豪州で約400頭のクジラが「突然大量死」のナゾ

オーストラリア・タスマニア発

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クジラの死骸は放置すれば膨れ上がった状態で海上を浮遊し、航海に影響があるほか、サメなどの捕食動物が集まる恐れもあるという 写真:AFP/アフロ

砂浜に力なく横たわる、黒い巨体。過去に例のない数のクジラが、痛々しい姿で発見されている。

9月21日、オーストラリア・タスマニア島で、約470頭のヒレナガゴンドウが座礁しているのが見つかった。クジラは海水の中でしか生きることができない。陸地で過ごすと身体の皮膚が乾いてボロボロになり、また体重に耐えられず肺がつぶれ、死に至る。現地の救助隊らは、乾燥や体温の上昇を防ぐために手を尽くし懸命に救護活動を続けているが、体の大きいクジラを海に帰すのは容易ではなく、すでに380頭が死亡している。生き残った一部も安楽死させざるを得ない状態だ。

クジラの生態を研究している、東京海洋大学の加藤秀弘名誉教授は、今回の現象についてこう指摘する。

「大々的に報道されていますが、このような現象は、よくあることなのです。とくに今回打ち上げられたヒレナガゴンドウは、クジラのなかでもとりわけ大きな群れで行動しますから、大量座礁につながりやすいと言えるでしょう」

事象そのものは珍しいことではないというが、ではなぜクジラたちは浅瀬までやってきて、身動きが取れなくなってしまうのか。加藤氏はこう続ける。

「いくつか解釈がありますが、クジラたちが自ら浅瀬にやってきたということも、可能性の一つとして考えられます。同じエリアに生息しているクジラが増えすぎるとイカなどの主要なエサが減り、生存が脅かされます。それを察知したクジラは、自ら座礁することを選び、その場所での生育密度を減らそうとするのです」

さらに、このクジラ特有の生態が、救助を難しくしているという。

「レスキューをする人々はいますが、このクジラは助けても助けても、群れのいる岸へ戻ってきてしまいます。救助が成功し沖合に帰せても、再び砂浜へ突進し座礁する可能性が高いのです」(同前)

タスマニア州当局は、座礁のはっきりとした原因はいまだ不明との見解を示している。生き残ったクジラたちの一刻も早い救出と、原因の究明が望まれる。

『FRIDAY』2020年10月23日号より

  • 写真AFP/アフロ

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