菅政権で加速 家電のノジマが「スルガ銀行子会社化で抱く野望」

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
関東を中心に展開するノジマ。デジタル家電に力を入れている。画像:ロイター/アフロ

家電量販店ノジマが、野望の実現に向け動き始めた。狙うは、金融とITを融合させたフィンテック事業。スマホ決済や電子コインなど、AI(人工知能)を駆使した新たな金融サービスに乗り出そうとしているのだーー。

ノジマは、どうやって金融業に携わろうとしているのだろうか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が語る。

「足がかりとなるのが、スルガ銀行です。もともとノジマは、市場で数%のスルガ銀行株式を取得していました。シェアハウスなどへの不正融資問題で経営困難に陥っていたスルガ銀行は、ノジマに救済を求めます。19年10月、ノジマはスルガ銀行の創業家・岡野一族から18%強の株式を買い取り筆頭株主に。今年6月にはノジマの野島廣司社長がスルガ銀行の社外取締役副会長に就任し、持ち分法適用会社に組み入れたんです」

松崎氏によると、ノジマはヤマダ電機のように全国展開を目指す家電量販店ではない。店舗は関東中心。力を入れているのは、パソコンや携帯電話などのデジタル家電だ。松崎氏が続ける。

「ノジマは15年に携帯電話などを販売するのアイ・ティー・エックスを、17年にはインターネット専業のニフティを買収しています。リアルな量販店から脱却し、あらゆる家電がネット上でつながるIOT時代を見据えているんです。決済も電子化へ移行しようとしている。スルガ銀行の株式取得は、ノジマにとって願ってもない案件。いずれはスルガ銀行を子会社化することも、視野に入れていると思います」

菅政権の地銀再編が後押し

新内閣を率いる菅首相。地銀再編を重要課題にあげている

9月16日に発足した、菅義偉内閣もノジマにとってはプラスとなりそうだ。

「菅内閣が掲げている重要政策の一つが、地方銀行の再編です。90年代以降、都市銀行の再編は進みましたが地銀の統合は遅れたまま。菅首相は9月16日の就任会見で『地銀が多すぎる』と発言しています。スルガ銀行を救済しようとするノジマは、起爆剤になりうる。地銀再編に一役買ってくれるとみられているんです。

またノジマの本拠地は神奈川県横浜市で、菅首相の地盤と重なります。ノジマの試みが地銀再編につながれば、菅首相も地元で実績を大々的にアピールできるでしょう。菅政権の誕生は、ノジマを後押しすることになると思います」(松崎氏)

不安材料もある。大きな障害は2点だ。

「1点目はスルガ銀行が抱える訴訟です。同行の不正融資問題で、被害を被ったシェアハウスのオーナーらが損害賠償を求めています。認められれば、数百億円単位のカネを払うことになる。

2点目は現行のシステムです。金融庁は今のところ、異業種が銀行を持つことに慎重な態度をとっています。確かにソニーやセブンイレブン、トヨタなど、もともと金融業に携わっていない企業が銀行を持つ例はあります。しかしATMや個人への融資など、業務は限定されている。ノジマがスルガ銀行を傘下に置いても、どれだけサービスを広げられるか未知数です」(松崎氏)

金融とITを融合させたフィンテックが、大いなるビジネスチャンスであることは間違いない。ノジマが、この新たな分野で成功を収められるか。そこには、菅新政権の思惑も絡んでくるだろう。

  • 撮影鬼怒川 毅写真ロイター/アフロ

Photo Gallary2

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事