枝野と小沢が歩み寄った…!野党結集「今度は本気」の舞台ウラ | FRIDAYデジタル

枝野と小沢が歩み寄った…!野党結集「今度は本気」の舞台ウラ

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写真・AFLO
写真・AFLO

「一言でいえば現実的、政治のリアリズム。150人の力を足し算ではなく掛け算にしないとならない」

9月15日、立憲民主党と国民民主党の合流によって誕生した新政党「立憲民主党」の結党大会が開かれ、新代表に就任した枝野幸男氏は記者との質疑応答で、こう意気込みを語った。

選挙のたびに野党がバラバラに候補者を擁立し、自民党が勝利する「1強多弱」の政治構造が繰り返されていたことは周知のとおり。今回の結集で衆参合わせて150人の国会議員を要することとなり、09年に政権交代した民主党時代に匹敵する規模を形成することはできた。

しかし、メディアや有権者の反応は芳しくない。政権の選択肢となり得る大きな固まりが生まれたにもかかわらず、自民党の総裁選や、菅新総理誕生ばかりが報じられることからもそれは明らかだ。

「党名も同じで、代表も幹事長もかわらないままで、新党と認識されるのか」

こう嘆息する所属議員の懸念はもっともで、共同通信の世論調査では、合流前の8月には10.7%の支持率があったが、9月には7.0%に減少。同じく読売新聞の世論調査(9月20日)では、自民党の支持率47%に対して、立憲民主党はわずか4%。大きく溝を開けられてしまっている。

「お山の大将」
「安倍政権の最大のアシスト役」

永田町で枝野氏を揶揄する二つ名はそのようなニュアンスが中心だ。

しかし本当に新生立憲民主党は、これまでとおなじ「脆弱な野党」なのか。「枝野代表の変化は鬼気迫るものがある。今度こそは違う、という気配を感じている」 と語るのは立憲民主党の衆議院議員。身内擁護と捉えられるかもしれないが、その意見は一聴に値する。

「代表は、リアリストの面が強まった。3年前の結党当時は理想に走りがちだったが、いまは会見などでも『私は保守の政治家』『思想家ではなく政治家だ』と語り、左派色を薄めている。18年9月の党大会で、『私がポスト安倍だ』と言い放ったような独善的なものの言い方が影を潜めた。

また一部の幹部のみで党運営がなされていたが、合流新党結党を契機に見直されつつある。現実を見据えて、対応を柔軟に変化させている、ということだ」

もうひとつの変化が、これまで忌み嫌ってきた小沢一郎氏と対話するようになったり、ベテラン・若手を問わず議員との交流を重ねていることだ、という。

「それまでの枝野代表には、人の話を聞かないという批判もあった。いまは、連続14回当選を続ける通称『無敗の男』中村喜四郎元建設相の議員会館の部屋に自ら足を運び教えを請うている。愛煙家の枝野代表は、議員会館内の喫煙ルームで若手議員と会えば、自ら率先して話しかけるなど、聞く耳を持つようになった」

こうした変化について、野党担当記者も付け加える。

「役職につけなかったベテラン議員に向かって枝野氏は『◯◯さんにはお願いしたいことがあるんです』と低姿勢で切り出しています。役職なしで腐りかけたり、反枝野にまわりそうなところを、『よし、俺が枝野くんを支えてやらねば』となっている。ジジ殺しの技術をいつの間にか習得していた(笑)。

菅総理は総裁選で争った二人の候補者を無役にしましたが、枝野氏はその逆を採った。代表戦を争った泉健太氏を政調会長に抜擢し、国民民主党側の交渉役だった平野博文氏を代表代行などにするなど、党内融和に気を配っている。

実は小沢一郎氏を選挙の責任者として選対委員長に就任させようと動きましたが、元総理らの反対で断念した。実現していたらインパクトのある人事となったでしょうが、それぐらい枝野代表は柔軟に考えている、ということです」

今後の課題は、野党間での連携だという。現在の選挙制度下では、立憲民主党だけでは自公政権に対抗できない。一方、ひとつにまとまれば、一気に与党との差が縮まる。それは、数字をみても明白だ。

3年前の衆議院議員選挙の比例票は自民、公明、実質与党の維新の3党で2892万票。一方、野党の立憲、国民、共産、社民の4党の比例票を足すと2611万票。その差は281万票しかない。

さらに野党議員が乱立し、票を食い合った結果自民党議員が勝者となった選挙区で、共産と社民の票を野党の有力候補者に乗せれば、84の選挙区でひっくり返る計算だ。先の選挙で、小選挙区で勝利した野党議員は小選挙区の59人が小選挙区で勝っている。それに84議席を上乗せさせると、野党全体で273議席となり、与野党の議席数はほぼ2分されることになる。

机上の空論、といえばそれまでだが、現実的に自民党を単独過半数割れに追い込むことはできるのか。鍵は共産党との間で、小選挙区の候補者調整が進むかどうかだ、と前出の野党担当記者は言う。

「現在、枝野代表と小池晃氏が次の選挙での共闘を見据えて、膝を詰めて選挙区調整をしています。『9合目まで合意した』と言われており、次の衆院選で共産党は小選挙区の候補をかなり降ろす方向ではないか、と見られている。

勢いは衰えたといえ、れいわ新撰組の山本太郎氏とも、立憲民主の馬淵澄夫議員を通じて接触を繰り返しています。山本氏が掲げる『消費減税5%』の実現を共闘の軸に見定めつつあるなかで、山本氏も前向きな検討を始めた

9月16日、衆参両院の総理大臣の指名選挙で、共産党は22年ぶりに自党以外の枝野氏に投票を投じた。民主党の菅直人代表に票を投じて以来のことで、この一件だけをみても、野党共闘が進んでいることが証明された形だ。

選挙を見据え、中村喜四郎氏や江田憲司氏など無所属のベテラン議員が立憲入りし、「風頼み」の若手に選挙活動の厳しさを説いている、とも。「オール野党」の機運は高まりつつある。

9月21日、過去に2度の政権交代を成し遂げた、小沢一郎氏は自身の政治塾の講演でこう述べた。

「野党はひとつになる。一年以内に政権を必ずとる」

野党の望み、と書いて「野望」と読む。はたして、枝野氏らの「野望」は成就するのか、それとも再び瓦解することがあるのだろうか。

  • 取材・文岩崎大輔

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