GoToで行く前に学んでおきたい 温泉の「本当の効能」 | FRIDAYデジタル

GoToで行く前に学んでおきたい 温泉の「本当の効能」

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なんとなく入ってない!?  専門家は「効能」で温泉を選ぶ【関東編】 

10月1日から東京もGoToトラベルの対象になった。秋から冬に向かうこれからの時期は、温泉が恋しくなる季節だ。 

ところで、温泉にはさまざまな効果があることを知っていても、どこに行くか決めるとき、効能のことまで考える人は少ないだろう。だが、せっかく行くなら効能効果を最大限に享受できる温泉に行きたい。 

まだコロナ感染も心配の今、感染予防法とともに、温泉の選び方をお風呂研究20年、温泉療法専門医の資格をもつ東京都市大学教授の早坂信哉氏に聞いた。

せっかく行くなら効能効果を最大限に享受できる温泉に
せっかく行くなら効能効果を最大限に享受できる温泉に

新型コロナ対策、温泉で気をつけたいこととは?

温泉に入るときも、気をつけたいのは3密対策だ。貸し切り風呂や部屋にお風呂がついているなら心配ないが、大浴場ではどのようにすればいいのだろう。

「多くの温泉宿では、人数制限をしているので、大混雑する心配はないと思いますが、事前に入場制限をしているのか確認したほうがいいでしょう」(早坂信哉氏 以下同) 

受付で混雑することがある。このときもしっかりソーシャルディスタンスを心がけたい。

早坂氏によると、浴室内で気をつけたいことは以下だ。

  • ・タオルを浴室やサウナまで持っていき、咳やくしゃみが出そうなときは口を覆うこと
  • ・浴室やサウナでは会話は控えめ。大声を出さないこと
  • ・使い終わったカランや椅子、シャワーなどはお湯でさっと洗い流すこと
  • ・備え付けのシャンプーなどは問題ないが、気になるならお湯でざっと洗い流してから使う 

なお、施設で貸してくれるタオルは、通常洗濯後、高温で乾燥させているので心配ない

お湯でざっと洗い流してから使いたい
お湯でざっと洗い流してから使いたい

どの温泉に入っても、10以上の“効能”がある!

久しぶりの温泉! どこに行ってもリフレッシュできそうだが、できれば自分の体調に合わせて選びたい。

温泉に行くと脱衣所などに、その温泉の泉質や効能が書かれているものを目にするだろう。これはれっきとした環境省のお墨付き。

温泉とは、簡単に言ってしまえば地中から湧き出るお湯のことだが、一定の成分を含んでいると“療養泉”として認められる。天然温泉のほとんどは“療養泉”だ。

“療養泉”は泉質によって、以下の10種類に分けられる。

「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉(炭酸泉)」「含鉄泉」「酸性泉」「含よう素泉」「硫黄泉」「放射能泉」

そして、上記のいずれの温泉に入っても効果が期待されるのが、以下の症状。

疲労回復、関節リウマチ、腰痛、神経痛、五十肩、冷え性、胃のもたれ、軽症の高血圧、糖尿病、喘息、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など

こんなに! 温泉パワーは予想以上だ。

より「効果・効能」ある温泉を選ぶなら! 症状別 行きたい温泉はココ

これなら、どこの温泉に行ってもよさそうなものだが、温泉パワーは、上記の効果以外にもまだまだたくさんある。

いわば、上記の効果は天然温泉なら標準装備されていて、そのほかにオプションで付加価値がついている温泉がある、そんなイメージだ。どうせ行くなら、より効果が期待できる温泉に入りたい。そこで早坂氏に症状別にお勧めの温泉を挙げてもらった。

(※注:該当の温泉地にある宿でも、泉質が異なる場合がある)

肩こり、腰痛には「放射能泉」

増富温泉(山梨県)

「鎮痛効果があると、昔からよく使われているのが放射能泉。ラジウム泉、ラドン泉とも呼ばれています。ヨーロッパでも痛みを抑えるために利用されていて、強直性脊椎炎という難病に効果があったとする研究報告もあります。皮膚や呼吸器から吸収される微量の放射性物質が炎症を抑え、それによって痛みが抑えられるのではと考えられています」 

放射性物質が吸収されると言われると不安だが、すぐに体外に排出されるため、心配ないそう。

肩こり、腰痛のほか、痛風、関節リウマチ、筋肉痛などに効果があるとされるが、刺激が強いので湯疲れしやすい。入るのは1日1~2回がおすすめだ。

「痛みのある部分をしっかり温めることが大切です。肩こりなら、肩までしっかりつかること。打たせ湯を併用してもいいでしょう。ぎっくり腰に悩む人は、痛みが治まってから入るようにしてください。

関東近郊ではラジウム泉が少ないのですが、増富温泉(山梨県)は有名です。少し足を延ばせば、岐阜県の柿野温泉、新潟県の村杉温泉、栃尾又温泉もラジウム泉です」

アレルギーには「硫黄泉」

日光湯元温泉・新湯温泉・那須温泉・那須湯本温泉(栃木県)/万座温泉・草津温泉(群馬県)/箱根強羅温泉・芦之湯温泉・仙石原温泉(神奈川県)/蛇の湯温泉(東京都)

