「M-1」優勝目指すラランドが事務所に所属しない本当の理由

マネージメントもメディア戦略も自ら行う高学歴コンビ スペシャルインタビュー&秘蔵写真公開

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二人は上智大学外国語学部の同級生。コンビ名は天体好きなサーヤが実在する恒星「ラランド」にちなんで命名

「相方のニシダとは上智大学のアカペラサークルの新歓コンパで出会いました。私はお笑いサークルに入ることは決めていましたが、もう一つくらい華やかなサークルを見ておこうと思って参加したんです。でもつまらなかった。そこで同じように端のほうでつまらなさそうにしているニシダを見つけました。

『外国人とか、見た目が面白いヤツがいたら連れてきて』というお笑いサークルの先輩の言葉を思い出し、『あ、こいつ連れていかなきゃ』と思って、声をかけてみたんです。なので、別にニシダとコンビを組みたくて誘ったわけじゃなかったんですよね。ただ先輩に好かれたいというだけだったんです(笑)」

そう語るのは今注目を浴びているお笑いコンビ『ラランド』のボケ担当、サーヤ(24)だ。出会ってすぐに意気投合し、コンビを組んだ――わけではなかった。相方でツッコミを務めるニシダ(26)が話す。

「サーヤさんの誘いでお笑いサークルに入ったんですが、入学後すぐにあったデビューライブでネタをする相方が見つからなかったんです。僕は最初からサーヤさんと組みたいと思っていて、コンビを組みたいと一度声を掛けたのですが、適当に流されていました。

高校生の恋愛の駆け引きみたいに、サーヤさんの女友達に頼んで『俺が組みたい』という想いを伝えてもらったり、他の同級生メンバーの悪口をサーヤさんに吹き込んだりしてなんとかコンビ結成に至ったんです。完全に作戦勝ちでしたね」

ラランドは会社にいそうな「うざい」女性上司などを演じるサーヤがボケ倒し、部下役を務めるニシダが乗りツッコミを入れていくテンポの速いコント漫才を得意としている。結成7年目だが、その実力が評価され、現在メディアに引っ張りダコだ。『M-1グランプリ2019』に出場し、アマチュアながら準決勝に進出。若手芸人の登竜門である『新春おもしろ荘』で取り上げられ、実力派コンビとして話題を集めた。

注目を浴びる理由はそれだけではない。ラランドは芸能事務所に所属しておらず、マネージメントやテレビ局への売り込みなどすべて自らの手で行っているのだ。フリーで活動を続ける理由は何なのか。サーヤが答える。

「仕事にスピード感があって、自由度が高いことですかね。フリーが性(しょう)にあっているのだと思います。テレビ出演のたび、いまだに『養成所に入って、若手芸人ライブに出てほしい』と芸能事務所の方からオファーされるんですけど、ここからまた学ぶのか、と疑問が浮かんでしまうんですよね。

吉本からは『M-1』準決勝出場後に『NSCに半額で入れてあげる』と言われましたが、いやいやそこは無料だろ、と心の中でツッコんでしまいました。結局、養成所で下積みをするより、最初からどんどんライブに出て実力をつけたかったので、お断りしました」

芸能事務所に入らなくても、ブレイクできる――。それを裏付けるようにラランドは今年に入ってから、『アメトーーク!』や『ウチのガヤがすみません!』などの人気バラエティ番組に次々と出演している。

さらに9月29日からはTBSラジオで初の冠レギュラー番組『ラランド・ツキの兎』がスタートした。事務所に所属しないという選択に後悔はないのだろうか。ニシダが話す。

「大きい事務所に嫌われたら終わりというのはありますね(笑)。それ以外は、縦と横のつながりがあまりないということくらいです。でも、漫才を見てくれたいろんな先輩芸人さんが飲み会に誘ってくれるようになってきました。

