デビュー40周年配信ライブ!我が家に聖子ちゃんが舞い降りた夜 | FRIDAYデジタル

デビュー40周年配信ライブ!我が家に聖子ちゃんが舞い降りた夜

意外な演出、それでも圧倒的な存在感!

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デビューから1年半後、日本武道館で歌う松田聖子(1981年11月)
デビューから1年半後、日本武道館で歌う松田聖子(1981年11月)

松田聖子が去る10月3日にオンラインライブを開催した。2020年は彼女やファンにとっても“デビュー40周年”という、スペシャルな一年。本来であれば、ファンに間では風物詩になっている、豪華絢爛な演出でライブを行ったはず。それが全て叶わなくなってしまった現在、彼女自身が「初めてです」と語る、オンラインライブに踏み切った。常に前衛的な姿勢を崩さずに走り続ける彼女が、どんなライブにするのかとチケットを購入した。自宅でライブの聖子……。なんだか落ち着かない、不思議な感覚である。

そんな気持ちを抱きながら、スタートの20時を迎えた。ライブ会場とした、スタジオからの中継。そこにはもう笑いたくなるほど色褪せない、日本の歌姫の姿があった。

疲れきった2020年に染みる『瑠璃色の地球』

40年以上続く聖子ちゃん(と、ここは敢えて呼びたい)のライブといえば、ド派手な演出が目玉である。キラキラとした世界観が広がる舞台で、センターから迫り上がって登場するシーンに始まり、バラード、ヒット曲メドレー、アンコール。今年58歳とは思えないビジュアルで、ステージの端から端まで疾走している。この姿を一年に一度拝むだけで、とんでもないエネルギーチャージができると思う。ライブというよりも、もはや夢の世界なのだ。

オンラインライブもそんな雰囲気なのだろうかと思っていたら、予想を翻すようにシンプルなセットで、聖子ちゃんは登場した。

ステージはほぼ聖地となっている武道館ではなく、都内のスタジオ。バンドはライブのメンバーと変わらない。少し高めの椅子に腰掛けて『小麦色のマーメイド』からスタートした。けして期待を裏切ったと思わせず、ちゃんと新しい自分を披露してくるブランディングはさすがだと、画面に見入る。

改めて、松田聖子は座っているだけなのに強い存在感を放っている。そのまま『瞳はダイアモンド』『セイシェルの夕陽』など懐かしい曲へ。そのうちの一曲に『瑠璃色の地球2020』があった。タイトルが一部示すように、地球平和を願う歌詞が込められた一曲。2020年は本当に地球そのものが大きく揺れて、その影響で疲れ切った心にジュンと染みた。

“黒”と“白”の2着のドレスでシンプルな聖子

最近になって日本語版の歌詞が発見されたという『SWEET MEMORIES〜甘い記憶~』を終えると、今度はライブでは恒例のヒット曲メドレーへ。『天国のキッス』では、それまで静かなパフォーマンスだったのに、リズムを取りながら楽しそうにしている。口角のキュッと上がった笑顔が、明るい曲によく似合う。

今回、約1時間のライブでこれも良い意味で意外だったのが衣装だった。ライブ登場は黒のシンプルなドレス。中盤、衣装替えをしたけれど全く同じような雰囲気の白レースのドレスヘアスタイルもこれもシンプルなひとつ結びに、ゴールドのピアス。短めの爪に赤のネイル。

いつものヒラヒラと舞うレースのドレスも、カラフルな色合いもない。ただ観る側に残念な気持ちは残らず、その分、歌声が伝わってくる。そのせいだろうかおなじみの『赤いスイートピー』が泣けてくる。歌いながら『時計をチラッと』見る仕草をする姿がとても微笑ましかった。

そしてライブは、彼女からの曲紹介で終わる。「え? なんの曲だろう?」と一瞬私たちに期待をさせたあとに歌ったのは『あなたに逢いたくて~Missing You~』。ああ、私たちもまた聖子に会いたい。ちゃんと次へ繋がるような名残を残してライブは終わり、映像はライブに向けたインタビューへ切り替わった。そこではライブ前に緊張していたこと、配信ライブは初の試みだからこそワクワクしていることなどを、あの可愛い声で話す。

ここ数日、同じように40周年記念のアルバム発売に合わせて各メディアでインタビューを受けている彼女を見た。そのたびに

「この人は本当に存在するのか?」

と不思議な感覚になる。ひょっとしてヒト科ではなくて、松田聖子というジャンルの生き物なのではないかと、思考が迷宮入りしてしまう。この人には40年が経過してもそう誤解させてしまうパワーがある。「一人で電車に乗れない」と本人が言うように、いつまでも浮世離れした姫君であって欲しい。そして来年はやはり、生の聖子ちゃんに会いたい。チケットが当たって、会場に向かって、グッズを買って。これら一連の行動を完結させてこそ、初めてライブだ。そして2021年は一緒に『夏の扉』を開けたい。

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『40th Anniversary “Seiko Matsuda 2020 Romantic Studio Live”』セットリスト

瞳はダイアモンド
セイシェルの夕陽
赤い靴のバレリーナ
瑠璃色の地球2020
SWEET MEMORIES〜甘い記憶~
野ばらのエチュード
秘密の花園
LaLa!! 明日に向かって
モッキンバード
天国のキッス
風に向かう一輪の花
赤いスイートピー
あなたに逢いたくて~Missing You~

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真共同通信社

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