ロッテ・沢村も…日ハム・大田が実感「巨人移籍選手」活躍の理由

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札幌ドームで取材に答えた日ハムの大田泰示。巨人から移籍し表情もイキイキ。気持ちも前向きになったという(18年5月撮影)

わずか9球のパーフェクトリリーフだった――。

10月9日、ソフトバンクとの首位攻防戦。8回のマウンドに上がったロッテの沢村拓一(32)は、高速スプリットを駆使しホークス打線を3人で切ってとったのだ。9月7日に巨人から移籍し、13試合に登板して失点はわずか2(成績は10月15日現在)。周囲も予想外の、完ぺきなピッチングだろう。

「かつての新人王・沢村も、近年はトラブルメーカーになっていました。12年10月には、人身事故で親子3人にケガを負わせています。14年10月には六本木で、16年4月には新宿歌舞伎町で一般男性と暴行トラブルを起こしました。チームで、完全に浮いていたんです。

成績も下降線。今季は二軍でも7回を投げ10四球と制球が安定せず、三軍に落とされています。巨人との移籍話が出た際、ロッテがトレード相手に用意したのが実績のほとんどない香月一也。沢村に対する期待の低さがわかります」(スポーツ紙記者)

それがロッテに移籍した途端に、人が変わったような活躍。周囲が目を見張るのもムリないだろう。

巨人で不振を極めながら、他球団に移りブレイクする選手は多い。近鉄の主力として「いてまえ打線」を牽引した吉岡雄二、広島の中継ぎ陣の一角を担う一岡竜司……。

代表例が日本ハムの大田泰示(30)だ。原辰徳監督と同じ東海大相模高からドラフト1位で巨人へ入団し、大砲と期待されながら在籍8年間でホームランわずか9本。それが日ハムに移籍した昨年までの3年間で、39本塁打を放ったのだ。今季も3割前後の打率と、2ケタ本塁打を記録している。

ベンチ裏で流した悔し涙

巨人時代は逆境の連続。自分を見失っていた

大田は2年前に『FRIDAY』(18年6月8日号)のインタビューに応じ、「巨人での苦悩と新天地での覚醒」について語っている。以下、大田の肉声だ。

〈(巨人で松井秀喜と同じ背番号55をもらい)『なんでボクが?』という気持ちでした。実績のない18歳の子どもが、急に連日マスコミから注目されるようになったんです。早く松井さんのような大打者にならなければという焦りと、周囲からの期待の大きさに押し潰されそうでした〉

巨人という人気チームにいると、いろいろな関係者が様々なアドバイスをする。2年目の6月に、一軍へ昇格した時のことだ。試合前に大田の大きなスイングを見た原監督は「誰があんなフォームにしたんだ!」と怒り、「もっとコンパクトに振れ」とマンツーマン指導。6打席ヒットが出なかっただけで二軍に落とされると、ファームのコーチから「身体をいかして大きく振るんだ」と真逆の指示を受けることもあった。

〈たくさんの忠告を受け、パニック状態でした。自分を見失い、結果を出せない。重圧から必要以上に落ち込んだり、ふてくされた態度をとったこともあります。岡崎郁・二軍監督(当時)から『あんまり腐るなよ』と声をかけられ、ベンチ裏で悔し涙を流したことも一度だけではありません。

ボール球を振ったらどうしよう、凡退したらどうしようと、気持ちはどんどん消極的になっていく。どん底でした〉

毎年のように打撃フォームを変えるが、成績はいっこうに伸びない。ファンから「背番号55を返せ、給料ドロボー!」と、心ないヤジを受けたこともある。13年に4年連続で二軍の三振王になると、背番号は44へ変更。16年オフに日ハムへトレードとなった。

〈巨人での8年間は、自分自身との戦いでした。あの経験がなかったら、今のボクはありません。巨人には感謝しています。

だた、もう二度とツラい思いをしたくない。移籍を機に弱気な自分と決別し、長所を活かそうと決めたんです。長打力を磨こうとね。移籍後のキャンプでは打てるイメージを叩きこもうと、メジャーでMVPを獲得したカブスのクリス・ブライアントの動画を繰り返し見ていました〉

日ハムは結果が出なくても、大田を打席に立たせ続けた。

「泰示らしく、思い切っていけ!」

栗山英樹監督から受けている指示は、これだけだ。

〈余計なことを考えずに、のびのびプレーできています。三振したってかまわないと、結果を恐れずにフルスイングを続けられている。毎年成績を残せるようになり、自信がつきました〉

組織との相性は所属してみないとわからない。プロ野球選手も同じだ。ロッテの沢村や日ハムの大田は、パ・リーグの水が合ったのだろう。自分らしく輝けるか、力を発揮できず悶々として日々を過ごすかーー。環境によって、生き方は大きく様変わりする。

188cm、94kgという恵まれた体格。昨シーズンは.289、20本塁打、77打点とキャリアハイの成績を残した
練習の虫である大田の手は素振りのおかげでマメだらけ。今季もファイターズ打線の中核を任される
  • 撮影小松博之

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