前年比100%超店舗も!丸亀製麺がコロナ禍でV字回復できたワケ

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店舗の前に掲げられた丸亀製麺の「こだわり」。昼前から客足が絶えない

うどんチェーンの「丸亀製麺」(トリドールジャパン運営)がV字回復している。今年4月に前年比約55%まで落ち込んだ売り上げが、7月に90%近くまでに復調。新型コロナ感染拡大で深刻な不況が続く外食産業で、前年比100%を超える店舗もあるのだ。

復活の理由は、外的要因と内的要因がある。まずは外的要因である立地について。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「ライバルの『はなまるうどん』は、店舗の多くをショッピングモールなどの大型商業施設内に置いています。今年4月に緊急事態宣言が出されると、商業施設自体が閉鎖。長期間の営業停止を余儀なくされ、大打撃を被りました。

一方の丸亀製麺は、ロードサイド(大通り沿い)に大半の店舗を構えています。独自に運営しているため、店の開閉は自社で判断できる。そのため緊急事態宣言解除後、スグに対応することができたんです」

品質を飛躍的に向上させた「職人制度」

都内にある丸亀製麺。国内外の店舗数は1000以上。丸亀という名前から香川県の企業と思われがちだが本社は兵庫県神戸市にある

丸亀製麺が取り組んだ、さまざまな内的要因も紹介したい。丸亀製麺は緊急事態宣言中にテレビCMを流し、安全、安心を大々的にアピールした。アルコール消毒を実施し、店内の空気を5分ごとに換気……。現在では一般的になっているコロナ対策だが、SNSも活用しイチ早く客を安心させることに成功したのだ。松崎氏が続ける。

「他の企業に先駆け、テイクアウトにも力を入れました。丸亀製麺の特色である、茹でたての上質な味を維持するため専門の容器を開発。中蓋で麺と出汁を分け、天ぷらなどのトッピングを別の箱で持ち帰ることができるようにしたんです。3月で2%もなかったテイクアウトの比率は、6月には15%近くまで上昇しています」

丸亀製麺は各店舗で、粉からうどんを作り茹でたての麺を提供することにこだわってきた。他のチェーンには真似できない旨さや食感が、消費者の指示を受けてきた大きな要因だろう。その旨さが失われる危機もあった。転機は、大きなニュースとなった苦い経験だ。

「店舗を拡大するとアルバイトに頼らざるをえず、どうしても料理やサービスの質が落ちがちになります。丸亀製麺も例外ではありません。そんな時、トラブルが起きました。13年4月に、客がざるの裏側にカビ生えていると指摘したんです。丸亀製麺は公式ホームページに謝罪文を掲載。看板メニューの『さるうどん』を、一旦商品から下げざるをえませんでした」(松崎氏)

店舗を拡大しつつ、質を維持するにはどうしたら良いか。社内で議論が交わされた末に、丸亀製麺が開発したのが「麺職人制度」だ。

「一つ星から四つ星、麺匠の5つのランクに分けられたマイスター制度です。2日間の筆記や実技試験に合格すると、職人と認定されます。合格率は30%ほどという厳しさ。職人は店のスタッフに、うどんの細かい作り方だけでなく、料理人として心構えをも厳しく指導します。職人たちのレクチャーのおかげで、丸亀製麺は作り置きをせず茹でたての旨さを維持することに成功したんです」(同前)

作り手の腕が上がっても、料理はすべて店任せという訳ではない。基本的にセルフサービスなのだ。

「店は注文されたうどんを提供するだけ。出汁や薬味は客が調整し、天ぷらなどのトッピングもお好みで選べる。もちろん、天ぷらは揚げたてです。他の客と同じものが提供されるのではなく、自分独自のうどんが食べられるのも人気の理由でしょう。セルフサービスは人件費削減にもなり、一石二鳥です」(同前)

本部で食材を一括提供し、各店舗はマニュアル通り料理を提供するだけ。外食産業では、そんなセントラルキッチン制度が主流だ。だが丸亀製麺は、あえて店での調理にこだわり、コロナ禍でも異例の成長をとげている。

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