トミカ50周年!半世紀ずっと愛され続けた「これだけの理由」

「斜め上から」が一番かっこいいー6億7000万台を売り上げたミニカーの歴史

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「お気に入りは、パトカー、はしご車、ゴミ収集車」

「ブルーバード、フェアレディZも持っていた!」

てのひらサイズの精巧なミニカー「トミカ」が今年、誕生50周年を迎えた。

累計販売台数なんと6億7000万台越え。子どものころ、お気に入りのトミカを走らせ、集めていた人も多いだろう。なぜ、トミカはこんなに僕らの胸を熱くするのか。そしてこんなに長く愛されているのか? 1970年の誕生から今日までの歴史をひもときつつ、その理由を探っていこう。

1970年に発売された最初の6モデル。左から、ブルーバード SSSクーペ、コロナ マークⅡ ハードトップ、クラウン スーパーデラックス、クラウン パトロールカー、トヨタ 2000GT、フェアレディZ 432

【愛される理由1】「国産車のミニカーが欲しい」という熱望から

1970年8月18日。日本で初めての「小スケール・ダイキャスト製国産車ミニカー」として、トミカは誕生した。当時、小スケールのミニカーは海外では主流のひとつとして人気を博し、イギリスのブランドであった「マッチボックス」が、日本でもメジャーな存在として認知されていた。

しかし、海外ブランドということもあり、ラインナップされている車種は当然、(日本から見れば)外国車。高度経済成長期の「3C」ブームのさなか、街の道路には国産車があふれているにも関わらず、ミニカー売り場に並ぶのは欧米車ばかり……。そのため、ユーザーや小売店からは国産車の小スケールミニカーの発売を望む声が日に日に大きくなっていく。そんななか「トミカ」が日本のおもちゃメーカー、トミー(現タカラトミー)から発売され、一躍人気のおもちゃになった。

記念すべきトミカ第1号モデル「ブルーバード SSSクーペ」。サファリラリーを制覇したことでも知られる国産乗用車だ

最初に発売されたのは「ブルーバード SSSクーペ」「コロナ マークⅡ ハードトップ」「クラウン スーパーデラックス」「クラウン パトロールカー」「トヨタ 2000GT」「フェアレディZ 432」の6モデル。『トミカ本』を数多く手がけた、カーライターの高桑秀典さんは、この「車種選定」が絶妙だったと言う。

1970年から71年にかけて全部で30種のトミカが発売されましたが、最初の6モデルを筆頭に、当時の『大衆車』と『憧れの車』がバランス良くラインナップされていました。トミカで遊ぶのは子どもですが、実際に購入するのは親や祖父母。そのお父さんお母さんが実際に乗っている、また、憧れている車のミニカーが購入しやすい価格帯で発売されたことは、ブームの大きなきっかけになりました」

1971年に発売された「Honda NⅢ360」。トミカ創世記のラインナップ充実に一役買った

親=大人のハートも掴んだトミカ。もちろん、メインターゲットである子どもたちも夢中にさせた。

「小さな手のひらにすっぽりと収まるサイズ感が、子ども心に受けたと思います。あとは、手に持ったときのずっしりとしたダイキャスト(金属)の重さや、ドアの開閉ギミック、手で転がしたときの高い走行性などもあげられますね」

小さいけれど、ドアの開閉が本格的で、「本物」感がたまらなかった!

予想を大きく上回る大ヒットに生産が間に合わず、1971年には一部海外生産を開始した。香港で生産された車種は数が少なく、マニアの間では「ホンコントミカ」と呼ばれ高値で取引されている。写真はホンコントミカの「ダットサン1300 トラック」
車両と一緒に遊べる「トミカワールド」シリーズも、「デラックス パーキングタワー」を皮切りにスタート(1970年)。遊びの世界を広げるストラクチャーとして人気に

【愛される理由2】絶妙なスケールダウン

そのサイズ感は、トミカを語るうえで欠かせないキーワードの一つ。トミカはモデルとなる車をただ単にスケールダウンするのではなく、大きさが決められているトミカの箱パッケージに入るサイズに縮尺しているのだ。