「殺菌作用があることで知られている硫黄泉ですが、皮膚の異物を感じる細胞の活動を抑え、アレルギー反応を抑える働きもあります」

喘息や花粉症の人はぜひ。ただ、アトピー性皮膚炎の人は注意が必要だ。

「アトピー性皮膚炎の場合、温泉に連続して入ると症状がいったん悪化してから改善することがあるんです。悪化したとき、それが改善に向かってのことなのか、そうでないのか判断するのがむずかしい。できれば主治医と相談してから入ったほうがいいでしょう」 

熱い湯に入ると、かゆみが強くなるので、硫黄泉以外の温泉を利用するときもぬるめのお湯がいいそうだ。

花粉症は「塩化物泉」でも

熱海温泉・伊東温泉・熱川温泉(静岡県)/白浜温泉・千倉温泉・犬吠埼温泉(千葉県)/横須賀温泉・箱根湯本温泉・宮下温泉・箱根強羅温泉・湯河原温泉(神奈川県)/四万温泉・渋川温泉・小野上温泉・北橘温泉(群馬県)

「塩化物泉は、海水に似た成分を含んでおり、塩気がある湯気を吸いこむことで、鼻水や痰などの異物を外に出しやすくする作用があります。ヨーロッパでは、吸入療法にも使われています」 

温泉に浸かりながら深呼吸をしたり、鼻の両脇に手を当ててお湯に顔を近づけて呼吸するなど、できるだけ湯気を吸いこむといいと言う。

「入浴後、肌についた塩分が汗の蒸発を防ぐので保温効果が高く、末梢循環器障害、冷え性などにも効果的です。

単純温泉に次いで多い泉質。海に近い温泉に多く、熱海はほとんど塩化物泉です」

美肌には「炭酸水素塩泉」

蒲田温泉(東京都)

「重曹が含まれた温泉で、皮脂とアルカリ成分が反応し、ごくわずかですが、皮膚表面に石鹸成分ができます。それによって、古い角質が取れ、洗い流したあと、皮膚表面は滑らかになります」

“美肌の湯”を謳う温泉は多いが、すべてが炭酸水素塩泉ではない。

「たとえば塩化物泉などは温熱作用が高く、血流がよくなるので、肌の色がよくなったり、弾力が増すこともあるので美肌効果とも言えるでしょう。

東京都内には炭酸水素塩泉として蒲田の温泉があります。蒲田周辺の銭湯は植物成分を含む黒褐色の炭酸水素塩泉を使っている銭湯が多く、気軽に利用できる温泉として、私もよく利用しています」

高血圧には「二酸化炭素泉(炭酸泉)」

下仁田温泉(群馬県)/唐沢鉱泉温泉・蓼科温泉(長野県)

湯につかると、プチプチした泡が肌にまとわる二酸化炭素泉。

「二酸化炭素が含まれている温泉で、二酸化炭素が皮膚から吸収されて血管を広げる血流改善効果が最大の特徴です」

とても珍しい温泉で、日本の温泉のわずか0.6%だと言われる。日本温泉協会によると、上記のほか、岐阜県の湯屋温泉が紹介されているだけ。

炭酸泉を楽しむなら、1000ppm以上が目安だ。

スーパー銭湯などの人工炭酸泉でも同じ効果が期待できます。炭酸がお湯に溶け込んでいる濃度が1000ppmを超えると、天然温泉と同じ濃度といえます」

疲れていたら「海の温泉」、元気だったら「山の温泉」へ。pH値もチェック

さて、じゃあ、“温泉にゆっくり浸かって日頃の疲れを取りたい!”と思ったら、

「症状別で探すのもいいですが、その前に体調を考えることも大切です。温泉には体にとってやさしい温泉と、刺激が強い温泉があります。疲れているとき、刺激の強い温泉に行くと、より疲れてしまうこともあるからです」

疲れているときおすすめなのは、“色がついていない、匂いもしない温泉”。「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉(炭酸泉)」がそれだ。それ以外の「含鉄泉」「酸性泉」「含よう素泉」「硫黄泉」「放射能泉」は元気なときに。

「アルカリ性や酸性が強い温泉も疲れているときには避けたほうがいいでしょう」

温泉の脱衣所等に表示されている『温泉分析書』には泉質とともにpH値を示す表示もされている。これは、「アルカリ性」「弱アルカリ性」「中性」「弱酸性」「酸性」と5段階に分かれていて、その中で「アルカリ性」「酸性」と表示されている温泉は刺激が強い。これらの温泉に入ったときは、上がり湯を忘れずに。肌が荒れてしまう恐れがあると言う。

「単純温泉の中にも、アルカリ性の強い温泉もあるので、気をつけたほうがいいでしょう」

温泉がある“場所”も大事だと言う。

「海に近い温泉や、低地にある森林の中にある温泉は刺激が少なく、体に負担をかけません。一方、標高1000mを超えるところにある温泉は、気圧の関係で疲れやすい。疲れているときは山の温泉に入らないほうがいいでしょう」

景色や料理ももちろん大事。が、体調や症状に合わせて行くと、もっと温泉が楽しめそうだ。

疲れているときは山の温泉に入らないほうがいい
疲れているときは山の温泉に入らないほうがいい

早坂信哉 温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部教授。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。著書に「たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法」(KADOKAWA)、「入浴検定公式テキスト」(日本入浴協会)、「最高の入浴法」(大和書房)など。

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