引退から1年後に元嘉風が故郷へ「5億円訴訟」を起こした理由

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
昨年9月に引退会見を開いた元嘉風の中村親方。「誰も責めていない」と話していたのだが……(画像:共同通信社)

なぜ事故から1年以上たってから、故郷を訴えたのだろうーー。

10月15日、元関脇・嘉風の中村親方(38)が地元・大分県佐伯市などを相手に、約4億8000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁で起こした。中村親方が佐伯市のPRのため、所属する尾車部屋の後輩力士7人と同市で合宿を行ったのは昨年6月18日~23日のこと。訴訟の原因となった事故は、その期間中6月20日に起きた。

「当日、市内の藤河内(ふじかわち)渓谷で、乗り物を使わず岩肌を滑り降りる『キャニオニング』が行われました。親方も委託業者のインストラクターとともに、キャニオニングを体験。しかし滝壺に飛び込んだ際、右ヒザを負傷してしまいます。

すぐにドクターヘリで搬送され緊急手術を受けましたが、足首の麻痺など後遺症が残りました。一時は補助装備をつけなければ、歩行も難しい状態だったとか。結局土俵に復帰できず、親方は3ヵ月後に引退することになったんです」(スポーツ紙担当記者)

昨年9月16日に引退会見が行われたが、親方は地元愛から事故を公表するか悩んだとされる。会見で、親方はこう語っていた。

「誰かを責めているわけではありません。誰も憎んでいません。市長からは、できる限りのことをすると言ってもらいました」

過去7年間でケガ人なし

この言葉通り、市では親方への補償が検討される。田中利明市長も、内容を弁護士と協議中と当時の定例記者会見で明かしていた。

「市長も親方の大ファンですからね。親方が小学生の頃から、市の相撲連盟副会長や会長を歴任していました。事故が起きた直後は傷心し、こう話していました。『道義的に責任を感じる。(同行した職員には)プロのアスリートだから十分気をつけろよと伝えていたのに……』と」(地元紙記者)

悲惨な事故ではあるが、双方の歩み寄りで問題はすぐに解決すると思われた。ところが……。

「市長の反対派の一部が、おかしいと言い始めたんです。藤河内渓谷でのキャニオニングは、過去7年間で4000人以上が参加したが、大きなケガをした人は一人もいない。親方自身の責任もあるのでは、という意見もありました。しかも市の担当者がたびたび変わり、両者の話し合いは一向に進展しなかったんです」(前出・記者)

両者の関係に、少しずつ亀裂が入り始める。決定打となったのが、以下の主張だ。

「市が『合宿はPR活動の一環だったがキャニオニングは違う』と訴えたんです。親方としては、合宿中に行われたイベントですから当然PR活動を兼ねていたと認識しています。何らかの補償はするという当初の態度は何だったのか。市が責任逃れをしていると受け止めた。

弁護士同士の話し合いも平行線で、ラチがあきません。地元といえども、引退の原因となった事故を起こし責任も取らないのでは、さすがに納得できなかったのでしょう。苦慮の末、市とキャニオニング業者を訴えたんです」(同前)

親方が東京地裁に訴状を提出した直後、田中市長は報道陣の取材に対し「訴状の内容を精査し対応したい」と答えている。本来、地元のヒーローである親方と市の法廷闘争。第1回口頭弁論は11月27日に予定されている。

  • 写真共同通信社

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事