回転寿司「かっぱ寿司」、しゃぶしゃぶ「温野菜」、ファストフード「フレッシュネスバーガー」などを運営する外食業界の巨人だ。9月9日、同社が定食チェーン「大戸屋ホールディングス」の株式約47%を獲得。TOBが成立し、買収が確定的となった。

コロワイドは、もともと約19%の株式を所有する大戸屋の筆頭株主。同社が目論む子会社化に、大戸屋は反発してきた。以下は、澄川氏が語る買収の真相だ。

ーーそもそも大戸屋にこだわる理由とは?

「二つあります。一つは定食業態の魅力です。コロワイドの売り上げの8割はレストラン業態ですが、焼き肉や寿司など専門型の業態が多い。毎日いろいろなメニューを楽しめる定食は、我々が持っていないカテゴリーなんです。

二つ目はブランド力。大戸屋さんの料理は身体に良く、高品質というイメージがあります。我々が強化したいのは給食事業です。大戸屋さんを運営する会社の給食なら、お客様も安心してもらえるでしょう」

ーー大戸屋の売りは、厳選した素材を店で加工調理し家庭の味を提供することだと思います。コロワイドの、素材などを一括して工場から送るセントラルキッチン方式とは合わないのではないでしょうか。

「『手作りvs工場』という図式で報じられることが多いですが、我々が『店内調理を見直す』といった趣旨の発言をしたことは一度もありません。当然に調理はこれまで通り各店舗でやります。店内調理は大戸屋の強み、大戸屋への期待としてお客様に認知されているわけですから、マイナスになることをする理由はありません。

当社にとってのセントラルキッチンの役割は、外部から調達している加工食材を内製化することで、価格競争力やクオリティの向上を目的としているものです。その点でも、決して大戸屋さんの品質を損なうことはありません」

ーーセントラルキッチンの活用などで、6億9000万円ほどのコストカットが可能なのですね。

「大戸屋さんの定食は900円ほどで、顧客にとっては高い印象です。料理にもよりますが、シナジー効果を原資として定価を100円ほど下げられると思います。提供までの時間も短縮します。魚を焼くには、どうしても10分はかかります。でも20分以上待たされたら、お客様も不満でしょう」

ーー大戸屋が反発する理由の一つに、コロワイドの強硬な姿勢があるのではないかとの報道もありますが?

「大戸屋さんとの話し合いの場で、我々が強硬なことを言ったこともないです」

大戸屋が反発する理由は何?

取材に応える澄川氏。若くしてコロワイドの役員となった優秀なビジネスマンだ

ーーでは、大戸屋が反発する理由はなんだと思いますか。

「正直わかりません。深い議論を拒否されていましたから。一緒にやるメリットとデメリットを話し合い、その上で関係が決裂するならわかります。その以前でストップしていたんです。独立経営にこだわっていたんだと思います」

ーーそれで敵対的TOBに?

「株主としては企業価値を保つ必要があります。ここ数年、大戸屋さんの業績は良くなかった。独立経営するなら、課題や改善方法、その結果を株主に説明すべきでしょう。それがアカウンタビリティーです。このまま黙っていて良いはずがない。ですから我々が株主提案をし、拒否されたためTOBに動いたんです」

ーー新型コロナウイルス感染拡大が収まっていない状況での買収は、時期が悪いのでは?

「新型コロナはマイナス要素ですが、他の外食に比べ定食は逆風が弱い業態だと思います。大戸屋さんの品質なら、テイクアウトでも強みを発揮できる。きちんとした商品を提供すれば、お客様は、550円のコンビニ弁当より650円の大戸屋さんの定食を選んでいただけると考えています」

ーーそもそもコロワイドは、現経営陣と対立した大戸屋の創業家から株式を売却されました。コロワイドの株式提案では、創業家の三森智仁氏の取締役復帰も盛り込まれています。創業家の意向も働いているのですか。

「まったくありません。意趣返しのような方法で、ビジネスはできませんよ。智仁氏に参加してもらうのは、創業の理念を受けアドバイスしてもらいたいからです。智仁さんはお若いですが、亡くなったお父様(大戸屋会長だった三森久実氏)から薫陶を受けています。参考になるはずです」

ーー大戸屋の現取締役、11人全員の刷新を要求したそうですが。

「それだけを要求したワケではありません。全面的に反発された場合のことも考えると、全員の刷新もありうると提案せざるをえないので、形式上そういう形になっただけです。話し合いの結果、ご本人たちの希望もあり1人に留任いただきました」

ーー大戸屋のメニューや味を変える予定は?

「いい意味でメニューラインナップは充実させていきたいと考えていますが、大戸屋さんの良い部分は引き継いでいきます。大戸屋さんは、高価格などの理由で客足が遠のいている。品質を維持し、ムダを省けばお客様は戻ってくると思います」

ーーM&Aを繰り返すコロワイドが目指すのは、なんなのでしょうか。

「日本一の外食企業です。外食産業は寡占化が進んでいない。まだまだ成長できると思います」

横浜市内にあるコロワイド本社の受付。東京湾が一望できる素晴らしい立地だ

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