としまえん跡地の利用計画に近隣住民が「NO」のワケ

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94年の歴史を終えて8月31日に涙の閉園、現在は解体工事中
’23年に『ハリー・ポッター』博物館がオープン予定だが……

「フライングパイレーツ」がある付近に巨大な『ハリポタ』ミュージアムが建つ予定だ。解体工事は来春まで行われ、建設工事の完了は’23年2月末になる

「6月12日に発表して8月末で閉園なんて急すぎですよ。このあたりの住民にとって、『としまえん』は人生の一部なんです。成人式も行われて、春はお花見、夏は花火、そして災害が発生したときの避難場所でもあるんです。9月中旬から解体工事が始まっていますが、園内の桜やアジサイはどうなるんでしょう」 

閉園した『としまえん』(東京・練馬区)の近くに住む60代の女性はそう嘆く。94年間も地元で愛されてきたのだ。’23年から『ハリー・ポッター』博物館が開業すると言われても、困惑するのは当然だ。

上写真は解体工事が始まる直前の『としまえん』の北半分を上空から撮影したもの。ここに建築面積約3万㎡、高さ19mの建物ができ上がる。東京ドームよりやや小さいサイズの大規模施設だ。また、プールがあった南半分は、現在は東京都が管轄しているという。

9月上旬には、解体工事や今後の土地利用について、事業主の西武鉄道(土地所有者)らが主催する説明会が開かれた。

だが、住民の不安は解消されていない。

「桜の木は結局、150本以上伐採するそうで、納得いかないですよ」(40代男性)

「大型バス用に50台分の駐車場ができると聞きました。このあたりは道幅が狭いから、観光バスがどんどん来るようになると事故が怖いです」(60代女性)

「これから避難場所はどこになるのか。『としまえん』以外の公園は遠すぎて、私ら年寄りは行けないよ」(70代男性)

『としまえん』のプール存続を求める署名活動をしている住民グループのリーダー・秋田英明さんはこう語る。

「巨大な建物が完成したときに、周囲にどんな影響があるのか不安です。結局、説明会での説明が少なすぎたと思います」

交通問題のほか、日照や騒音など住民は極めて現実的な問題を憂慮している。

「そもそも、なぜ『としまえん』は閉まるのか、プールなどの跡地はいつどんな公園に整備されるのか、なんの説明もありません。地域の理解を得ずに、工事だけが進んでいることは問題です。そして一番の不安はやはり防災機能。もともと6万人以上が避難する場所に指定されていたんです」(練馬区議・池尻成二氏) 

この問題を取材しているジャーナリストの田中圭太郎氏もこう指摘する。

「『ハリポタ』の博物館が建つ跡地の北半分は、工事中も完成後も避難場所としては機能しないでしょう。南半分は、東京都が土地を買い取って公園にする予定ですが、まだ正式には何も決まっていない。関係者によれば、コロナ禍の影響で東京都も予算が厳しく、順調に進むとは思えないそうです。東京都や西武鉄道はあらためて説明会を開くべきでしょう」 

一方の西武鉄道の広報担当者は本誌にこうコメントする。

「(解体・新築工事や土地利用について)あらためて説明会を開催する予定はありませんが、近隣の皆さまからの各種お問い合わせについては、個別にしっかりと対応させていただいております」 

このままでは『ハリポタ』の新施設が、地元に愛されることはないだろう。

住民向けの説明会で配布された『ハリポタ』ミュージアムの配置図。跡地の北半分の中央付近に体験型の大型施設が建ち、その西側には50台分のバス駐車場が作られる

『FRIDAY』2020年10月23日号より

  • 撮影桐島瞬

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