紙箱のパッケージは、高さ約39×横幅約78×奥行き約27mmの通常サイズと、高さ約41×横幅約78×奥行き約39mmの大きい車種用の2種類のみ。横幅はともに78mmなので、軽自動車だろうとバスだろうと、どの車種もこの統一サイズに縮尺しなければならないという縛りが。

「この、デフォルメの『さじ加減』が絶妙なんです。実車のプロポーションを損なわず見事にスケールダウンされています。ここに、作り手の車への愛と情熱を感じずにはいられませんね。

あとね、トミカは斜め上から見たときがいちばんカッコよく見えるように作られているんです。これは、子どもが手転がしで遊んでいるときに見る角度なんです。こんな、おもちゃメーカーならではこだわりもさすが」(高桑さん)

箱パッケージは2パターン。左が通常サイズで、右は大きい車種用(写真は絶版モデル)

【愛される理由3】 魅力的なラインナップ

トミカは街中に走る車をモデルにしているため、時代ごとの流行がラインナップに反映されているのも特徴。毎月第三土曜日は「トミカの日」で、2車種ずつ新モデルが投入されている。

「モデルバリエーションの多さも魅力です。1988年からトミカは120台体制(ロングトミカなどは除く)となり、常に120種類のモデルが販売されています。

120のなかには、乗用車、働く車、二輪車、スポーツカーなど、さまざまな車種がバランスよくラインナップされています。毎月新商品が登場するので、新陳代謝も活発なんです」

50年間で最も売れた「日野はしご付消防車(モリタ・スーパージャイロラダー)」。累計販売台数は400万台を越え、現在も発売中

「それとね、トミカって誰も見たことのないような建設車両とかを突然発売したりするんですよ。『これなに? 本物を見たことない!』って、大人になった今でも感動します。私が子どもの頃に夢中になったスーパーカーブームのときもそうでした。実車を見たことがなくても、トミカのスーパーカーを見て、ドアを開け閉めしたりして、『こういう感じなのか』感動してました。その感じは、今も変わりませんね」(高桑さん)

実車は誰も見たことない? ファンの間で発売前から話題だった「前田製作所 かにクレーン」
スーパーカーブームのなか発売された「パンサー6」(絶版)。子どもたちを夢中にさせた

 

パンダが乗っている、おもちゃらしさを形にしたモデル「動物運搬車」

トミカは車の教科書だ

車好きの子どもは、働く車や乗用車など驚くほどいろんな車の名前を言えたりする。そんな車好きの子どもたちは、大人になった今もトミカが大好きだ。

これまでに発売されたトミカは1050車種以上、さらに「トミカプレミアム」や「ギフトセット」、限定車や特注車も合わせると1万種以上あるともいわれている。なかには1台165万円の値段がついたお宝車種もあるとか。

最初期の6台にラインナップされていた「トヨタ クラウン パトロールカー」

 

「トヨタ クラウン パトロールカー」はモデルチェンジを重ね、50年後の今も現役で圧倒的な人気を誇る

「乗用車がモデルチェンジするとトミカもモデルチェンジする。トミカの歴史は、車の歴史なんです。建設車両や働く車のギミックや構造も学べる。まさにトミカは車の教科書。それと、トミカのいいところって、いつでもコレクションがスタートできること。現行モデルだけでも120車種。外国車だけ、建設車両だけと絞っても6~7台はすぐに集まります。全種集めるのは困難ですが、自分の乗っている車や、好みの車種を数台集めても、けっこう満足感がありますよ。ちなみに僕は、厳選した新旧あわせ100台くらい持ってます!」

大人の心も熱くするトミカ。時代を走る手のひらサイズワールドに、久しぶりに触れてみたい。

現行モデルには「ハマー H2」をはじめ20種以上の外国車と、働く車、乗用車など「今」を映すラインナップが
  • 取材・文宮澤祐介

    ライター・編集者。トミカ連載を8年間担当、「トミカ40周年記念本」や「ディズニー・ビークル・コレクション(東京ディズニーリゾートで販売のトミカ)」公式本の編集に携わる。トミカの好きなところは、机上で何も考えずに手転がしで遊べること。好きなトミカは、子どもの頃に遊び倒した「いすゞ ハイパック バン(フットワーク仕様)」と、仕事でガッツリ携わった「レクサス RC F(初回限定カラー)」。ともに絶版(涙)。現在は50台所有。37歳、1児の父。

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