事務所、年代問わずアドバイスしてもらったり、交流できたりするのはフリーならではのメリットだと思います」

フリー芸人として活動することに決めたのにはもう一つ理由がある。彼らには芸人のほかに違う顔があるのだ。

「平日は広告代理店で会社員をやっています。一応、社会人3年目です。2年目までは定時まで働いた後の夜や、土日にライブなどに出演していました。だから、ここ2年間ほとんど休めていません。1年目はとくにたいへんでしたね。

でも、私の家は裕福じゃなかったので会社員になって実家にちゃんとおカネを入れたかったし、芸人としてもどんどん舞台に立ちたいし……。これはフリーでやっていくしかないな、と社会人になるタイミングでそう考えたんです」(サーヤ)

一方のニシダにもサーヤと同様にウラ事情があったという。

「サーヤさんはお笑いをやりながら会社員をしていたし、僕も当時はまだ学生だったので、事務所に入る必要はないかなと思ったんです。でも実は僕、上智大学を2回退学しているんですよ……。必修単位を2回落とすと退学というルールがあって、結局取り切れなくて4年生に上がる’17年に退学になりました。

それから1年後に復学したんですが、復学前の単位を持ちこせると思ってゆるく授業を受けながら過ごしていたら、そうじゃないらしくて、今年3月にまた退学になってしまいました……。大学の罠(わな)ですね、これは(笑)。今はニートをやっています」(ニシダ)

既存の枠に収まりたくない

現在、広告代理店に勤務するサーヤはそのノウハウを活かし、自らのプロデュースにも余念がない。

「どうすればメディアに注目されるのか日々考えています。フリー芸人として注目してくれるのはとてもありがたいですね。追い風になっていると感じています。

フリーということもあり、YouTubeチャンネル『ララチューン』でもネタや企画を自分たちがやりたいように発信することができます。それも上手く活用して、多くの人に興味を持ってもらいたいと考えています」(サーヤ)

ラランドは連日テレビを賑わす「お笑い第七世代」の一角に数えられている。この事実に何を思うのか。

「もちろんうれしいっちゃうれしいですけど、正直やりにくいな、と思う部分もありますね。『第七世代』という括(くくり)だけで出るよりは、自分たちのネタや実力でテレビに呼ばれるようになっていきたいです。

でも、まだまだ何かを言える段階ではないですし、今はそういった括りでテレビに呼んでくれるだけありがたいです」(ニシダ)

とにかく結果を残したいと語る二人が掲げる一番の目標は何なのか。

「爆発的にファンが増えたきっかけが昨年の『M-1』だったんです。昨年はアマチュアで出場したということもあって注目されました。今年はニシダも退学して芸人一本になったし、私もOLとお笑い芸どちらも本業だという意気込みを込めてプロとしてエントリーしました。

何を言うにも結果を残してからなので、今年が正念場です。前回は準決勝まで行って敗者復活戦で落ちたので、今回は何としてもファイナリストになりたいと思っています」(サーヤ)

10月から始まる二回戦に向けて、今まさに準備を進めている。フリー芸人が『M-1』優勝を成し遂げたら、お笑い業界の歴史が大きく変わることは間違いない。

学生時代の秘蔵写真を初公開

’18年、サークルのメンバーと訪れた公園でのツーショット。ニシダは当時すでに上智大学退学が決まっていた
大学4年生の時、ラランドが所属するサークルがインカレお笑い大会に出場。見事優勝し、30万円を獲得した
サーヤは東京都出身で現在は広告代理店に勤めている。小学校卒業まで子役として活動しており、CMやドラマに出演していた。歌モノマネも得意としている
ニシダは山口県出身で2度目の上智大学退学をきっかけに芸人一本での生活を決意。ギャンブルが好きでしばしば給料を競馬につぎ込み、サーヤに叱られている

今年9月、単独ライブ『祝電』で漫才をするラランド。来場、配信チケットがともに発売と同時に売り切れた

本誌未掲載カット ラランド スペシャルインタビュー&秘蔵写真公開
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本誌未掲載カット ラランド スペシャルインタビュー&秘蔵写真公開
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FRIDAY20201030日・116日号より

  • 写真濱﨑慎治(1、4、5枚目)、ラランド提供(2、3、6枚目)

Photo Gallary11

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